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真樹VS女子  作者: 東洋連合
Episode9 慶と宿敵
155/333

第152話 天才少女の末路

こんにちわ!

段々涼しくなってますね!

 陸上大会の関東予選は初日を終了した。慶は100m及び400mでも姫宮に勝てず、2位に終わった(姫宮の妨害工作もあったが)。そして、慶は暗い気分のまま帰宅し、夕飯と入浴を済ませて、自室のベッドに寝転がっていた。

「はぁ…悔しいなぁ。」

 昼の結果をまだ引きずっていた慶。そんな時、彼女の携帯電話が鳴った。

「ん?真樹からだ。」

 慶はベッドから起き上がって電話に出た。

「もしもし、真樹?」

『おう、オニィ!大丈夫か?』

「うーん、気分的には沈んでる感じかな?」

『そうか。まぁ、まだ明日あるんだろ。諦めんな!』

「うん。ありがとう。そう言えば、僕がいた会場で刃物を持った女の子が捕まったってニュースでやってたけど、もしかして…。」

『まぁ、間違いないだろ。だが安心しろ。お前なら大丈夫。明日は全力で行け!』

「分かった。明日も早いから寝るね。おやすみ!」

 そう言って慶は電話を切り、そのまま眠りに就いた。


 翌日。大会2日目。

「フフフ。今日も行くわよ!これで私が三冠決めて、全国に行けるわ!」

 姫宮は会場のトイレで、ご機嫌な様子で独り言を言っていた。しかし、その直後に何かを思い出したかの様に目を釣り上げた。

「にしても、あいつ!ドジ踏んで捕まりやがって!まぁ、いいわ!どっちにしても、私が勝つ事と鬼越が地獄に落ちるのは変わらないし!」

 姫宮は昨日仲間の少女がしくじった事に愚痴をこぼしていた。そして、自信漫々な様子でトラックへと向った。

「只今より、陸上大会関東予選2日目を始めます!各選手、全力を尽くしてください!」

 大会が始まった。この日は1000mの予選からスタートだった。姫宮は案の定順調に勝ち抜き、慶もいつもより気合が入っており、他の選手達を寄せ付けない程の圧倒的な走りを見せて勝ち進んだ。そして、運命の決勝戦が始まった。姫宮は位置につくなり、昨日同様慶を挑発する。

「アンタもしぶといわね!昨日で私に勝てないの分かったはずなのに、まだ食い下がる気?」

「関係ないでしょ。」

 慶は呆れ顔で生返事したが、姫宮はしつこく絡んでくる。

「所詮雑魚学校のぬるま湯に浸かって腐り切ったんだから、いい加減陸上辞めたら?アンタみたいな選手、いるだけで目障りよ!私が陸上連盟にいたら、真っ先に参加資格停止してやるのに!」

「はいはい、姫宮さんの言いたい事は分かったから、さっさと試合しよ。」

「…チッ!」

 一向に相手にしようとしない慶に対し、姫宮は苛立ちながら舌打ちした。そして、いよいよレースが始まる。

「各選手、位置について!よーい、スタート!」

 係員の合図で、慶達は走り出した。前日の種目よりも距離が長いので、選手達は体力温存の為にペース配分をしなければならない。それでも現在は姫宮と慶が1位を争っていることには変わりなく、半分近くまで来た時に姫宮はスパートを掛け、慶もそれに付いていく。そして、慶が姫宮を抜く寸前まで行ったとき、またしても事件が起こる。

「うわっ!目が!」

「あっれぇ?今日はどうしたのかな、鬼越さん?」

 突然慶は目に痛みを訴え、視界が塞がれてしまった。実は、姫宮は腕を後ろに振り上げた際に事前に拾っていたグラウンドの砂を慶の顔に撒いていたのだった。視界を奪われた慶を尻目に、姫宮は一気に突き放す。

「アハハ、ザマぁ!じゃあねー!」

 慶を馬鹿にするような事を言いながら、姫宮はゴールを目指す。慶もすぐに目を拭き、視界が少し戻ったところで全力で走った。しかし、それでも追いつく事はできず、またも姫宮が優勝。慶は2位に終わった。

「くそっ!」

「無様ね、鬼越慶。この私に勝とうなんて1億年早いのよ!」

 悔しがる慶に更に追い打ちを掛ける姫宮。しかし、この後予想外の事が起こった。

「ちょ、ちょっと!困ります、止めてください!」

「ご迷惑は承知です!お願いですから時間を下さい!」

 何者かが、係員の静止を振り切ってトラックの運営者席に入ってきた。慶はそれを見て驚く。

「ま、真樹?!」

 何と来たのは真樹だった。真樹は困惑する係員を尻目に、使われてないマイクを手にとって話し始めた。

『大会出場者の皆さん!突然押しかけて申し訳ありません!しかし、これは今後皆さんが平和に陸上を続けるためにどうしても必要な事なんです!』

 係員や慶も含む選手達はポカンとしている。しかし、真樹は気にせず続けた。

『高校陸上界をメチャクチャにしている元凶。それはお前だ!姫宮真依!』

 真樹は姫宮を指差しながら言った。案の定会場はざわついていたが、真樹の話は止まらない。

『お前は自分の力に自惚れ、好き放題していたみたいだな!コイツはライバルを蹴落とす為なら、殺人紛いの事もしでかす最低な選手です!スポーツマンシップの欠片もありません!』

 真樹の言葉に当然姫宮は顔を真っ赤にして怒り出した。

「うるさい、黙れ!適当な事を言ってんじゃないわよ!私は高校陸上界のスーパースターよ!次期オリンピックの代表候補よ!この私がそんなふざけた真似するわけないでしょ!名誉毀損で訴えるから!みなさーん、コイツが言っている事は全部デタラメです!信じないで下さい!」

 反論する姫宮。しかし、真樹は顔色一つ変えない。

『それがお前の捨て台詞か。よーし、じゃあこっちも切り札を出す。おーい、あれを出せー!』

 真樹が客席の方を向いてそう言うと、会場にあったスコア用のモニターの画面が突然変わった。そして、姫宮はそれを見た瞬間顔を真っ青にした。

「う、嘘…。何で?見つからない様にしてたはずなのに…。」

 そこにはギャルメイクの姫宮がヤンチャな仲間達と酒盛りしている動画が映っていた。そして、その後に姫宮が裏アカウントで投稿した他の選手への誹謗中傷の投稿が表示されている。

『姫宮!これでもう言い逃れは出来ないぜ!とっとと観念して、自分の罪を認めろ!』

 真樹に諭されても、姫宮は尚言い訳を続けた。

「ち、違うんです!これは何かの間違えです!ほら、動画の女の子だって私と顔を似てないでしょ!ねぇ!」

 しかし、全てが手遅れだった。顔をメイクで誤魔化しても、声と喋り方で会場にいた人達からは姫宮だとバレてしまった。

「姫宮さんって…。」

「あんな子だったの?」

「美人で陸上強くて憧れてたのに…。」

「幻滅だわ。」

 周囲のヒソヒソ話に焦り出す姫宮。そして、その直後に止めの一撃が入る。何と、会場に警察官が数人入ってきたのだ。警察は入ってきた後、真っ先に姫宮の所に来る。

「姫宮真依さんですね。」

「だったら何よ?」

「えー、貴方。先日の成田での轢き逃げ未遂や、印西での女性暴行事件に関わってますね!」

「そんな訳無いでしょ!適当な事言わないで!」

「残念だが、この間逮捕した少年2人と昨日逮捕した少女がすべて自白したぞ。全部あなたの指示でやったと。」

「クソぉ…あいつら!裏切りやがって!」

「他にも学校内で恐喝や暴行紛いの事をもやってたみたいだね。この前の事件も含めて被害届が数件出されてるんだ。姫宮真依、貴方を暴行及び殺人未遂の教唆で逮捕します。」

 警察達は逮捕状を見せながら、姫宮を連行して行った。

「ちょっと、離してよ!私を誰だと思っているの?!天才ランナーよ!次の金メダリストよ!こんなことしてただじゃおかないから!」

「はいはい、話は署で聞くから大人しくしててね。」

 警察に連れ出される姫宮を、慶達は選手や係員は呆然と見ていた。そして、最後に真樹はマイクを手にとって言った。

『皆さん、お邪魔して大変申し訳ありませんでした。しかし、僕も彼女に大切な友人を傷つけられ、どうしても野放しにしておく事が我慢出来なかったんです。本当に申し訳ありませんでした。失礼します!』

 真樹はそれだけ言うと、マイクを置いて会場から出ていった。


 そして、モニターを操作するブースでは美緒が嬉しそうな表情で笑っていた。

「ザマぁないわね!この私を慶諸共轢き殺そうとした罰よ!」

 実は、昨日山中に会った際に姫宮のSNSの裏アカウントの動画を呟きのスクリーンショットを美緒は受け取っていた。そして、真樹と話し合った末に、それを全員の前で流して公開処刑する事にしたのだった。美緒もモニターブースの係員に土下座をしながら少し貸してほしいと頼み込み、あまりにしつこく頼んだのでスタッフが折れたのだった。そして、美緒自らが操作して映像を流したのだった。

「無茶するなって湯川君にいつも言ってるのに、人の事言えないわね、私。でも、大事な友達を酷い目に合わせたんだから、これ位の仕返ししても罰は当たらないわよね。」

 美緒はそれだけ言うと、機材スタッフ達に無茶を言ったことを謝罪し、部屋を後にしたのだった。

こんにちわ!

次でこの章はラストです。

次回もお楽しみに!

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