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17:チャコ=ブラウン

 学校に足を踏み入れるのには、それほど日が経っていないにも関わらず、もう懐かしい気持ちになる。そこにはモモとの輝かしい学園生活と、それ以前の灰色のつまらない日々が折り重なっている。

 職員室へ行き、チャコ=ブラウンについて聞いてみれば、新聞部なので放課後の部室へ行けば確実に会えるだろうとの事だった。確かに授業や休憩時間を邪魔しては悪い。


 既に卒業した自分がふらついていては目立つだろうと、学園のサロンで時間を潰してから部室に向かうと、数名の部員が集まっていた。その中に変装したクロエと同じ髪型の、チョコレート色の髪と目をした女子がいる。


「君が、チャコ=ブラウンか?」

「はい、そうですけど。殿下がこんな場所までどのような御用で…?」


 新聞部にはクロエの断罪で世話になったが、その面々はレッドリオと同時に卒業している。そして現在の部長がチャコのようだった。


「私用だが、君の耳に入れておきたい事がいくつか……ここじゃまずいか」

「では場所を変えましょうか」


 人に聞かれない場所と言う事で、サロンに逆戻りする事になった。学生時代はここを貸し切りにして、モモとよくお茶したものだ。残念な事にセイたちがくっついてきたので二人きりとはいかなかったが。


「モモのクラスメートだと聞いているが」

「ええ、まあ。モモ嬢は今年から休学しましたけど、それまでは同じクラスでしたよ」

「……君は友人ではないのか?」

「モモ嬢がそう言ったんですか?」


 まずはモモの話題から入ってみるが、随分と素っ気ない。何か含む所でもあるのか、質問を質問で返された。ひょっとしてクロエの妨害関係なしに、チャコはモモを嫌っているのではないかと邪推してしまう。


「モモは孤立させられていた。話しかけられても無視される、持ち物を盗まれたり壊されたりすると相談された事もある。黒幕は俺の元婚約者のクロエだ」

「それで卒業式後の聖教会で婚約を破棄し、王都追放になったんでしたよね」


 貴族に比べてやや大雑把な仕種でお茶を飲むチャコの表情は変わらない。そこにはモモへの同情も、クロエへの軽蔑もなかった。ただ事実を述べたに過ぎない。


「クロエが君の名を騙って庶民のふりをしているのは知っているか」

「えっ!?」


 初めてチャコの目が驚きで見開かれた。レッドリオはクロエに付けたスパイからの情報だと伝え、心当たりはないかと聞くと、彼女は神妙な顔をした。


「学園新聞の記事には書いた記者の名前が載りますから、知っていてもおかしくはないです」

「こんな事を言うと気を悪くするだろうが、君が疎遠になったのはクロエの介入があったからじゃないかと疑っている」

「考え過ぎですよ。私とモモ嬢はそこまで親しい訳じゃありません」


 本当に気を悪くしたのか、目を細めるチャコ。自分とクロエが繋がっていると言われた事に対してかと思いきや、モモの友人と呼ばれた事に引っ掛かりを覚えている事に驚く。


「しかしモモの話では、君から話しかけてきて世話にもなったと」

「ああ、まあ最初はそうでしたよ。仲良くなって色んな話をする内に、私の持っているとっておきの情報をいち早く教えてあげたりもしました。……途中から向こうからぱったりと話しかけてこなくなりましたけど」

「喧嘩でもしたのか」

「不満らしい事は何も言われませんでしたけど、あの頃のモモ嬢から向けられる空気から察するに……もう『用済み』になったんじゃないかなって」


 チャコの言っている事がいまいちよく分からない。とにかくクロエに偽名として自分の名前が使われている事には、よくある名前だから気にしていないし、むしろ光栄だとまで言われた。モモを気にかけて欲しいと言う頼みに対しては――


「ご命令下さればしますけど。モモには余計なお世話じゃないですかね…」


 失礼します、と頭を下げたチャコはそれだけ言うと顰めっ面のレッドリオを残してサロンを後にした。



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― 新着の感想 ―
[一言] 有益な情報ってもしや…?クロエとチャコは転生者なのかね
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