表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

20/239

3 悪戦苦闘


僕は改めて二人に言った。


「よくよく考えたら、役割をちゃんと考えてとりかかるべきでしたね」

「確かに。なんとなくじゃあダメだ」


 エリナの言葉に、キャルも真剣な面持ちで頷く。


「正直言うと、どのポイントにいるかは判っても、地中のどの辺、ってのを探るのはまだ難しい。それに集中してると、やっつける役は難しいかも」


 エリナに続けて、僕は言った。


「地面を掘るのって、意外に重労働なんでそれは僕がやった方が、長続きするんじゃないかと思うんですけど。直接狙われる役ですし。ただ、掘るのとやっつけるのは、同時は難しいですね」


 僕とエリナの言葉を聞いて、キャルが口を開く。


「じゃあ、わたしがヒモグラをやっつける役ね。……できるかしら?」

「武器はこの前渡した、警棒でやってみたら」

「うん。使ってみる」


 キャルが言った後で、エリナが口を開く。


「という事は、私は盾役でもあるわけだね。けど、索敵と盾は一緒の方がいいかもしれない。少なくとも、出現にそれほど驚かないから」

「よし、じゃあこれで行ってみましょう!」


 僕らは配置を決めると、新たなヒモグラ探しに取り掛かった。


「うん、此処にいる」

「じゃあ、掘りますよ」


 僕はエリナの教えたポイントを掘り始めた。

 と、ヒモグラが飛び出してくる。ヒモグラは火を噴いた。

 エリナが盾で僕をかばう。


「えいっ!」


 キャルが警棒を振った。――が、それは空を切る。

 ヒモグラはあっという間に、地中に姿を消した。


「ご、ごめんなさい。外しちゃった……」

「大丈夫、大丈夫。最初からうまくいくことなんてないよ」


 僕はキャルにそう言うと、エリナも笑って頷いた。

 

 僕らは新たなヒモグラ探しにとりかかる。

 今度もヒモグラが飛び出してきた。火を噴く。それを守る。


「えぃっ!」


 当たった。が、横に飛ばされたヒモグラは、まだ生きていてそのまま地中に逃げてしまった。


「あ……」


 僕らは呆然と、ヒモグラを見送った。キャルが涙目で口を開く。


「ご…ごめんなさい。わたしがちゃんとできなくて!」

「ううん、キャルが優しいから、力を込めるのが難しいだけだよ」

「そうそう。次第にできるようになるよ」


 僕とエリナが慰めると、キャルがう~、と唸った。…可愛いな。


 しかしそれから二回の空振り、三回の当たったけど逃げられたを繰り返すと、キャルが観念したように口を開いた。


「わ、わたし、やっつける役ダメかも……」

「そっか。じゃあ、僕がやっつける役やるよ。土掘るの結構大変だけど、大丈夫かな?」

 

 僕の言葉に、キャルは頷いた。


「うん、頑張る」

「キャルちゃんは、私がしっかり守るからね」


 エリナもそう声をあげた。


「じゃあ、僕はあれを出そう」


 僕は装備から、作った鉄棒を取り出した。ブンブンと振ってみる。

 これなら、当たればそれなりのダメージだろう。


「じゃあ、いってみましょう」


 再びエリナの探索。と、エリナが足を止める。


「此処にいるね」

「エリナさん、見つけるの早くなってません?」

「うん。感覚を掴んだ」


 エリナは、にっと笑ってみせた。


「じゃあ、掘ります!」

 

 キャルが地面を掘り出す。しばらく掘ると、エリナが声をあげた。


「ストップ! そこで止めて」


 キャルの動きが止まる。


「うん。次に掘ったら、飛び出してくると思う。クオンくん、準備はいい?」

「いつでも」

「じゃあ、キャルちゃんお願い」


 キャルが真剣な面持ちで頷いた。そしてズガっとスコップを一つ入れる。

 と、ヒモグラが飛び出してきた。

 空中でヒモグラが火を噴く。


「きゃあ!」


 キャルが思わず悲鳴をあげる。が、その身体は、エリナが盾で守っていた。

 僕はバットのように構えた鉄棒を、斜め下に振り下ろす。


 バン、という感じの手ごたえとともに、ヒモグラの身体が地面に叩きつけられた。

 やった!

 ――と、思った瞬間、ヒモグラはまだ動いていた。


「「「あ」」」


 そして一瞬で、地面を掘って姿を消してしまった。


「に…逃げちゃいましたね」

「うむ――」


 呆然とする二人に、僕は言った。


「ヒモグラ、意外に頑丈ですよ。僕、それなりに力入れてましたもん。キャルがやっつけきれなかったのも、無理なかったよ」

「そっか……そうだったんだね」


 キャルが納得した顔で息をついた。


「どうする、クオンくん?」

「今度は鉄棒を軽くして振ってみます。多分、鋭さは増すはず」

「よし、やってみよう」


 再び僕らはヒモグラ探し。そしてキャルがある程度掘ったところで、エリナが止めた。

 エリナの合図で、キャルが最後の掘りを入れる。飛び出してくるヒモグラ。

 

 僕はほとんど重さがないほどに軽くした鉄棒を、見えないくらいの速度で振り切った。


 バシン、とヒモグラが地面に叩きつけられる。

 今度は動かない。――と、思ったけど、少ししたらピクピク動き出した。

 で、一瞬で地面に消えた。


「あ――また逃げてしまった。今、ちょっと動かなかったらいい感じだったのに」

「はい。あの感じでいいと思います。ちょっと今度は、トドメを刺します」


 僕はそう言うと、その場で鉄棒を柔らかくした。

 柄の先になる部分を指で加工して、尖らせる。


「これでよし。今度こそ、取りましょう」

「うん」


 エリナが大きく意気込むと、キャルも真剣な顔で頷いた。


 そしてヒモグラを探り当てる。キャルが掘り、ヒモグラが飛び出して火を噴く。


「ハッ!」


 僕は気合とともに、鉄棒を振り抜いた。

 ヒモグラが地面に叩きつけられる。と、すかさず僕は、柄の先でヒモグラを刺した。


 さすがのヒモグラも、それで流血して動かなくなった。


「やった……」


 僕の口から、思わず声が洩れた。


「やった! やりましたよ!」

「やった! やったな、クオンくん!」

「やったね、クオン! 凄いわ!」


 僕たちは手を取り合って、輪になって跳ねて喜んだ。


 三人で協力して、一つの目標が達成できたのだ。

 僕は能なしかもしれないけど――僕たちは力を合わせれば、目標を達成できる。

 今まで生きてきて、初めて感じた充足感だった。


「よ~し、一匹取れればこの調子で、あと9匹とるだけだ! 私たちは、やればできる! いけるぞ、『ブランケッツ』!」


上気した顔で、エリナが言った。僕とキャルも、大きく頷いた。



    *     *     *     *     *


 読んでいただき、ありがとうございます。☆、♡、フォローなどをいただけると、とても嬉しいです。

励みになりますので、どうかよろしくお願い致します

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ