第161話 首里を見回ろう
こんにちわ!
今月最後の投稿です!
真樹達は無事に那覇空港に到着した。大谷津学院一同は飛行機を降り、預け荷物を受け取った後に到着ロビーに集合した。そして、各クラスが揃った所で那覇まで同行していたツアーガイドの鈴木から説明があった。
「皆さん!お疲れ様です!私のアテンドはここまでですが、那覇からはこちらの玉城さんにバトンタッチいたします。玉城さん、よろしくお願いします。」
鈴木がそう言うと、横にいた女性ガイドが説明を始めた。
「大谷津学院の皆さん、始めまして。本日より皆さんのガイドを担当する、玉城由美です。皆さんはこれからバスに乗り、首里城公園に移動します。忘れ物が無いように気をつけてね下さい。それでは、バスへどうぞ。」
玉城にそう言われ、真樹達はぞろぞろととバスに移動した。その途中、真樹の隣にいた慶が伸びをしながら言った。
「ふぁぁ…飛行機とか久々で肩凝った。真樹、僕お腹空いた…。」
「機内食出ないからな。」
「ソーキそばも食べたいけど、気分的にはタコライスだな!」
「オニィ、飯のことばかりじゃん。」
真樹は笑いながら慶にそう言った。そして、各クラス全員がバスに乗り、首里城公園へと向かうことになった。
「よっしゃー、来たぜ沖縄!テンションMAXだ!」
「さっきまでのヘロヘロ感はどうしたんだよ、杜夫?」
機内では眠そうにしていた杜夫だったが、バスに乗る頃にはすっかり元気を取り戻していた。
「飛行機で爆睡したから、もう大丈夫だ!それより真樹、向こう付いたらアイス食おう!」
「アイス屋あんのか、あの辺?」
そんなやり取りがあった中、バスは首里城公園に無事到着した。そして、バスを降りて案内所の前に大谷津学院一同が集められ、玉城から説明がある。
「皆さん、お待たせしました!ここが首里城公園です。それでは今から自由行動ですが、修繕中の正殿周辺には入らないでください!」
説明後、各生徒達は散り散りに公園内を回ることになったのだが…。
「っしゃー!沖縄来た!映える写真撮って、投稿しまくる!」
学校一のイケメン、大和田裕也は真っ先に何処かへ飛び出して行った。そして、その後を彼の親衛隊の女子生徒が付いていく。
「待ってー、裕也くん!」
「私も行くー!」
「裕也くんと一緒に回りたい!」
班行動では無かった為、女子の殆どは裕也についていってしまった。そして、まだ残っていた真樹達に、立石が苦笑いしながら言った。
「ゆ、湯川君達も気をつけてね。集合時間はちゃんと守るように!」
「わ、わかりました。」
真樹はそう言うと、入口から持ってきたマップを開いて公園内を調べ始めた。そんな中、一際テンションが高かったのは慶と沙崙である。
「いやー、暑いね!やっぱり千葉とは全然違う!トロピカルな感じ!」
「うんうん!気候もそうだけど、昔の建物がある所とか台南に似てるわ!親近感湧いちゃう!」
そして、それは武史と伸二も同じだった。
「なんか、いざ来るとテンション上がるな!ワクワクしてきたぜ!」
「ああ。甲子園行った時とはまた違う。とにかく楽しもうや!」
そう言うと、一同は歩き始めた。そして、最初に守礼門に到着した。
「見て見て、真樹!真っ赤よ!なんか台湾っぽい!」
何故か沙崙が大はしゃぎして真樹の腕を掴みながらそう言った。真樹は苦笑いしながら聞く。
「どうした?隋分はしゃいでるが?」
「いやー、なんか沖縄来たって感じもするし、台南に帰って来た感じもする!とにかく、気分上々なのよ!」
その様子を見て、美緒も苦笑いしていた。
「もう、沙崙ったら。入り口でこんなにはしゃいでたら、その後はどうなるのよ。まぁ、いいわ!せっかくだし、みんなで写真撮りましょう。公津君、カメラは?」
「勿論、バッチリだぜ!」
「了解!すみませーん、写真お願いしまーす!」
美緒は案内所に残っていた玉城に写真をお願いした。杜夫もカメラを玉城に渡し、全員が門の下に並ぶ。
「じゃあ取りますよー!ハイチーズ!」
無事に写真を取り終えて、美緒は玉城に礼を言う。
「ありがとうございました!」
「いえいえ、楽しんでね!」
「ほら!湯川君もみんなも、お礼言いなさい!」
「「「ありがとうございました!」」」
真樹達は礼を言うと更に奥へ進み、木曳門をくぐって西のアザナに来た。
「うわー!すごーい!街が全部見える!」
慶がウキウキな様子でそう言った。ここは那覇の街を一望でき、観光客の人気スポットの一つである。更に、この日の那覇は快晴で海の色も美しく、それを見た伸治が笑顔で真樹に話し掛けた。
「うおー、海メッチャ綺麗!泳ぎてー!真樹、海行ったら競争しようぜ!」
「3日目に行くけどな。つーか、海水浴でガチ泳ぎするやつがあるか。」
真樹は笑いながらそう突っ込んだ。そして、杜夫は夢中でカメラを構えながら写真を撮っている。
「これはいいな!よし、うまく撮れた!これなら写真部のみんなも喜ぶぞー!」
各人、初めての沖縄にテンションが上がっているようだった。真樹も景色を眺めていると、慶が肩を組んできた。
「何黄昏てんの、真樹!写真撮ろ!ほら!笑顔、笑顔!」
「ああ。」
那覇の街と海をバックに、慶は真樹とツーショット写真をスマホで撮った。
「フフフ、いいね!これぞ沖縄って感じ!」
「初日から、メッチャハイテンションじゃん!」
「だって沖縄だよ!テンションが上がらないわけが無いよ!」
慶はどんどんご機嫌になっていた。
「それにしても、すごいわね。もう秋も終わるって時期なのに、まだセミが鳴いているなんて。」
美緒はそう言った。本土では大体9月ぐらいまでセミの鳴き声が聞けるが、沖縄では11月でもセミの声が聞ける。そんな時、背後から沙崙が美緒に言った。
「美緒、今から数秒間は絶対に動かないで。」
「えっ?まぁ、いいわよ。」
美緒は言われた通り、その場から動かなかった。そして数秒後、沙崙と更に武史も現れた。何故か二人共笑いを堪えた状態で。
「結局何だったの、二人共?ってゆうか何で笑ってんのよ?」
美緒が聞くと、武史が笑いながら答えた。
「ププッ…!だって…菅野の背中に…ププッ!とにかくこれ見ろ!」
武史がスマホの画面を見せる。そこには美緒の背中にセミが止まっているのが写っていた。驚いた美緒は慌ててブレザーを脱ぐと、よほど居心地がいいのか、セミはまだ止まっている。
「なっ!いつの間に!」
驚く美緒を見て、真樹達も集まってきた。
「何だ?セミじゃねぇか。沖縄じゃこの時期にもいるんだな。でも、菅野の背中で鳴くとは趣味が悪い。」
真崎が真顔でそう言った。更に慶と杜夫まで…。
「すごい!見たこと無いセミだ!にしても何で美緒に止まったんだろう?」
「菅野、そのまま!セミの写真取りたい!」
そんな各人の言葉を尻目に、美緒は顔を真っ赤にしながらセミを掴むと、茂みの方へ放り投げた。そして、セミはそのまま何処かへ飛んでいってしまった。
「もう!私は木じゃないわよ!隋分失礼なセミね!」
プリプリ怒りながらそう言った美緒。その後、少し時間が経ったところで一同は移動した。そして、かつて正殿があった場所を通りかかった。
「ここに前は正殿があったのか。火事のニュース見た時はびっくりしたぞ。」
「僕もだよ。早く元通りになるといいね。」
真樹と慶はそう言った。以前首里の顔とも言える首里城正殿で火災があり、いくつかの建物が焼失してしまった。現在も懸命に復旧作業が続けられている。
「みんな、ここは沖縄のシンボルの一つよ。一日でも早い復旧を願いましょう!」
美緒はそう言うと、合掌して目を閉じた。それを見て、真樹や慶達も皆合掌して復旧を願った。その後、真樹達は首里城公園の中を色々と回り、あっという間に時間が経ってしまった。
こんにちわ!
真樹達、沖縄を楽しんでいるようで何よりです。
このまま楽しい修学旅行になるのでしょうか?
次回もお楽しみに!




