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第七王子に生まれたけど、何すりゃいいの?  作者: 籠の中のうさぎ
幼少期編

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32/140

32話

先日のお茶会以降、俺の将来の選択肢に市井に下る以外に出家の道もできました。

「ら、ライ!本当に出家なんてしないよね!?」

「しません。しませんよ。多分。」

「本当に?本当に出家しない!?」

「だいじょうぶですよー。ライモンドはしゅっけしませんよー。」

あの日のフェデリコ兄様とのお茶会、結局最終的には兄弟全員が集まることになったのだが、その時の最後に俺が発した出家の言葉に再び兄様たちは慌て始めカオスと化した。

それ以来、ジャン兄様はことあるごとに俺に出家はしないよね?と尋ねるようになった。

「出家しても王位を継ぐ権利を無くすだけで、別に市井に下る時みたいに籍が抜けるわけでもあるまいし、そんなに神経質にならなくてもいいじゃないですか。」


そう、別に王族から抜けるわけではない。

ただ神の御許で修練を積む関係上、肉と酒と女性に手が出せなくなるくらいだ。

大丈夫、大丈夫。むしろ精神的ロリコンか肉体的熟女好きかに悩まなくて済むと思えば。


「駄目に決まってるじゃん!!」

しかし、ジャン兄様はそれを力強く否定した。

「いい!?俺の夢はね!ライの子供を抱っこすることなの!!」

「お、おう………?」

がしっと俺の肩を掴んだジャン兄様が真剣な顔で話し始めた。

「俺にとってライは一番大切な家族なの。だから、ライには一番幸せになってほしいの。ライとベルトランド兄上が俺の体が弱い理由を見つけてくれてなかったら、俺はこの一年で死んでたかもしれない。俺は、兄上たちみたいにライのために何ができるってわけじゃないけど、それでも、ライが何か諦めなきゃならないのは、いやだ。だから、ライの子供を抱っことかは俺の願望だけど、それを理由に出家とかは、俺反対するよ?それがライの心からの望みなら応援するけど………。」

恥ずかしそうに唇を尖らしてふいっと視線をそらせた。

「これは、俺の勝手な願望だけど、いつかライとライの奥さんと子供の絵を描きたいんだよ。」

ジャン兄様にこう言われて悪い気もしないブラコンは俺です。

何はともあれ、俺が何かを諦めることによってジャン兄様が悲しむのであれば、今後出家や市井に下るという選択肢は最終手段にするしかない。

つまり、俺の周り、特に俺の母上のマヤ派とカリーナ様派のあれやこれから逃げる選択肢がなくなったというわけだ。


はっきり言おう。ものすごく面倒くさいし、自分で何とかできるとも思えない。

この世界に生まれて六年ちょっと。魔法の存在に調子に乗ってベルトランド兄様に科学の話をしたりもしたが、俺は前世の記憶と言う一点を除けばすべてが平々凡々なのだ。

腹の探り合いも、当たり前だが記憶がある分ただの子供よりは得意だが、本物の狸親父を前にして太刀打ちできるわけがない。

前世の一般常識の範囲での科学は知っているけど、それに精通しているわけでもなく、地頭も良いわけではない。


まぁ、頑張るんだけどね。


「とりあえず、俺の問題よりもまずはジャン兄様の問題でしょう?マヤ派は俺のことだけじゃなくてジャン兄様とジョン兄様も自分たちの陣営に取り込もうとしているんですよ?再来月、ジャン兄様の社交界デビューでしょう?気を付けてくださいよ。俺、ジャン兄様が俺のせいで何か我慢するのも嫌ですからね?」

「ふはっ!うん。だってライ俺のこと好きでしょ?だから、俺が不幸になったらライが落ち込むってわかってるつもり。俺も幸せにならないと意味ないでしょ?……………じゃないと、ジョンも母上も絶対自分のこと責めるもん。」

そう言うと、ふっといたずらっぽく笑ったジャン兄様がぱちりとウインクをした。

「ライも結構家族好きみたいだけど、俺だって家族大好きなんだよ?知ってたでしょ?」


想像してほしい。美少女と見紛うほどの美貌を持つジャン兄様だぞ。

しかも普段は柔らかく微笑むはかなげ美人のジャン兄様が!ちょっといたずらっぽく笑ってるんだぞ!!

耽美系に少年らしい元気さが混ざってso good!!

俺は衝動のままに自分の顔を両手で覆い、そのまま地面に両ひざをついた。


つまり何が言いたいかと言うと、


「俺の兄様世界一ィッ!!!」

「あっはは!俺の弟も世界一!」



「つまり、僕の弟たちが世界一ということで問題ないな?」

「ジョン兄様!」「ジョン!」

俺たちがふざけたことを、いや俺たちはいたって真面目なのだが、叫びあっていると、部屋の入り口からひょっこりとジョン兄様が顔をのぞかせていた。

「ジャンの再来月のデビュタントに服を一着仕立てると父上が張り切っていただろう?アンドレア兄上がお前の服のデザインを決めると張り切っているのだが、今時間は大丈夫か?」

ジョン兄様は俺のことを見ながらジャン兄様にそう尋ねた。

ちらりとジャン兄様も俺を見てくるので、大丈夫だよ、という意味を込めてこくりと頷いた。

「うん。大丈夫だよ、ジョン。アンドレア兄様の部屋に行けばいい?」

「そうか。いや、応接間だ。父上がすでに針子を呼んでいる。採寸をした後アンドレア兄上とデザインを詰めるらしい。」

「ん。わかった。じゃあね、ライ。またお話ししようね。」

ひらりと手をふって部屋から出て行ったジャン兄様に代わり、今度はジョン兄様が話し相手をしてくれるらしい。


「で、ライ。本当に出家するつもりか?」

「お前もか!!!」


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