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第七王子に生まれたけど、何すりゃいいの?  作者: 籠の中のうさぎ
留学編

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123/140

123話

「はーい、じゃあ魔法解きますねー」

「ボウヤ!ボウヤったら!さっきの魔法はなぁに!?チェントロでは剣術に魔法を取り入れるのが最近の主流なの!?それに、セフェリノの斧をよける前にも何か使ってたわよね!?ねぇったら!教えて頂戴よ!!」

「なんでぇ、坊主!えらく謙虚にしやがるからよぅ!クロヴィスの野郎が勝手に言ってるだけかと思えばよぅ!攻撃は苦手たぁ聞いてたが防御の腕はなかなかじゃねぇか!それに魔法を使うのを嫌がる剣士が多いってぇのに、それを反撃の要に使う豪胆さも気に入った!もう一勝負するかぁ?うん?」

「少年、少年!セフェリノ相手によくやった!ヴァレンティナとセフェリノと私は子供時代からの幼馴染というやつでね!魔導士も剣士もともに歩む道はないのかと頭を悩ませていたというのに、少年というやつは!面白い!気に入った!ぜひ、オッキデンスでは私の邸宅に遊びに来たまえ!」

「ライ、まさかAランク冒険者のセフェリノ相手に勝ってしまうとは思ってもみなかった。いや、クロヴィスとベルトランド様から目をかけられていることを思えば、これもまた必然だったのかな?同じ学園から同じ国に留学する学友じゃないか。どうだろう、旅の途中ぜひ話を聞かせてはくれないか?」


 う、うるせ~~~~ッ!!


 セフェリノさんとの勝負が終わった途端、当事者のセフェリノさんはもちろん魔導士のヴァレンティナさん、ここまで特に交流のなかったイバニェス伯爵、皇太子としてちゃんと一線を引いて対応していた従兄殿。その全員に囲まれて一斉に話しかけられた。

 もう一度言おう。うるせぇッ!!

「セフェリノさんは魔法解かなきゃ効果が切れるまで見えないままになりますよ」

「見えない?今セフェリノは見えてないの?人体の機能を一時的に奪っているの?だとしたらどうやってそれを戻すと言うの?いえ、人体の機能を奪っているなら一定時間で効果が消えるのはおかしいわよね。原理は?魔法は?詠唱魔法?魔方陣?」

「それよりよぉ!最後の俺の攻撃を受けたり避けたりできたのはいったいどういう理由なんだぁ!?俺だってこれでもAランク冒険者だってぇのに、坊主の実力を図り間違えるなんてぇことするわけがねぇ!そんじゃぁ、なんか魔法使ったんだろぅ?どういう原理でぇ!」

「ライ、ライ。それは私も気になるところだ。皇太子だの平民だのと細かいことは置いといて、ひとまず話を聞かせてくれないか?さぁ、あっちでウルリカが食事を準備してくれている。アメット、椅子とテーブルの準備を」

「はい、ヴィルヘルム様」

「ちょっと待っていただけますかな、ヴィルヘルム殿下。その席にぜひ私も同席させていただきたい。セフェリノとヴァレンティナもいれば談議に花も咲きましょうぞ。ささ、少年。こっちで話を聞かせてくれるかな?」


 四方八方から浴びせかけられる言葉の数々に集中力を削がれていく。さっさとオリバーの考えた盲目の魔法の反対呪文も試したいのに、これじゃ試せやしない。

 あまりの五月蠅さにぶちっと頭の中で理性の糸の切れる音がする。

「うっるせぇんですよッ!!食事中でも道中でも、話くらいいくらでもして差し上げますから!どうぞ一瞬でいいんでお黙りあそばせてくださいッ!」

 やっと静かになったので、またうるさくならないうちにセフェリノさんの顔の前に手を掲げて呪文を唱える。

「〈レウェルティ〉」

「お?おぉ!?見える、見えるぞぉ!」

「だから、見えるようにするって言ったじゃないですか」


 途端はしゃぎだすセフェリノさんに半ば呆れながら言葉を返して、はたと気付く。

 俺、セフェリノさんとヴァレンティナさん以外に従兄殿に対しても黙れって言ってしまったのでは??

 その事実に気付いてぶわっと背中から冷や汗が噴きだした。いや、イバニェス伯爵相手なら最悪こちらの身分を明かせば問題ないかもしれないけれど、従兄殿相手だとそうもいかない。

 だって相手は推定ライモンドを嫌っている従兄殿だ。これのせいでまた関係悪化するとか普通に考えて嫌すぎる。 

 ぎこちなく従兄殿のいるほうへと視線を向ければ、俺が危惧していたようなことはなく。なんなら少し離れたところでイバニェス伯爵と共に昼食が準備されたテーブルについている。


「あー、皇太子殿下?」

「ライ。先ほども言ったが、今は私もいち学生だ。不敬などと気にせず席につくといい。食事にしよう」

 アメットさんとウルリカさんもいつ移動したのか、すでに給仕として振る舞っていた。

「あー、じゃあ。オジャマシマス」

 否と言えるわけもなく。いまだはしゃぐセフェリノさんと、魔法のことを聞きたそうにしているヴァレンティナさんと共に、従兄殿とイバニェス伯爵と同じ席についた。


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