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4 カリヤとの決着


 このままではダメだ。僕も攻撃に転じた。


 しかし僕の攻撃は、重化を乗せなきゃいけないため、必ず上から振らせなきゃいけない。そのため大振りになり、カリヤになんなく躱される。


「ヒャハッ! てめぇ動きが素人だな! モンスター相手ならそれでもいいかもしれねぇが、人間様相手にそんな大振り剣法が通じるかよ!」


 カリヤが愚弄しながら、素早い動きで僕の横に廻り込んだ。

 斬りこまれた剣が、肩を直撃する。


「クッ――」


 気力の衝撃が伝わる。ぐっ、と膝から落ちかけて、踏みとどまった。


「いいザマだな! いつもみたいに、這いつくばりやがれ!」


 いつもみたいに?


 また、いつものように――這いつくばるのか?


 僕は変わったんじゃないのか!


 斬りかかってくるカリヤが、思い切り剣を振り下ろしてくる。

 僕はそれを棒剣で、かろうじて受けた。が、力が乗っていて、僕は膝をつく。


「気力を喰らいな!」


 ギリギリとカリヤが力で押し込んでくる。


 かかったな。


 僕は突如、右手を放し、手でカリヤの剣を掴んだ。


「な――」


 軟化!

 そのままカリヤの剣を軟化させて、握りつぶす。


 剣の刃を、柄元から握り取った。


「――なにぃっ!?」


 驚いたカリヤが飛び退く。

 僕はその間に、体勢を立て直した。


「てめぇ! なんだ、その力は!」


 僕は答えない。剣が手元から無くなったカリヤに向かって、猛ダッシュした。

 が、その瞬間、カリヤの掌から、電撃弾が発射された。


電爆破(サンダー・バースト)!」


 直撃を喰らう。


「うわぁっ!」


 僕は転がった。


「言っとくがな、オレは中級魔導士でもあるんだ。冒険者ランクは総合でCランク。てめぇみたいなルーキーとは違うんだよ!」


 カリヤが意気揚々と声をあげる。


 こいつ、気力で剣も使えて、魔法まで使えるのか。

 ……能なしの僕とは大違いだ。


 だが、そんな事は関係ない!

 接近しようとする僕から、カリヤは素早く距離を取りながら魔法を撃つ。


「オレの魔法を喰らいやがれ!」


 僕は慌てて電撃弾を避ける。衝撃はともかく、電撃をまともにくらったら、次は失神だ。そうすれば、完全に終わる。


 カリヤが僕から距離を取りながら魔法を連続で撃つ。

 僕はカリヤの周囲を円を描くように走りながら、それを躱した。


 僕は遠距離の攻撃手段を持ってない。カリヤもそれを悟って、僕を近づけさせないのだ。

 いや、違うぞ。僕にはある!


 僕は走りながら、地面の土を軟化させてすくう。

 手の中で土を固まらせ、(つぶて)を作った。


 走りながら、それを投げつける。放ち投げだ。


「な――魔導障壁!」


 カリヤが魔導障壁で防御する。

 いいぞ。防御してる時は、攻撃してこれない。


 僕は持った瞬間に、「引き絞った」状態にする訓練をしてきたのだ。だから連続で放ち投げができる。

 放ち投げをうつ。カリヤが守る。


「そんな泥くせえ戦い方、うっとおしいんだよ!」


 カリヤが叫んだ。その間も僕は、放ち投げを続けて、カリヤとの距離を詰めていたのだ。この距離なら――もういい!


 カリヤが掌をこっちに向ける。と、僕は地面を手で触れた。


 地盤軟化!


 僕の地盤軟化の範囲は半径1m。面積にすれば100cm×100cm×3.14――つまり約30000c㎡。これを幅30cmにすれば――


 10mの長い帯状になる!


 魔法を発射しようとしてるカリヤの左足元が、突然沈む。


「うおっ!」


 50cmくらい足が地面に沈んだ。

 僕は地盤軟化を解き、カリヤに向けて猛ダッシュした。


「くそ!」


 足が地面に埋まったまま、カリヤが電撃弾を放つ。

 僕は直撃に構わず、そのまま突進する。


 電撃弾が直撃し、爆炎を上げる中――重硬タックル!


「があぁっっっ!」


 カリヤの身体が地面に倒れて、数m滑っていく。

 僕は跳躍して、両膝でカリヤの胸に着地した。


「重化!」

「がぼっ――」


 カリヤの鎧がへしゃげて、肋骨を折って僕の身体が沈む。

 カリヤが血を吐いた。


 が、カリヤは左手で魔法を撃とうとする。

 その指を掴み、魔法の指輪を軟化させて捨てた。


「あ……あ…」


 初めて、カリヤの顔に怯えが走る。

 僕はカリヤの右肩を、思い切り殴りつけた。


「ぎゅあぁっっ!」


 肩の骨が重さで潰れ、カリヤが悲鳴をあげた。


 その間も、僕は身体全体の重化を止めない。

 そしてカリヤの顔を、思い切り殴りつけた。拳は重硬化している。


「ぐはっ! ごぇっ! がっ――」


 二発、三発と殴る。カリヤの顔が、膨れがあってきた。


「や……やめてくれ…オレの負けだ……」


 カリヤが呻いた。

 僕はものも言わずに、もう一度殴った。カリヤが呻く。


「やめてくれと僕が頼んで、お前がやめた事が一度でもあったか?」

「へ?」


 僕はもう二発殴った。カリヤが呻く。


「僕がもし負けてたら、僕が懇願しても、どうせお前は止めなかったろう。いや、僕を殺すつもりだったよな? それで金も女も自分のものにするつもりだった」

「こ……ことばのあやです――ギャッ」


 僕は二発殴る。


「嘘をつけ。お前が人を殺してもなんとも思わないような奴だって事は、僕が一番よく知ってる」

「お……お前はそんな奴じゃないよな? オレを殺したりできるような、そんな奴じゃない」


 カリヤはそう言って、媚びるような笑みを浮かべた。

 僕はカリヤに言ってやった。


「……この世界に来て、僕は二人殺してる」


 カリヤの顔色が変わった。


「お前を殺すことを、僕が躊躇すると思ったら大間違いだ」

「た! 助けてくれ! いや、助けてください!」


 カリヤが恐怖の顔で、悲鳴をあげた。



    *     *     *     *     *


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