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07.公爵令嬢、任命試験を受ける。

***前回のあらすじ***

王城から帰宅したクリスティアナに、兄であるヒースクリフが声を掛けた。婚約破棄をされた妹が、どんな思いでいたのかを知ったヒースクリフは、改めて妹のすることを見守ることを決めたのだった。


 翌日──。

 試験会場となる試合場は、見物人が押しかけていた。


「これよりクリスティアナ=アデルバイドの任命試験を行う。クリスティアナ=アデルバイド、前へ」


 セドリック=ウィンダリアに名を呼ばれ、私は緊張を拭えないままに試合場の中央へと足を進めた。

 見物人からどよめきが起こる。


「……ぇ?クリスティアナ=アデルバイドって、まさかあの氷の令嬢?」

「うっそぉ、あの方女性なの?!」

「ロンバート殿下に婚約破棄されたそうよ。ご乱心?」


 何だか色々言われているが、こうなるだろうなとは予想はついていた。

 まぁ、好きに言わせておこう。その内飽きるだろう。多分。


 ざっくりと、セドリックから説明を受ける。

 先に渡された銀の腕輪は、魔力を抑制するもので一定以上の魔力が使えなくなるというもの。渡された剣もまた、殺傷力を減らす為刃引きがされている事。

 相手は赤の騎士団団長、セドリック=ウィンダリア。


 私は呼吸を整えて、剣を正面に立て、騎士の礼を取ってから、剣を持つ右足を少し前に重心を落とし、剣の切っ先をセドリックの首元へと向けて構える。

 対するセドリックは、少し斜に構え、背筋を伸ばしたまま切っ先を此方へと向けている。


「──はじめ!!」


 騎士の号令に合わせ、私は一気に飛び込んだ。牽制とばかりに剣を横なぎに振るう。

 セドリックはそれをそのまま受け止め上へと弾く。

 跳ね上げられた手首を返し、がら空きになった胴を狙う。

 これも軽く受け止められる。


 当たり前だが、力量が違うのは判っていた。冷たい目が私を見下ろしている。

 一方的に私が切りかかり、それをセドリックが受け止める、その剣のぶつかり合う音だけが響く。


「なんだ、どんな奴かと思ったけど大したことないな」


 そんな言葉が聞こえて来るが、私はじっとチャンスを狙っていた。

 息が上がってくる。吹きだした汗が目に入り、視界がぼやけてくる。

 目が痛い。酸素が足りない。腕が重い。足が重い。


 弾かれて、よろめいた。私の足が、止まる。足が震える。


 終わりだ、と言うように、初めてセドリックが、剣を振り上げた。


 ──今だ!


 私は悲鳴を上げる足に鞭を打つ。

 振り下ろされた剣に自分の剣を添わせるように当て、受け流しながら一気に懐へと飛び込んだ。

 押さえていたスピードを一気に加速する。

 私の速度に慣れただろうその目には、いきなり上がった私の速度は追いつけまい。そのままセドリックの胸倉へと手を伸ばす。


 このまま至近距離から魔力を放って──



 次の瞬間、後頭部にガンっと強い痛みを感じて、一瞬で私の意識は刈り取られてしまった。


ブクマ&評価有難うございます!励みになります!次は深夜に投稿出来るかな?頑張ります。

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