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■「マスターの18禁設定は解除されてますよね?」


「待て待て待て」

「マスターの18禁設定は解除されてますよね? 大丈夫ですよ。モザイクがかかるなんてことはないですし、エッチな行為も普通にできますから」

「そういう意味じゃなくて……」


 鼓動がどんどん高まっていく。そればかりか下半身まで反応して。


 ……けど、頭を過ぎるのは兎月のこと。


 俺は、アメリアを妹の代わりとして愛そうとしている。


 そんなことが許されるのか?


「わたしじゃダメですか?」


 彼女も気付いている。兎月じゃなくて、アメリアという自分を見てほしいのだ。


 そんな面倒くさい設定、非実在キャラに組み込むなよ!


 それが現実でなかろうと、俺はアメリアに同調し、同情し、情愛して、欲情してしまう。


「アメリア……」


 名前を呼び、その存在を確かめる。ヴァーチャルな世界。全部ニセモノ。けど、俺のこの感情までニセモノなのか?


 俺は不安そうな顔をしたアメリアの頬に手を当てる。


 現実と変わらぬ温もり、そして肌のもちっとした感触。流れた一筋の涙が俺の手を伝わってくる。



【重大なエラーが発生しました】



 聞いたこともないような警告音が鳴り響き、目の前にコンソールパネルが開いて真っ赤な文字が表示された。


「な、なんだ?」

「え? なんで?」


【これより緊急メンテナンスモードに入ります。ユーザーは『C』からのログアウトを推奨します。これより1分以内にログインされない場合は、キャラクターデータを失う恐れがありますのでご注意ください】


 なんだよ……こんな時に。


 いや、むしろ助かったのか? 今の状態でアメリアと関係を進めてしまったら俺は兎月に顔向けできない。


「緊急なら仕方ない。とりあえずログアウトする」


 俺は起き上がると、アメリアを見下ろす。


「……」


 アメリアは俯いて悲しそうに黙ってしまう。


「メンテ終わったらすぐログインするから」

「……」


 心が痛む。たぶん、二股をかけるような奴ってこういう優柔不断でどちらも悲しませたくないという偽善からくるのだろう。そして、俺もただの偽善者であることを痛感する。


「アメリア。また会おう」


 俺は彼女の手を引き、立ち上がらせるとアメリアを強く抱き締める。


 柔らかくて温かい彼女の体温が伝わってくる。ただのヴァーチャルな世界だというのに、ここはあまりにも現実世界と酷似している。


「マスター……あ……」


 彼女が何かを言おうとしたが、ログアウトの途中だったので、それは途切れてしまった。


 アメリアは何を伝えたかったのだろう?




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