表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

10/475

9:監視報告①

 ザザッ、と映像が乱れ、次に映ったのは真夜中の教会。

 そこで初めて、王都を出てからのシンの顔が映し出される。


 魔法のブローチは映像を記録するだけでなく、編集して短時間でまとめる事もできる。今まで見ていたのは編集された記録映像、そして現在がリアルタイムだ。長い間見入っている内に、いつの間にか夜も更けてしまったのだろう。


「ご苦労だったな。アクシデントはあったが、まあ無事でよかった。お前は我々の同志だからな」

『恐れ入ります。私めも驚いております。お嬢…クロエ嬢があんなにもイレギュラーな状況に素早く適応できたとは』

「ボロが出るから『お嬢様』のままでいい。そうだな……追放が決まった時から、まるで別人のように聞き分けが良くなった。何か企んでいるのか、抵抗するのを諦めたか……いずれにせよ、馬車がなければそこから動けまい。すぐに助けを遣わそう」

『一応、お嬢様にお伺いを立てなければ怪しまれます。朝一番に早速聞いてみる事にします』

「そうしろ。では、次の報告を待っている」


 プツッとシンの姿が消え、鏡に我々の姿が映る。


「さて、クロエの動向だが……お前たちの目にはどう映った?」

「今の所、問題行動は起こしていないように思いますが……何分、今までが問題だらけなもので」


 セイの意見に、もっともだと頷き合う。ダークはさっきから不機嫌が治まらない。


「あいつのしおらしい態度に騙されてはいけません。クロエの本性はモモ嬢とは正反対のどす黒さですよ」

「言われなくとも分かり切っているし、モモと比べるのも烏滸がましい……お前の前であまり妹君の事を悪く言いたくはないが」

「もう勘当されていますので心配は無用です。それに…今の私の妹は、モモただ一人ですから」

(頬を染めるな、まだ正式に養女になってはいないだろう)


 結局ダークは、モモへの思慕を無理矢理兄妹愛に落とし込む事にしたようだ。レッドリオを前にしてモモを呼び捨てにするなど、兄妹ならではの役得にまんざらでもなさそうだ。


「俺は山賊との立ち回りが、意外とやるなと。あれだけ大人数の男に囲まれても、平気な顔でクロスボウ構えるとこなんか痺れましたぜ!」

「山賊のほとんどはシンが相手していただろう。…だが、そうか。クロエを気に入ったのなら、お前と婚約させてやってもいいんだぞ」


 騎士見習いのダイはとことん脳筋思考だ。手合わせができるなら大抵の細かい事は気にしない。ただしさすがにクロエも、剣など振り回せるほどの筋力はない。クロスボウについては、非力なりにいざと言う時のために訓練していたと聞いた事がある。


「殿下ぁ、冗談は止して下さいよ。俺は守ってあげたくなるような、か弱い子がタイプなんです。あんな弱い者虐めが趣味の陰険女とはごめんだ」

「何だ、せっかくライバルが減ると思ったのにな」


 クロエをぼろくそに叩き、先程の溜飲を下げれば、体が思い出したように眠気を訴えてくる。


「とりあえず、今日のところはここで解散しよう。あまり遅ければ明日に響く」

「では、また伺います。我らの愛する聖女のために」


 最後は揃ってモモへの愛を唱和し、三人は部屋を後にした。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

バナーイラスト
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ