表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

92/239

3 対峙――クオンとカリヤ


「俺を怪物にしたのは……お前だろうが、クオン!」


 カリヤが口から火を噴いた。

 クオンはコートを翻すと、それを防御する。と、その爆炎を破るように、クオンが突進してきた。


「カリヤァッ!」

「クオンッッ!!」


 カリヤの抜いた剣と、クオンの棒剣がぶつかり合った。

 二人の視線は、互いを激しく睨みつける。


「お前を生かしておいた事を――今、後悔している!」

「その後悔のなかで死にな!」


 カリヤが前蹴りを放つ。その足がモロにクオンの腹に当たるが、クオンは怯まない。瞬時に、その姿が消える。


 カリヤが横に剣を出す。バネ脚ダッシュで消えたクオンが、眼に見えない程の速さで放ち斬りをうってきていた。振りが見えない斬りかかりを、カリヤは受ける。

 と、左腕のガントレットから黒炎が巻き起こり、カリヤの全身を包んだ。


 その黒炎が燃え移る前に、クオンは離脱する。

 しかしそのクオンを追うように、カリヤは黒炎を放った。


 クオンが跳んで躱す。と、クオンはそのまま天井を蹴りつけ、上空からカリヤに斬りかかった。カリヤが剣で受ける。


「ムッ――ぐぅ――」


 凄まじい重量がカリヤの剣にのしかかる。


「潰れろ、カリヤ!」

「ぐぅ……貴様ぁ――」


 カリヤが呻いた時、声が上がった。


「カリヤ!」


 思わず、クオンはその声の方を見た。

 と、クオンは身体に異変を感じて、そのまま着地する。

 クオンは自分の身体が思うように動かせなくなっている。


「な――動か…な……」

「オレだよ、今までナメてくれたな」


 その声の主は火眼ペイントをしたゲイルだった。

 しかし、その両目は金色に光っている。と、その顔が、蛇の顔へと変化する。


「これは……キング・バイパーの邪視?」


 クオンは驚愕の中で声をあげた。

カリヤが薄笑いを浮かべながら、近づいてくる。


「いいぞ、よくやったゲイル」

「――クオンくん、大丈夫かい!」


 そこにクオンを庇うようにエリナが飛び込んできて、手裏剣を放った。

 手裏剣はカリヤとゲイルを次々と襲う。


「追加だ!」


 エリナはさらに一枚を持つと、カリヤに向かって投げた。

 カリヤはそれを剣で打ち落す。


「チッ……ゲイル、こいつらはまかすぞ」

「おお!」


 ゲイルがそう答え、身構える。

 ゲイルが足止めしてる間に、カリヤは吊るされてるアーノルド太守に近づいた。


「た、助けてくれ! なんでもする!」

「最初から何でもしてくれりゃあ、こんな事せずに済むと思わねえか? なあ?」


 涙を浮かべるアーノルド太守を見て、カリヤは剣を掲げた。

 無造作にその腹に突き刺す。


「ぎゃあっ!」


 アーノルド太守が悲鳴をあげる。と、その口を割るように、顔に線が入った。

 カリヤが剣を横に振り抜いている。太守の顔が、半分になって落ちた。


「おい、お前、よくやったな。誰だ?」


 太守を掲げていたヒモグラ人間が、人間の姿に戻る。

 真っ先に移植手術を希望した、若い男だった。天然パーマらしい金髪を短くしている。顔にはまだあどけなさが残るが、男前といっていい風貌だった。


「オレはジェットです!」

「フン、見どころのある奴だ。ついて来い」

「はい!」


 ジェットは再びヒモグラ人間に変身すると、歩きだすカリヤの後について行き始めた。


 場内では衛兵たちが次々に倒されていた。

ヒモグラ人間の手下は力が強いだけでなく、口から火を噴いて衛兵に襲い掛かる。

ネラの超巨大蛸のファントムの威力はすさまじく、誰も手が付けられない。

さらにそこへビヤルの紫の髑髏があちこちで爆発を起こす。


 今や裁判所内は、破壊された瓦礫と炎、そして倒れた衛兵たちの残骸置き場と化していた。その地獄のような光景の中を、カリヤは悠々と歩く。


「次は白猫女だ――あそこか」


 カリヤは一角にいた、キャルを見つけた。


「よし、次はあいつだ連れてこい」

「判りました、ボス!」


 ジェットがヒモグラ人間の姿で駆けていく。

 襲い掛かるヒモグラ人間に気付き、キャルが魔導障壁で防御した。


「やめて!」


 ヒモグラ人間の巨大な爪が、魔導障壁に喰い込んでいく。


「やめて……」

「ギィーッ!!!」


 ヒモグラ人間が奇怪な声をあげて、さらに爪を喰い込ませた。

 爪はもはや、キャルの眼の前だった。


「やめて……もう、やめてええぇぇぇっっ!」


 キャルが叫ぶ。

 その瞬間、キャルの全身から青い炎が立ちのぼった。


 その爆発的な威力に、ヒモグラ人間が吹っ飛ばされる。

 顔を上げたキャルの眼は青い光を放ち、頬には青い紋様が浮かんでいた。


「……キャル?」


 異変に気付いたクオンが、キャルの元へと駆け寄る。

 しかしキャルは全身から青い炎を揺らめかせ、その眼は青い光を放ったまま、周囲を睨んでいる。


 キャルは両手をあげた。

 と、青い薔薇のような炎が空中に幾つも現れる。


「アアアァァァッ!」


 キャルが吠えた。


「ほう! これは面白い! ワシに対抗するというのか!」


 赤目のビヤルが、指を立てるように両掌を上に向ける。

 その空中に紫の髑髏が幾つも空中に現れた。


「ケケケ……どっちが勝るかな?」


 ビヤルが笑った瞬間、髑髏が予測不可能な軌道を描いて衛兵たちの元へ飛来する。それを迎撃するように、凄い速さで直線を描き、青い薔薇がぶつかっていった。

 各地で、髑髏と薔薇の衝突による爆発が起きる。


「ンンンン――アアアァァァッ!」


 キャルがさらに声を上げると、青い薔薇が追加で現れ、ビヤルを直接襲いにかかった。

 ビヤルが対抗するように髑髏を出すが、その数に押される。


「ケケケ……こいつはバケモノか? ――ギェェッ!」


 遂に数で押されたビヤルが、爆発で吹っ飛ばされる。


「やるねえ、白猫の少女! ボクとも遊んでよ!!」


 声をあげたのはネラだ。巨大なタコの腕――先が蛇の頭になっているタコの触手が、キャルに襲い掛かる。


 キャルはそれを見ると、青の薔薇の炎の直系3mはある巨大なものを作り出す。それが直線的に飛んでいくと、蛇の頭を一つずつ消し飛ばしていった。


「チッ――あの猫耳をさらうのは無理か……」


 キャルの凄まじい魔力行使を見ていたカリヤは舌打ちした。

 と、その傍へギュゲスがやってくる。


「――か、カリヤ! こんな事までして、お前は正気なのか!?」

「あん? なんだ、お前。悪党のくせに、こんな事でビビってんのか?」


 ギュゲスは片眼鏡を嵌め直すと、カリヤに言った。


「私の望みは新たな技術開発で本部に戻り、ザラガ・ブラッファーに替わって新室長になることだ!」

「ハン、出世か。くだらねえ」


 その瞬間――ギュゲスの顔に、手裏剣が立て続けに五枚突き刺さった。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ