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18:第二王子の参加

 夜中に追放した元婚約者を監視するこの集会も、すっかり恒例となってしまっている。どうせならば愛するモモの日常を見守りたいものだが、さすがに犯罪だ。それに好きな女のプライベートを誰が他の奴等に見せたいものか。そう思ったところで、モモに会いに行った日の事が思い出されて眉間に皺が寄る。


「どうしました、殿下。モモ嬢の事を考えていたかと思えば渋い顔をして」

「待て、何故俺が考えている内容が分かる」

「それは長い付き合いですから。顔を見れば何となく」


 乳兄弟の澄ました顔が憎たらしい。そう言うセイも普段はクールな振る舞いが売りではあるが、モモが絡むとレッドリオに負けず劣らず表情筋が緩んでいる自覚はあるのか。


「本物のチャコ=ブラウンに会ってきた。クロエが無断で名前を使っているとな。モモに聞いたところ、二年連続で同じクラスだったそうだ」

「へえ…モモのクラスメートだったのか。そりゃさぞかし業腹だったんでしょうね」


 まだ始まったばかりだと言うのに、早くもダイはバクバクとお茶請けの皿を空にしていく。ダイは将軍の息子である事を誇りとし、父のような男を目指そうと日々鍛錬に励んでいるが伸び悩んだ時期があり、モモが差し入れに行ったり励ましている内に恋に落ちたのだと言う。そう言う優しいところがレッドリオも好きなのだが、正直言うと誰彼構わず振り撒いて欲しくないとも思ってしまう。この娘は自分の事が好きなのだと、うっかり勘違いする男が激増するのだから。


「いや、それが使ってくれて光栄だと言うんだ」

「何だよそれ!? そいつはあの女の味方なんですか!?」

「知らん。モモとの付き合いも今はないようだし、友人ではなかったのかも知れん。まあ、この件に関してはもういいだろう。モモには俺たちがいればいい。それよりクロエの企みを暴かなくては」


 チャコの不快な態度を忘れるために話題を打ち切ると、レッドリオは上映会の準備を始めようとした。


 その時、ドアがノックされる。この時間に立ち入れるのはいつものメンバーだけで、それ以外は禁止しているはず。訝しく思い開けてみると、そこにいたのはレッドリオの弟、第二王子イエラオ=キース=カラフレアであった。


「キースか。何の用だ?」

「兄上が何やら面白そうな事をしていると聞いたもので、僕も混ぜてもらおうと思いまして」

「遊びじゃないんだぞ。これはクロエが逆恨みでモモに危害を加えないかと言う――」

「そんなに心配なら追放ではなく幽閉しておくべきだったのですよ。何故わざわざ遠くへ追いやりながら動向を逐一追っているのか、理解ができませんね」

「贖罪の程度からして、聖教会への奉仕と言う形に決まったんだよ。本当なら俺だって幽閉…いや、処刑してやりたいくらいなんだ」


 レッドリオは昔からこの賢しい弟とは反りが合わなかった。幼い頃に決められた婚約者も粛々と受け入れ、さらに断罪される前はクロエともそれなりに良好な関係を築けていたのも。婚約破棄した事で王位継承権が弟に移るんじゃないかと言う話も持ち上がってきている事も聞いている。


「へえ、それで監視を……それじゃ、僕も参加しようかな」

「しなくていい。お前は別にモモに惚れてた訳じゃないだろう。この監視はモモのためだぞ」


 部屋に入ろうとするイエラオを、レッドリオは押し返そうとした。


「別に他人事ではないよね。クロエ嬢は仮にも義姉になるはずの人だったし、モモ嬢も兄上と結婚すれば僕の義姉上だ」


 しかしイエラオの言い分で「モモが兄上と結婚」と聞けば、つい手の力が緩んで部屋に招き入れてしまう。そこへプライベートな空間のためか、王子たちのやり取りに部下が口を挟んできた。


「聞き捨てなりませんね。まだモモ嬢が誰と結ばれるのか、決まった訳ではありませんよ」

「そうだぜ、殿下に忠誠は誓ってもそれとこれとは別だ」

「誰と結ばれようと、もう私の家族になる事は決まっていますけれど」


 わいわい騒がしい部下たちの声を聞こえないふりで、レッドリオは鏡にブローチが記録した映像を映し出した。



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― 新着の感想 ―
[一言] 男が三人寄れば… まさに、たばかる(変換出来ない)ですね
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