第235話 ボロボロの担任教師
こんにちわ。
5月初投稿です。
「行ってきます。」
朝、真樹はそう言って学校に向かうべく自宅を出た。しかし、心の中は少しモヤモヤしている。
「なんで、先生の家にいたずらなんかしようと思ったんだ。考えれば考えるほどわからん。」
彼は、朝に見たニュースの事を思い出しながらそう言った。そう、昨晩彼の担任である立石美咲の自宅が何者かによって悪質ないたずらの被害に遭ったのだ。画面越しにも立石の動揺が真樹にも伝わっていた。
「俺が考えても仕方ないか。」
そう言いながら駅に着いた真樹は電車に乗り、学校の最寄りの成田駅に向かった。そして、改札を出ようとした所で慶がいつも通りに声を掛けてきた。
「おはよう、真樹!」
「おう、オニィ。おはよう。」
「ねぇ、真樹。朝テレビ見た?」
「ああ。立石先生だろ?」
「うん。僕びっくりしちゃった。何で立石先生にあんな気持ち悪い悪戯したんだろ?怖いよ。」
「同感だ。だけど、犯人もうちの学校の人間って感じでもなさそうなんだよな。」
「何もかもが謎すぎるよね。嫌だなぁ。」
「警察も動いているんだし、先生も学校来るだろ。少しぐらい声かけてもいいんじゃないのか?」
そう言いながら真樹と慶は学校に到着した。
-AM 8:00 大谷津学院職員室-
「立石先生、大丈夫なのですか?」
「ニュース見ました!心配しましたよ!」
立石が職員室に出勤してくると、教頭と関屋が心配そうに声を掛けてきた。立石はいつもに比べて元気がないものの、微笑みながら言った。
「大丈夫ですよ!警察の人も今調べてくれていますし…心配おかけしてすみませんでした。」
そう言って立石は自分のデスクに着いたものの、やはり動揺を完全に払拭することはできていなかった。
(正直、まだ理解追いつかないけど、学校に持ち込むわけにはいかない。仕事しなくちゃ。)
そう心の中で呟きながら、立石はホームルームと1限目の授業の準備を始めたのだった。
-同時刻 2年A組の教室内-
真樹と慶が登校し、その数分後に杜夫、美緒、沙倫も登校してきた。そして、5人集まった所で早速立石の話題になった。
「テレビ見たよな?やべぇよな、あれ。何で立石先生の家が襲われたんだ?」
首を傾げながらそう言った杜夫。
「やだぁ、気持ち悪い!先生可哀想。犯人早く捕まってほしいわ!」
ドン引きした表情でそう言い放った美緒。
「私も前に、キモイおっさんに付きまとわれたけど、話聞く限りだとまた少し違うみたいね。もっと攻撃的っていうか…。」
来日直後、同じ団地に住む中年男性にしつこく付きまとわれたことを思い出しながら、そう話した沙倫。しかし、5人とも謎は深まるばかりである。
「正直、俺達には手の出しようがないかも知れん。学校内に犯人がいない可能性も高いからな。」
「僕もそう思う。下手にこの話題出したら、先生余計傷つくと思うよ。」
真樹の言葉に慶が同意するように続いた。
「でも、分かんねぇよな。立石先生の家に行って悪戯するとか。ストーカーか?」
「それは無いんじゃない?だって、手紙には立石先生の悪口が書かれてたんでしょ?恨みによるものよ。」
杜夫の考えに対し、美緒がそう否定の意見を入れる。沙倫は首を傾げながらつぶやいた。
「でも一体、どこの誰がこんな酷いことしたんだろう?先生ってそんなに恨まれるような人じゃない筈なのに…。」
立石ですら今の所心当たりがないのに、真樹達にもわかるわけがなかった。そして、チャイムが鳴り立石が教室に入ってきた。
「おはよう、みんな。ホームルーム始めるわよ。」
一番つらいはずの立石だが、授業に穴を開ける訳にはいかないので、平静を装ってこの日も仕事に臨んだのだった。
こんにちわ。
4月は投稿が少なかったにもかかわらず、たくさんの人に見ていただけたみたいで、本当に感謝してます!
これからもよろしくお願いいたします!




