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第七王子に生まれたけど、何すりゃいいの?  作者: 籠の中のうさぎ
幼少期編

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23話

お久しぶりでございます。

フェデリコ兄様と会った日から数日後、自分のところに手紙が届いた。

「ライモンド様。フェデリコ様からお茶会への招待状が届いていますよ。」

「ありがとう、マリア。」

俺がジャン兄様とジョン兄様以外の兄様たちと交流することがよほどうれしいのか、笑顔で手紙を渡された。

受け取って中身を確認しようと封筒から手紙を取り出した。

「うっわ。すごくいい香りがするんだけど。」

封筒から取り出した手紙からふわりと香る花の香。

繊細な文字で俺をお茶会に招待する旨が書いてあるのだが、その文字は自分が想像するよりも繊細な文字だった。フェデリコ兄様の文字だろうか、それともルドさんの文字だろうか。

「じゃあ、マリア。言ってたみたいに俺はフェデリコ兄様のお茶会に参加してくるから、お土産持ってきてくれる?」

「はい。ライモンド様。」

前々からフェデリコ兄様のお茶会に参加することはマリアに伝えていたので、手土産にオスト帝国の茶菓子を持っていく。

木の年輪のように見えることで有名なあのお菓子だ。そう、バームクーヘンだ。

尤も名前は違うし、作る過程での技術力の差があるのか日本で食べてたやつの方がおいしかった記憶がある。

しかし、貴重な甘味なのでぜひともいつか本場のオスト帝国に行ってみたい。

閑話休題


自分の部屋を出れば今日も警備にいるのはキュリロス師匠だ。

「キュリロス師匠!今日もよろしくお願いします!」

「はい、ライモンド殿下。本日もライモンド殿下も他の殿下たちもまとめてお守りいたしますよ。」

相も変わらず理想の男性然としているキュリロス師匠。確かキュリロス師匠は今年三十だ。

そしてマリアは確か二十四歳。二人で結婚してくれないだろうか?

そしたら絶対二人の子供をかわいがる自信がある。

絶対可愛い。マリアは半端な男のところに嫁がせたくないし、キュリロス師匠には最高の女性と結婚してほしい。

まあ、これも置いといて。


「ん?ライモンド、どこかに行くのか?珍しいな、お前が私やジャンカルロとジョバンニ以外のところに行くのは。」

「あ、ベルトランド兄様。はい。今日はフェデリコ兄様のところでお茶会です。」

フェデリコ兄様の私室へと向かっている途中、ちょうど廊下を歩いていたベルトランド兄様に出くわしたので、正直にそう答える。

「……………ホォー?兄上のところへ、ねぇ。」

先ほどまで普通だったベルトランド兄様が、俺の言葉にスッと目を細めた。

「私も行っても?」

「え、俺に聞かれても。紅茶も茶菓子もあるかわかりませんよ。」

「ふむ…………。それに関しては大丈夫だろう。どうせあいつが余分に用意している。私も行こう。」

眉間にわずかにしわを寄せたままそう言ったベルトランド兄様は、自身の従者だろう男性に自分の持っていた本を押し付けた。

「さて、じゃあ行くか。」

「え、えぇぇぇぇ…………。」

ぐいっとベルトランド兄様に腕を引かれフェデリコ兄様の私室へと再び足を進めた。



「ところで、兄上の茶会に出ることはジャンカルロとジョバンニには伝えたのか?」

「はい。ジャン兄様には抱きしめられて、ジョン兄様にはすごく心配されました。」

先日の二人の様子を思い出しながらそう伝えると、ベルトランド兄様はわずかに笑みを浮かべた。

「ふっ。だろうな。ライモンドは兄上を怖がらないのか?」

「はい。フェデリコ兄様が俺たちのこと好きなのは伝わってきますから。いつかジャン兄様もジョン兄様も一緒にお茶会出来たらいいなって思います。」

そうこう話しているうちに、フェデリコ兄様の私室についた。

「失礼します、ライモンドです。」

「はいはい、どうぞー!」

先日お邪魔したフェデリコ兄様の執務室ではなく、フェデリコ兄様の私室の扉をノックしてそう声をかけ、ルドさんからの返事を聞いてから扉を開けた。


「ライ様いらっしゃーい!ってあれ?ベルトランド様も来られたんですねー。」

「久しぶりだな、ベルナルド。」

「お久しぶりです!あ、そうそう。今日はアンドレア様もいらっしゃってますよ。」

「やはりな……………。」

アンドレアとは俺の兄様の一人だ。ベルトランド兄様の一つ年下で、この国の第三王子にあたる。

普段は外交を手伝っているらしく、国内はフェデリコ兄様、国外はアンドレア兄様といったように分担されているらしい。

なんどか王族全員が出席するパーティーや、内々の食事会などで姿を見かけたことはあるものの、話したことはあまりない。

なので、アンドレア兄様の名前を聞いた時になぜベルトランド兄様が顔をしかめたのかがわからなかった。


「あ、あの。ベルトランド兄様。アンドレア兄様と何かあったんですか?」

「ライ様は気にしなくてもいいですよ?なんていうのかな、同族嫌悪?」

「…………同族じゃぁない。」

ルドさんの言葉に盛大に顔をしかめたベルトランド兄様。

「お前に言われたくないし、お前と一緒にもされたくないんだけど。」

それとはまた違う男の声に、俺は顔をそちらに向けた。

「やっほー。お前がライモンド?こうやって話すのは初めて、だよね?俺はアンドレア、よろしくねー。」

ひらひらと手を振りながら、部屋の奥から赤い髪を持つ男性が歩いてきた。それは、俺の兄の一人、アンドレア兄様だ。

彼もジョン兄様も大まかにいえば同じ赤い髪だが、細かく言えばジョン兄様が朱色。アンドレア兄様が臙脂色だ。つまりアンドレア兄様の方がちょっと暗めでわずかにピンクが入っている感じだ。

「あ、アンドレア兄様。今日はアンドレア兄様も参加されるんですか?」

「そそ。というか、俺主催?よろしくねー。」

猫目がちな紫の瞳を細めて笑うアンドレア兄様と握手をするために手を差し出すと、横からベルトランド兄様によって阻止された。


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