第140話 頑張んなきゃ!
おはようございます!
今日は暑いですね!
陸上部の練習の翌日。慶はいつも通り登校していた。この日も特に変わった事が無いまま昼休憩となり、真樹、杜夫、美緒、沙崙と共に教室で昼食を取っている。そんな時、杜夫が話し始めた。
「そう言えば聞いたか?うちの吹奏楽部とチア部の事?」
「いや、何も知らないがどうしたんだ?杜夫?」
真樹が首をかしげながら言った。すると、杜夫は鞄から週刊誌を取り出して、あるページを広げた。
「これだよ、これ。」
杜夫が取り出した週刊誌は『週刊BAKURO』というゴシップ雑誌だ。杜夫が開いたページを見ると、『甲子園初出場、大谷津学院のヤバすぎる裏話』というタイトルで、何やら色々書かれていた。書かれれていた内容は、甲子園での不自然なまでの吹奏楽部とチアリーディング部の少なさ、自分達の大会が大事だからと遠征を拒否した2年生部員たちの事、それが原因で大神や宮下達1年生が自費で遠征しなければならなかった事、その際2年生達から暴言を吐かれた事、にもかかわらずサッカー部の遠征には全て帯同する事等が批判的に書かれている。しかも、適当に書いたものではなく、どうやら両部員の生徒に事情聴取していたらしい。
「まぁ、あの様子を見れば誰かしらおかしいって思うだろ。にしてもタイトルがストレートすぎて面白いな!」
真樹が笑いながら言った。慶も記事を凝視しながら言う。
「よかったんじゃない?このままあの子達が嫌な気持ちのまま泣き寝入りするのは可哀想だもんね。」
そして沙崙と美緒も溜息交じりで言った。
「はぁ…伝統だか強豪だか知らないけど、これじゃあ評判ガタ落ちね。来年新入部員減るんじゃない?」
「いい気味よ。学校はそっちばかり贔屓して、バレー部には何もしてくれない!あ、でも大神さんや宮下さん達の事は応援してるからね!」
そんな事を話しているうちに昼休憩が終わり、午後の授業になった。
放課後
「じゃあ、俺は野球部の練習行くから!」
「うん、じゃあね!」
野球部の練習に言った真樹と沙崙に手を振り、慶は同じく練習が無い美緒と帰ることにした。校舎を出た時、後ろから声をかけられる。
「あ、鬼越先輩に菅野先輩!」
二人が振り返ると、ツーサイドアップの髪型をした除して糸が立っていた。そう、彼女はチア部の1年生の宮下だった。彼女も上級生の反対を押し切り、甲子園に自費で遠征した一人である。
「君は確か…チア部の。」
「どうしたの?」
慶と美緒が首をかしげながら聞く。すると、宮下はご機嫌な様子で二人に言った。
「私達の記事、呼んでくれましたか?」
それを聞いて二人はハッとした。
「じゃあ、あの雑誌のインタビューって…。」
「はい、私が受けました!大神さんも一緒でしたけど!」
慶に対し、宮下はそう言った。美緒は頷きながら言った。
「やっぱりそうだと思ったわ。にしても、よくそんなこと思いついたわね。」
「前に陳先輩が虐められてた時に、湯川先輩が雑誌にタレこんだって聞いたのを思い出しましてね。みんなで話し合って、同じ方法でうちのヤバい部分を暴露して、先輩達を懲らしめようと思ったんです。」
「でも、そんなことしたら余計に宮下さん達の立場が危なくなるんじゃない?」
慶はそう聞いた。しかし、宮下は平気そうな顔をして答えた。
「全然ですよ。ネットにも広がって先輩方や先生が叩かれて、皆さんすっかりしょんぼりしてますね!お陰でむしろスカッとした気分でいられます。」
「どうして私達に話してくれたの?」
美緒が聞くと、宮下は安心したような表情で答えた。
「お二人も部活があるにもかかわらず、初日だけとはいえ湯川先輩達を甲子園まで応援行ったじゃないですか。正直うちの部の先輩方は結構横暴で自分勝手な部分ありますけど、お二人は常識的なので安心して話せるって思ったんです。そう言う訳なんで、長々と私の話を聞いてくれてありがとうございました。失礼します!」
宮下はそれだけ言うと、ダッシュで帰ってしまった。
「自業自得…か。まぁ、あの子にあそこまでさせるほど2年生部員が酷かったってことだよね?」
「全く…同級生として恥ずかしいわ。バレー部は真っ当な部を目指さなきゃ!」
「そういえば、美緒は大会いつだっけ?」
「10月の頭よ。まだ先だけど気は抜けないわ!」
「そうなんだ。僕は再来週が本番だよ。頑張んなきゃ!」
こうして、二人は時期は違うが大会に向けて、お互い健闘を祈りあったのだった。
皆さんごめんなさい。
今回は閑話休題です。
次回から物語を動かすのでよろしくお願いします!




