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第七王子に生まれたけど、何すりゃいいの?  作者: 籠の中のうさぎ
学園編

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81/140

81話


「俺様の足を引っ張んじゃねぇ、以上」

「馬鹿か、終わらせんな。何のための作戦会議だ!」

さっさと実戦に移ろうとするシーシキンの襟首をつかんで引き戻す。

「さっき単体でシローに負けたの忘れたのかよ!? いいから、一回俺の話聞け!!」

「あ? テメェに何ができんだよ」

本気で俺のことを下に見ている目だ。

わかる、わかるぞ?事実俺はお前より弱いけどな?

「お前は確かに強い。でも、俺とお前を単純に足しても、シローのいるあっちのチームには勝てない」

「雑魚が」

ビキリと額に青筋が立つが、何とか抑え込む。

「これは、チーム戦だ。単純に強いやつが勝つのがチーム戦じゃない。二人で強いチームが勝つんだ。チームは戦力と戦力の足し算じゃねーんだよ。どれだけ互いに協力して、戦力を倍々にしていくかが勝負に勝つ鍵だ」

ぐっとシーシキンの襟を掴み引き寄せる。

「勝つぞ、シーシキン」


◆◆◆◆◆


「お! ライとアルの方も作戦会議終わったー?」

先に準備のできていたシローたちが余裕そうにそう聞いてきた。

「おう、ばっちり。待たせたな」

渋々ながらも俺の作戦に従うと言ってくれた。

ものすごく顔は不機嫌そうだが。

「おい、シーシキン。頼むから、最初だけは俺の作戦に従えよ」

「使えねーと思ったら俺のやり方で行く」

そう言ってシーシキンが俺の一歩前に出る。

互いのチームの睨み合いが続き、ぐっと重心を下に落とし込んだシローがこちらに一歩踏み出した。

それを合図にシーシキンが剣を振りかぶり、試合がスタート!!

案の定シーシキンの相手はシロー。

俺に向かってもう一人が突っ込んでくる。

でも、俺の仕事はこいつとやりあうことじゃない。

一瞬で唱えることのできる筋力強化の魔法を俺とシーシキン二人にかける。

そのタイミングで俺も刃を交わす。

しかし、俺が筋力を強化したことにより、シローと鍔迫り合いをしていたシーシキンがその均衡を崩した。

まさか力勝負でシーシキンに負けると思っていなかったのだろう、シローが一瞬驚いたように目を丸くし、隙が生まれた。

俺も同じタイミングで、向かってきた相手の剣を大きく弾き飛ばす。

相手は俺の筋力をもう少し下に見ていたようで、意表を突かれたようだった。

残念ながら手ばなさせるまではいかなかったが、大きく相手の体勢が崩れる。

それに合わせ、シーシキンがシローに背を向け俺に向かってきていた相手に大きく切り込んだ。

それと同時に、俺は自分とシーシキンに素早さのバフをかけつつシローに切り込む。

「驚いたなぁ!! ボクの相手はてっきりアルにまかせっきりやと思ったわ!!」

さらに切り込んでくるシローの攻撃をかわしつつ、俺は軽く攻撃を打ち込む。

素早さバフの効果はあと数十秒。

しかし、素早さが上がっている今、もともと攻撃の遅いシローの剣では俺をとらえきれない。

「ちょこまかと……ッ! でもそんな逃げるだけでボクには勝たれへんよ!」

ブンッとふられた剣を受け止め、その力に少し体勢を崩された。

その隙を逃さず追撃してくるシローの攻撃をなんとか回避する。

あっぶね、バフなかったらモロ食らってた。

「ほらほら!! はよライも打ち込んできーな!!」

アドレナリンどばどば出てるであろうシローの言葉に応える余裕もない。

俺は今効果時間把握に忙しいんだよ!!

素早さバフの効果はあと数秒。

しかし、そこで先ほどスイッチしたシーシキンがきっちり相手を仕留めて戻ってくる。

バフのおかげでいつもより数段速い攻撃をシローに打ち込もうとし、それをシローがとっさにいつも通り受け止めようとした。

そこで、とうに切れた最初のパワー増加の魔法を、今度はシーシキン単体にかける。

魔法の効き目は魔力の大きさ。俺とシーシキンに分散させてかけた最初ですらパワーで劣るシーシキンがシローの剣を大きくはじいたんだぞ?

じゃあ俺にかける分もシーシキンに割り振ったら?


ギィンッッ!!


シローの手から離れた剣が飛び、シーシキンの後ろ。

つまりシローからはすぐに取れない位置へと突き刺さった。

「俺様の、勝ちだ!!」

そのまま切っ先をシローの眼前に突きつけたシーシキンが得意げにそういった。

ゲームセット。

あくまで俺は時間稼ぎとステータスアップ役。

倒すのはシーシキンに一任しました。

適材適所、ってね。


「いやー、ボク絶対勝てる思ってたのに!! まさかボクよりも弱いライもすぐに倒せへんとは思わんかった!!」

試合後興奮した様子のシローに肩を組まれ、わしわしと頭をかき回された。

「うあっ。ちょ、痛いっ!」

「ごめんごめん! でもなんや、アルもライもいつもより動き良かったやんなぁ! なにしたん!?」

「えっと。俺とシローが真正面から打ち合っても絶対俺が負けるだろう? だから、最初はシーシキンにシローの相手をしてもらう。で、絶対にシーシキンとシローが打ち合うほうが、俺のところにシローのペアが来るよりも早い。だから、その数秒でかけられる筋力増加の魔法を俺とシーシキンにかけたのね」

で、互いに互いの相手に隙を作る。

なぜなら、俺がまともに戦えば俺は一〇〇パーセント負ける。

で、シーシキンとシローだと実力が拮抗し、多少バフをかけたところで泥仕合。

時間が長引けば長引くほど、バフの消えた俺が負けて二対一でシーシキンも負ける確率が大きくなる。

だから、早々にシロー一人に対して俺たち二人の構図にしたかった。

隙を作ったタイミングで俺がシローの相手をして時間を稼ぎ、素早さの上がったシーシキンにもう一人をすぐに倒してもらう。

素早さバフがかかる時間は持って数十秒。

この効果が切れるまでにシーシキンが戻ってこなければ、俺がシローにやられて負け。

こればっかりはシーシキンの実力を信じるしかなかった。

俺は素早さが上がっている間にシローの攻撃をしのぎ、シーシキンのもとに行くことを妨害することが目的。

そしてシーシキンがもう一人を倒して戻ってきたタイミングでシローの相手を交代。

シーシキンとシローの実力は拮抗しているので、シーシキンさえ戻ってくれば俺は完全フリーになるので、最初よりも強い魔力で筋力増加をし、その拮抗を崩してやればいい。

「チーム戦において勝つためには、戦力をいかに足していくかじゃなくて、いかに倍々にしていくかだからな」


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