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31:城内会議①

 恒例の上映会を終えた翌日、レッドリオは城内会議に呼び出されていた。いつもなら朝議で形式的な報告だけしてきた大臣たちがテーブルを取り囲み、嫌に物々しい。

 弟イエラオの横の席に着くと、父である国王は口を開く。


「レッドリオよ、そなたが王位継承権を譲るのではないかと言う話が出ているのだが」

「…何の事でしょう? 私に王家としての職務を放棄するつもりはありません」

「しかしセレナイト公爵令嬢との…」

「確かに現在、婚約者はおりません。ですが私には心に決めた女性がおります。過去の例に倣い、真の聖女を妃に迎えようと思っております」


 クロエの存在自体なかった事にしようとするレッドリオに、右宰相の頬がピクリと引き攣った。


「聖女を王家に迎え入れるには、まずは相応しい貴族に養家になってもらう必要がある。聖女は未だ平民……今のままでは婚約など認められぬ」

「それについて、セレナイト公爵に打診したのですが、色よい返事がもらえないのです。ここまで頑ななのは、実の娘の恋敵を養女に迎え入れるのに思う所ありとも取れますが……」


 本当に、何をしているのだと右宰相を睨み付ける。城内の派閥は第一王子派と第二王子派で真っ二つに割れている。お互いが少しでも多く味方を取り込もうと日々奔走しているが、そんな時にレッドリオが仮の聖女で右宰相の娘であるクロエとの婚約を破棄した事で、パワーバランスが揺らいでいる。彼としては、真の聖女モモと婚約さえできれば持ち直せるのだが。


「レッドリオはこう申しておるが。右宰相、何か申し開きはあるか」

「恐れながら……陛下直々の御命令とあらば、従わぬ理由などございません。また、親心から聖女に怨嗟を抱いていると疑われるのも、甚だ疑問。娘が犯した罪に対する処罰は正当なものと納得しておりますし、にも関わらず聖女を養子にと言う話もまた光栄に存じております」

「ならば、何故…」


 右宰相はざわつきの中で水を飲み、喉を湿らせた。一旦この行動を挟むのは、彼が何か言いにくい事を口にする時だ。ぎゅっと目を閉じ、恥じ入るように頭を下げる。


「お恥ずかしながら……愚息が駄々を捏ねておりまして」

「そなたの息子と言うと……レッドリオの元婚約者クロエの兄ダークであったな。聖女との婚約に反対しているのか」

「そっ、そんなはずはない! ダークはモモと兄妹になる事を喜んでいた。父を説得するとも言っていたぞ!」


 ガタンと立ち上がったレッドリオに、国王は眉を寄せる。イエラオも冷めた視線を兄に送っていた。


「レッドリオ、座れ」

「しかし……」

「右宰相、続けよ」

「は、はい……殿下の仰る通り、愚息は聖女を公爵家に迎える事に賛成でした。ですが一方で、自身に出ていた婚約の話を白紙にしたいと言い出しまして……」

「何だと!?」


 反応したのは、王家の血筋であるホワイティ辺境伯だ。ダークは彼の娘シィラとの婚約話が出ていた。だが妹の事で女性不信になっていたダークはろくに交流もせず、形だけの婚約でしかなかった。


「無論、とんでもない事だと突っぱねましたよ。しかし愚息は、心に想う女性がいるのに婚約者でいる方が不実だなどと……それから親子喧嘩になって養子の話も進まず、頭を冷やすためにネブル将軍の元に預けました」


(ダークめ、話が違うではないか!)


 右宰相が身内の恥を晒す屈辱に真っ赤になっているが、同じくレッドリオも顔を紅潮させて身を震わせている。ダークが心に想う相手と言うのは、もちろんモモの事だ。だが兄妹になれば当然の事ながら、結婚などできない。と言うより養子の話自体、レッドリオがモモと婚約するために出た話だ。妹として受け入れると言っておきながら、騒ぎを起こして自分から話を遅らせるなど、一体何を考えているのか。


「セレナイト公爵、貴方がモモ嬢を養女にする事を迷っているのは、その御子息の想い人だからですよね」


 そこに、イエラオが爆弾を落としてきた。



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