第219話 真樹の悪巧み
こんばんわ!
12月ももう半ばに差し掛かります!
「で、大野がそこでも好き放題してたって訳か。」
「は、はい。僕らにはどうしようもなくって…。」
真樹の言葉に丈が元気がない様子でそう言った。登戸の誕生日会が大野によって滅茶苦茶にされた後、丈は思わずその事を真樹にメッセージで伝えたのだ。そして、それを見た真樹は一番の被害者である登戸の他、参加者全員を自宅に呼んで話を聞くことにしたのだった。因みに、祖父母の正三と多恵は老人会の用事があるので不在だった。
「みんなが俺の為に企画してくれたのに、滅茶苦茶にされて悲しかったんです!」
登戸が怒りながらそう言った。同じく野球部1年の千葉と幕張も怒り心頭だった。
「止めたのに、まるで聞く耳持たないんです!訳わかんない!」
「注意しても、男のくせに生意気だとか意味わかんないですよね?!何なんすか、あいつ!」
愚痴が止まらない二人。それは大神、宮下の女性陣も同じだった。
「この前、あれだけ注意したのに、マジで最悪です!よりによって、人の誕生会で…。」
「湯川先輩も、あんな奴関わらなくていいですよ!マジで非常識なんで!」
大野に誕生日会を滅茶苦茶にされた1年生は、まだ怒りが収まらない様子だった。話しを聞いていた真樹も苛立ち始めていた。
「はぁ…聞いてて頭痛くなるよな。正直、俺も相手にしたくないわ。」
真樹と大野は今の所学校で一度も絡む機会が無いが、彼としては出来れば関わりたくないと思っていた。しかし、同じ野球部の後輩をはじめ、その前には仲の良い友人の慶が被害を受けていることを考えると、このまま放置していいのかは疑問だった。ただ、真樹は一度その考えを置いて、1年生達に言った。
「まぁ、とにかく。事情は分かった。一旦それは忘れて、パーティをやり直すぞ!」
そう言って真樹はケーキ屋とピザ屋にデリバリーの依頼をした後、家にあったジュースを出して机に置いた。因みに、真樹は今まで事件の被害を受けた時の相手側の慰謝料や示談金、警察からの表彰金を沢山貰っているので、かなりの額の貯金額がある。やり直しパーティーの費用は全て真樹が受け持ち、ケーキとピザの配達が届いた所で、簡単な配膳が終わった。
「こんな簡易的ですまないが、大事な後輩の誕生日会が台無しにされたんだ。俺でよければ、力になりたい。」
そう言われ、登戸は頭を下げながら言った。
「あ、ありがとうございます!湯川先輩!」
こうして、真樹の家で登戸の誕生日会は再開され、大野という邪魔者が現れなかったので全員が料理に手を付けることができ、プレゼントの譲渡も無事に行えた。そして、真樹は心の中で何やら呟いていた。
(大野の奴、ここまで酷いとはな…。野放しにはできなさそうだ…。食い尽くしか…。よぉし…邪魔してやる。)
そう不敵な笑みを浮かべたのだった。
翌日。印西市のショッピングモールにて。
「ここ、日本に来てから気に入ってるの!」
「そうなの?まぁ、美味しいしね!」
沙論と美緒がそんなことを話していた。この日二人は完全にオフだったので、遊びに来ていたのだった。そして、昼時になり唐揚げが美味しい店に並んでいる。
「慶は絶対好きだろうね。今日いないけど!」
「あの子も練習あるし、仕方ないわよ。空いてる時にみんなで来よう!」
そんな話をしているうちに、沙倫と美緒の出番が来た。
「いらっしゃいませ、2名様ですね?」
「はい。」
「そうでーす!」
美緒と沙倫がそう言って店に入ろうとしたその時だった。
「いえ、3名です!私もいます!」
突然の声に驚く二人。振り向くとそこには…。
「あ、あなたは…、大野さん?」
「なんでいるの?」
いつの間にか後ろにいた大野に美緒も沙倫も驚いている。どうやら、彼女はたまたまここに来ていたらしいが、二人が昼食をとることを察知して、二人の後ろに割り込んでいたようだった。
「ちょっと、何なのよ?!」
「いきなり割り込んでこないでよ!」
沙倫も美緒も驚きながらそう言ったが、勿論大野の耳には届かない。
「いいじゃないですか!ほら、店員さんが困ってますよ!早く席に着きましょうよ!ね、ね!私も先輩たちとご飯行きたかったし!」
まるで話が通じず、大野は結局二人と相席した。その後、美緒と沙倫が先に唐揚げ定食を頼み、運ばれてきたタイミングでやはり大野はやらかしてくれた。
「私、唐揚げ大好き!すぐ食べないと、美味しくなくなっちゃうんで、頂きます!」
そう言って大野は二人の唐揚げだけを自分の皿にすべて盛り、ものすごい速さで食べ始めた。因みに、大野はドリンクバーしか頼んでいない。
「ちょ、ちょっと!」
「何すんのよ!」
美緒と沙倫が怒るが、大野には馬の耳に念仏だった。
「美味しい!あつっ、最高!ハフハフ!」
異常な速さで唐揚げを平らげていく大野に対し、美緒も沙倫も気味が悪くなり、すっかり食欲がなくなっていた。そして、唐揚げを全て平らげた大野は悪びれもせずにこう言った。
「あー、美味しかった!そういう訳で、ごちそうさまでした!お会計はお任せしますね!じゃあ!」
大野はやはり1円も払わずに店を後にした。あまりの光景に美緒も沙倫も呆れくしかなく、その後二人は愚痴を言いながら追加注文で腹を満たしたのだった。
こんばんわ。
書いてたら、日付が変わってました。
次回もお楽しみに!




