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第七王子に生まれたけど、何すりゃいいの?  作者: 籠の中のうさぎ
幼少期編

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50/140

50話

「ところで、俺たち今どこにいるの?」

とりあえず、ボッサが先ほど王宮を出てしまったと言っているので王宮ではないことはわかる。

だがしかし、いかんせん王宮の外に出ること自体が初めてなので、位置関係がわからない。

今は金持ちの家にありそうな繊細な装飾の施された鉄製のゲートの前だ。

走り出してきたとはいえ、まあバルツァー将軍の目の前で脱走したから俺まで攫われたとかいう話にはならないだろう。


「そうですなぁ。詳しいことを話してしまえば長くなりますので簡単に。王宮は中央の大広間を中心に王族の住まいと国の中枢機関が円形状になっているでしょう?中心の円を軸にそれぞれ回廊が伸びています。その回廊の先に庭園があり、その外側にそれぞれ職員棟が二棟あります。今は西側のその職員棟をふたつ過ぎた先にある正面ゲートを出たところですね。」

そう言いつつくるりとキュリロス師匠が振り返れば、確かにゲートから続く道の先、ヨーロピアンな彫刻の施された四階建てほどの建物が見えた。

また、人はあまり多くはないが、自分達の今いるゲートからその建物へと延びる道にはまばらに人が行き来している。

窓から飛び出た後はずっとキュリロス師匠の胸元にぎゅっと抱き着いていたのでそんな距離を走っていたなんて気が付かなかった。

恐らく体を軽くする魔法とか、脚力強化の魔法でもかけたのかな?


「と、いうか。今日はいつものプレートアーマーじゃないんですね。」

「ライモンド殿下を抱えるのにあの鎧では冷たいでしょう?昔着ていたものです。」

似合いますか?と少し小首をかしげるキュリロス師匠プライスレス。

ズボンをブーツにインして、第一ボタンまでしっかりとしめたシャツの上にチェックのベストを着ている。

「強いて言うならかっこいいです。」

「おや、ありがとうございます。」

「ねぇ、いちゃつくのはいいんですけどカッシネッリ邸に行くなら早く行きません?」


心なしかうんざりした表情のボッサがそう言って王宮とは逆方向を指さした。

「これ、辻馬車借りるよりも一度軍の訓練場まで戻って馬借りるほうが早いですよね。ちょっと私警備のものに話付けてくるんで、絶対に二人とも動かないでくださいね?」

「それはフリかな?」

「フリじゃないですよ!!!絶対動いたら駄目ですからね!?」

ボッサはそう言うとチラチラとこちらを見ながら先ほどキュリロス師匠が見せてくれた職員棟に走っていった。

まあ流石にボッサを置いて行ったら可哀そうかなって。

あと、後々バルツァー将軍に報告してもらう係は欲しい。

「ところで軍の訓練場ってどこにあるんですか?」

「西側の職員棟、外側を一般棟、内側を職員棟という呼び方をしますね。外側の一般棟では各種申し込みや申請などができます。王宮で働いていない一般市民の出入りはこの一般棟までですね。内側の職員棟はその一般棟から上がってきた事務処理などを行う場ですね。この一般棟と職員棟の間にそれぞれ王宮の警備を目的とした軍の詰め所があります。訓練場も同じ場所ですな。」

ボッサを待つ間に、キュリロス師匠は一度俺を地面におろし、自分の腰に巻いていた腰布をはずし、マントのように俺にかぶせてくる。

黒髪は一目で王族とわかるからしょうがないね。

「あれ、じゃあ俺たちもその訓練場を抜けて来たってことですか?」

「ははっ。彼らにばれるような真似はしていませんので、ご安心を。王宮から抜け出すときはぜひ私にご一報くだされば連れ出して差し上げますよ。」


「それやると私たちの後処理大変になるんで今後はやめてくださいよー?」

そう言ってボッサが馬を二頭引き連れて帰ってきた。

「おや、馬車ではないのですか?」

「あいにく、馬車は借りるまでに時間がかかりそうなので、馬にしました。ライモンド様も早くカッシネッリ邸に行きたいかと思いまして。あと、本当は王族が外に出るって一大事なんですからね?」

「そうですね。でも俺馬に乗ったことないからキュリロス師匠お願いしますね。あと、今回みたいな非常時じゃなかったらやりませんよ。」

「ではライモンド様、口をしっかり閉じておいてくださいね。」

俺を抱えたままキュリロス師匠はひょいと馬に乗り俺を前に座らせた。

そのまま俺の背中とキュリロス師匠のお腹が離れないように、懐から取り出した紐で俺と自分の体を固定させた。

「さて、では参りましょうか。」

「これ私がいなかったらライモンド様もキュリロスさんもどうするつもりだったんですか。」

軽く馬を駆けさせたキュリロス師匠と自分を固定する紐をぎゅっと掴んだまま俺は口もぎゅっと引き結ぶ。

馬って結構上下の運動がすごいんだぜ。

しゃべってたら舌を噛むわ。


「自分の身を挺してでも部下を守る心意気はいいと思いますけど。あくまで王宮の警備とかは私たち軍が担ってるんですから、少しくらい頼ってくださいよ。」

「今回の件は軍の怠慢のせいなのですが、それは……。」

思わず口を突いて出た言葉にぐっとボッサの言葉が詰まった。

「とりあえず!今回のことは俺のせいでもありますし、文句言わずに協力しますけどぉ!今後は控えてくださいよ!?」

すでに文句垂れているじゃないか、とは言わないほうがいいのだろうか。


「コジーモ殿。すでに文句が出ておりますぞ。」


気づけば五十話………

謙遜でも何でもなく、本気で読んでくださってる読者のおかげだなって感じます。

正直、こんだけ多くの人に読んでもらってなかったら、今でも就活中の時と同じペースでしか更新してなかったと思います。

それと、いつも誤字指摘をしてくださる読者の皆さんには足を向けて寝れないレベルで感謝しかないです。

この段階で書きたいストーリーのまだちょこっとしかかけていないことに自分でも書ききれるか寒気すら感じますが、頑張ろうと思います。


今後もキリのいいところでご挨拶するかもしれませんが、ひとまず今回はこれにて失礼いたします。

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― 新着の感想 ―
ここまで一気に読んでいた。面白い、適当にイタリア貴族らしいネーミングもいいです。
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