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41:懐かしい仲間

 聞いたところによれば、シンはクロエに拾われる際、一緒に捕まった仲間を助けなかったらしい。それがずっと心に引っ掛かっていたのだと――思わぬ再会に、シンは言葉もないようだった。


『みんな……生きて…』

『おいおい、勝手に殺すなよ。まあお前が受けてきた貴族からの仕打ちを思えば、無理もないけど。スラムが解体した後の事だって、賭けだったよなあ』

『見た目が気に入られたお前はともかく、ほとんどが汚れ仕事させられたし。俺らだって冒険者になるためにしごかれたんだぜ、ガハハハ』

『…ねえ、もしも貴方が今まで、あたしたちの事でずっと罪の意識に苛まれてきたのなら』


 魔術師の少女がシンの手をぎゅっと握る。鼻を啜る音が聞こえた。


『これからはもう苦しまなくていいよ』

『旦那様もお嬢様の我儘っぷりには手を焼いてきたけど、今回の事であの人も思う所あったみたいだし』

『また一緒にバカやろうぜ、なっ!!』

『みんな……う、うう』


 ここだけ見れば、感動の場面なのだろう。しかしそれを覗き見ている面々からすれば、平穏ではいられない。何せシンはクロエを恨み、陥れるためについていった監視役なのだ。わだかまりの根本が昇華され、昔の仲間と仲良しこよしでこの先連れ歩いては、目的が果たせない。


『くそっ、いきなり出てきて何なんだお前らは! クロエの手先か?』


 ロックのクッキーをいきなり奪った事を棚に上げて激昂するダイが、こちらから見ても小物感半端ない。ムキになればなるほど悪党にしか見えなくなってくる。


『うーん、関係者ではあるけど、お嬢様は知らないんじゃないかな。今の俺たちが名乗るとするなら……双剣のグリンダの新しい冒険者パーティー。俺は盗賊ラキ』

『魔術師キサラよ。お嬢様ほどではないけど、回復魔法も少し使えるの』

『そして戦士のサムだ、よろしくな。俺たちとロックはここのダンジョンで魔水晶を発掘するために組んだ仲間って訳だ』


 三人が指差す先には、ほとんど屑と化したクッキーを口にするロックの姿があった。笑いかけられたクロエは顔を真っ赤にして口元を盆で隠している。きっとお世辞の一つでも言われたのだろう。

 彼等を見比べていたダイはシンに掴みかかり、耳元で囁く。


『おい、それでどうすんだよ? あの女はロックにぞっこんみてえだし、お前の仲間もあいつの味方だ。このまま作戦を続行できんのか?』

『それ、は……』


 立て続けに起こったハプニングのせいで、シンは冷静な判断ができないでいる。ダイはじっとそんな彼を見ていたが、不意に彼等に向かって言い放った。


『よし、分かった。俺もお前らについて行ってやろうじゃねえか』

『はあ? 何を言っているんだ、お前は』

『この女をとっとと修道院につれて行かねえと、いつまで経っても反省できねえだろ。だから手伝ってやるんだよ』


 さも名案とばかりにふんぞり返るダイに、クロエとロックもぽかんとしている。シンは慌ててダイの口に飛び付いた。


『また勝手な事を! 殿下には何と説明するつもりですか』

『そのまんま言えばいいだろ。ぐだぐだ考えるのは俺は苦手だ。クロエがろくでもない女のままか、何か変わったのか……頼りにならないお前に変わって俺が確かめてやるんだよ』



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