21話
ひと月ぶりにサイトを開いたら読者もポイントも激増していてとても驚きました。
ありがとうございます。
「というか、フェデリコ兄様ももう少し言葉にしましょうよ。」
「す、すまない………。」
フェデリコ兄様も父上も似たもの親子か?ん?
なんでうちの家族はことごとく言葉を口にしないんだ。
「フェデリコ兄様、コミュニケーションって知ってます?」
「……………面目ない。」
「ふふっ!フェデリコがっ、弟に叱られてる………っ。」
何が経穴に入ったのか、ベルナルドさん、ええい。ベルトランド兄様ややこしいのでフェデリコ兄様と同じようにルドさんと呼ぼう。
ルドさんはずっとクスクス笑っている。
「その、ライモンド………。」
「なんですか?」
「お前さえ、いやでなければなんだが。たまに俺の、話し相手になってはくれないだろうか。お前は、ジャンカルロやジョバンニとも仲が、よかっただろう?」
弟の俺に頼むのは気恥ずかしいのか、フェデリコ兄様の耳がわずかに赤くなっている。
だというのに、悲しいかな表情筋は相も変わらずあのむすっとした表情しか生み出さない。
いっそ哀れだ。
「ええ。まあ、おれでよかったらお茶の相手ぐらいはしますよ。」
「本当か………っ!」
ちょっとフェデリコ兄様の眉間のしわが緩んだ。
具体的に言うと、三本くらい刻まれていた眉間のしわが二本くらいに減った。
「ふふっ。よかったな、フェデリコ。お前ずっとライモンド様のこと気にかけてただろ?」
「……………うるさいぞ、ルド。余計なことは言うんじゃない。」
「むしろそういうことは積極的に俺は知りたいです。」
「ほら。ライモンド様もこう言ってるよ?」
ルドさんは物腰柔らかなくせして、その見た目に似合わずフェデリコ兄様をからかうことが好きなようだ。
やめて差し上げてほしい。
「…………茶会の日時は、追ってまた手紙を出そう。今日はもう部屋に戻るといい。ルド。送って行ってやれ。」
「はいはい。わかったよ。じゃあライモンド様、行こうか。」
「はい。お願いします、ルドさん。」
「おや。ライモンド様にもその名前で呼ばれるのはちょっと嬉しいね。」
「ベルトランド兄様とややこしくなるので。ルドさんも俺のことライって呼んでいいですよ。」
「じゃあ遠慮なくライ様って呼ばせてもらうよ。」
そんな会話をしていると、フェデリコ兄様がそわぁっとしだした。
なんなんですか。言葉に出しなさい。
「……………フェデリコ兄様?どうしました?」
「っ!……………そ、その。私も、ライと、呼んでも良いだろうか?」
これがジャン兄様やジョン兄様のような美少年の言葉なら癒されたが、もういい大人であるフェデリコ兄様にされてもはっきり言いなさいくらいにしか思えない。
なんというか、フェデリコ兄様に対しては妙に親心が働くというかなんというか。
しっかりしなさいとケツを叩きたくなる。
俺が何とかしてあげなきゃ!みたいな…………。
でも甘やかすような年齢ではないのでケツを叩きたくなる。
しかし、今はそれをぐっと押し込めて、にこりと笑顔を作った。
「ええ。もちろんいいですよ。フェデリコ兄様。」
そう言うとまたちょっと眉間のしわが薄くなったのはちょっと可愛いと思ってしまった。
とりあえず、父上が母上とイチャコラしている間の業務を一手に引き受けるフェデリコ兄様の手をこれ以上止めるのも申し訳なくてそろそろ俺はお暇させてもらいます、と伝えたらないはずの耳がフェデリコ兄様の頭の上に見えた気がした。
「そ、そうか………………。その、ライ…………。」
しょぼんとしているつもりなのだろうが、やはり眉間にはしわがある。
「はい、なんですか?」
「…………………。」
「………………………。」
「…………………………………。」
「…………ええい!はっきり言葉にしてください!」
フェデリコ兄様の言葉を待つつもりでいたが、いい加減沈黙も長いのでそう言い放った。
「す、すまない。その、良い一日を。ライ………。茶会を楽しみに、している…………。」
その言葉とともに一度優しく頭を撫でられた。
酷く緊張しているのかフェデリコ兄様の手が俺の頭を離れる時にわずかに俺の肌に触れたその指先がやけに冷たかった。
「ジャンカルロ様の時はひどく泣かれたんですよ。」
こそっと教えてくれたルドさんのその言葉に納得した。
フェデリコ兄様は殊ちいさい子供に対して苦手意識を持っているのだろう。
というか、好きだけど怖がらせるから近づけない。けど、それでも愛おしいから触れたい。みたいな。
「はい。ありがとうございます。フェデリコ兄様もよい一日を。手紙待ってますね?」
まともに会話をしたのはこれが初めてなのだが、それでもフェデリコ兄様は間違いなく俺と血のつながった家族だ。
そんな兄様を愛おしく思うのもおかしくないだろう?
ん。っと両腕を広げてハグをねだってやれば、フェデリコ兄様は目を白黒させて驚きに身を固まらせた。
「家族なんだから、ハグくらいいいでしょう?」
「………………あぁ。」
膝を折って俺を抱きしめてくれたのであまり見えなかったが、俺の見間違いで無ければ確かにフェデリコ兄様は俺を抱きしめる直前に、嬉しそうにほほ笑んでいた気がする。
「また来なさい。ライ。」
「…………はい。フェデリコ兄様。」
ちょっと写真が欲しくなったよね!
皆様長らく投稿できずに申し訳ございません。
作者の諸事情により年末までは安定して執筆投稿ができる環境ではなく、時間のある時に数話分書き留めて月一ペースで予約連続投稿をしていくスタイルを考えております。
遅筆になりますが、楽しみにしてくださっている読者の皆様に楽しんでいただければと思っております。
コメントやレビューをくださったかた、ありがとうございます。
返信はできておりませんが、すべて読みました。
誤字指摘に関しては、時間がある時になるのでいつになるかはわかりませんが訂正いたします。
また、ライモンドの幼少期がすべてひらがな表記なのは読みにくいとのご指摘ですが、作者も読みにくいのでこちらも時間がある時に書き直すと思います。
その他世界観や理論、生物学的問題等々質問やご指摘がありましたが、「作者のリアルInt低すぎわろた。俺もInt低くして読むわwww」くらいのお気持ちで読んでくだされば幸いです。
作者のIntの限界なんじゃー(´・ω・`)




