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209/239

6 200vs2――プラス


 倒れたゴードンを、カサンドラは静かに見つめていた。


「……やったのかい?」


 エリナが傍に来て訊ねる。カサンドラは首を振った。


「いや、こいつには正当な場所で罪に対する罰を受けてもらう。……それにしても」


 カサンドラは倒れたケリーを見て、エリナに言った。


「まさか、ケリーを倒してしまうとはな。……お前は大した奴だ、エリナ」

「フッフッフ、惚れるなよ、カサンドラ」

「……もう惚れてるかもしれないな」


 カサンドラの言葉に、エリナは目を丸くした。

 それを見たカサンドラが言う。


「冗談だ」

「当たり前だ! ――というか、君が冗談を言ったことに驚いたんだ」

「多分、お前の悪影響だな」


 カサンドラは笑って、歩きだした。

 その隣に、エリナが並ぶ。


「悪影響なの?」

「こんな状況なのに、笑いが出る。まさに悪影響だろう」


 二人は外に出る門の前で立ちどまった。

 エリナが言う。


「――相当の数だ」

「判っているさ」


 カサンドラはそう答えると、扉を開けた。

 扉の向こうは中庭が広がっている。その中庭いっぱいに――ヒモグラーの大群がいた。


 扉を開けて出てきたカサンドラとエリナに、ヒモグラーの視線が一斉に集中した。

その数は100体と超えると思われる。ヒモグラーが、声を上げた。


「「「「「「「「「「ギギィーッ!」」」」」」」」」」


 中庭の奥に、櫓になっている高台がある。

 そこにいた二人が、カサンドラとエリナを見つけ声をあげた。


「馬鹿な奴らだな! こんな処に二人で乗りこんでくるとは!」

「ホ~ント、死にに来たみたい!」


 声を上げたのはチーター模様の男女――ジェットとザビーであった。

 カサンドラは鋭く目を細める。


 と、カサンドラの手前に、十六個の火炎球が現れた。


十六火炎爆(セクデキュブル・フレイム・ボム)!」


 十六個の火炎球がヒモグラーの群れに発射され、爆炎をあげる。

 辺りは一気に業火に包まれた。


「なっ――なにぃ!」


 ジェットが驚きの顔で声をあげる。

 カサンドラは剣を抜きながら、静かに口にした。


「……お前たちは貴族の屋敷を襲い、使用人も含めた一家惨殺を何件も行った。街に火を放ち、その被害も計り知れない。そしてお前たちは――既にヒトもやめている。……お前たちを駆除するのに、何の躊躇もない」


 カサンドラの声の後に、エリナが続けた。


「そういう事だ。さて……私もそろそろ本気を出すかな」

「お前ら! 殺してしまえ!」


 ジェットの声に、ヒモグラーたちが一斉に爪をたてて動き出す。

 と、その途端、エリナの姿が消えた。


「ギ――ギギィッ!?」


 ヒモグラーが首を傾げる。

 その瞬間、そのヒモグラーの首が傾いたまま落ちた。


 隣のヒモグラーは袈裟がけに、胴体が切れてずり落ちる。

 その後ろのヒモグラーは、胴体から真っ二つになって、上半身が背後に倒れた。


「ギギッ! ギイーッッ!!」


 ヒモグラーが奇声をあげる。が、その中でヒモグラーたちは、次々と見えない敵に襲われ両断されていった。


「……私にも居場所が掴めないな。ゼロライズ――と言ったか…消えたまま攻撃力を持つと、こんなにも恐ろしい事になるとは」


 カサンドラはそう呟くと、一人苦笑する。

 そのカサンドラに、ヒモグラーたちが集団で襲い掛かった。


「気功域!」


 カサンドラの周囲に気力の壁の層ができる。ヒモグラーたちはその壁にぶつかり、一匹たりとも近づくことすらできない。


 カサンドラは剣を高く掲げた。

 その剣から、はるか頭上にまで炎が立ちのぼる。


「爆炎業火斬!」


 カサンドラは炎の柱を縦横に振った。

 ヒモグラーたちが炎に寸断され、爆炎を上げる。


 その凄まじい威力は、一振りで5、6体のヒモグラーを一気に殲滅する勢いであった。


 見えないエリナと、業火のカサンドラ。二人の攻撃で、大群だったヒモグラーが次々に倒れていく。ジェットが忌々しそうに、ヒモグラーたちを怒鳴りつけた。。


「相手は二人だ! 200人いるお前らがやられてどうする!」

「なんかだけど、一人は気力の壁あるし、一人は見えない。どうする、ジェット?」


 ジェットの隣にいるザビーが、声をあげた。

 と、ジェットがにやりと笑みを浮かべる。


「じゃあ――こうしてやるさ!」


 ジェットがいきなり、全身から凄まじい電撃を眼下の中庭に向けて発射する。

 中庭一帯が電撃に見舞われ、カサンドラは気功域の中でそれを睨んだ。


「ギ…ギギィッ!」

「ギーッッ!!!」


 ヒモグラーたちが苦しみの呻き声をあげる。その中で、何もない空間が球状に電撃を防御していた。


「そこか!」


 櫓から跳び下りたザビーが、球状の防御壁に突進する。

 爪をたてたその場に、エリナの姿が現れた。


「やっと姿を現したね、眼鏡女! みんな、囲みな!」


 ヒモグラーがエリナを包囲する。

 少し離れた場所では、カサンドラがヒモグラーに囲まれていた。


 その正面に、櫓から跳び下りてきたジェットが立つ。


「女剣士、お前はこのサンダー・ジェットが直々に倒してやる」


 ジェットはにやりと凶悪な笑みを浮かべた。

 それに対し、カサンドラは相手を睨みつけた。


「お前にできるかな?」

「ほざけ!」


 電撃の残留線を残し、ジェットが消える。

 次の瞬間には、カサンドラの気功域にジェットの爪がたてられていた。


「――ハン! これが気力の壁ってやつか。こんなもの――」


 ジェットは両手の爪を突っ込むと、扉を両開きに開けるように電撃を放った。


「ウオオオォォリャアッッ!!」


 全身から電撃を発しながら、ジェットは両手を最大に開いて気功域をこじ開ける。

 しかしそこにカサンドラが正面から斬りかかってきていた。

 が、しかしジェットは大口を開けて牙を剥くと、口から火炎を吐き出す。


「むぅっ!」


 カサンドラが顔を背けて、後方に跳び退く。


「今だ! 一斉にかかれ!」

「気功域!」


 気功域に対して、鋭いヒモグラーの爪が何本も突き立てられる。そこにジェットは、手から電撃を放った。カサンドラが苦し気な表情を浮かべる。


「くぅ……」

「この人数相手に、たった二人でいつまでもつかな?」


 ジェットがそうせせら笑った瞬間だった。


「二人じゃないぜ!」


 その声をあげたのは――クロイドだった。

 そしてその傍にはコニーやアルデの道場生、そして帝都警護隊員たち総勢30人以上がその場に現れる。


「みんな……来てくれたか」


 カサンドラが微笑を浮かべた。


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