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5 ガドの頼み


 僕とキャルは先に進み、氷龍王と会う――そう決意をした時だった。


「――ランスロット、頼みがある」


 そう声をあげたのは、まだあちこちに銃弾が残っているガドだ。

 そして僕にやられた胸の負傷でまだ動けないランスロットは、ミレニアに身体を支えられながらガドに答えた。


「なんだ、ガド」

「オレの代わりに――クオンたちに手を貸してやってくれ」

「俺は……」


 ランスロットが顔を曇らせる。自分のやったことに、責任を感じているのだろう。

 ガドはジージョに言った。


「ジージョ、ランスロットを治癒してやってくれないか。頼む」


 ガドが深く頭を下げた。

 その様子に、太めのジージョが口髭を撫でながら笑う。


「フォッフォッフォ、そう言われては断れませんな。構いませんかな、レガルタス」


 レガルタスが、無言で頷く。

 ジージョは立ち上がるとランスロットの傍に行き、治癒を施した。


 あっという間に治癒が終わり、ランスロットが立ち上がる。

 ランスロットは目を伏せて、うつむいた。


「みんな、すまなかった。オレは……」

「ごちゃごちゃ言うな! クオンと一緒に――連中をやってこい!」


 ガドが大声をあげる。その勢いに、皆が笑った。


「アッハッハ! 乱暴だねえ、ガドって奴は! けど、嫌いじゃないよ、そういう奴は!」


 イオラが愉快そうに笑う。

僕はランスロットの前に行って、ランスロットを見つめた。


「ランスロット……力を貸してくれ」

「判った、クオン」


 眼に光が戻ったランスロットが、僕を見つめ返す。僕はガドを振り返った。


「これで、いいんだよね? ガド」

「おう! 判ってきたじゃねえか、クオン」


 僕とガドは眼で笑いあう。

 と、ガドが真面目な顔になった。


「クオン、気をつけろよ」

「うん。ガドも身体を早く治して」


 ガドが頷くのを見て、僕はランスロットに向き直った。


「よし、行こう、ランスロット。キャル、アタック体制で飛んでいこう」

「うん、判った」

「ちょっと! あたしのこと忘れてない!?」


 ミレニアが腕組みをして声をあげた。ちょっと頬を膨らませている。

 ランスロットがミレニアに問う。


「ミレニア、来てくれるか?」

「当たり前でしょ! あたしたち、仲間なんだから!」


 ……いや、絶対、もうそれ以上だよね。と、思ったけど、それ以上は言わないことにした。

 ランスロットが、不意にミレニアの手にしてる物に気付いて口を開く。


「ミレニア、特殊銃を持っていくのか?」

「まあ、いい感じはないけど、威力はあるからね。毒を毒を持って毒を制す、的な? ――ランスロットは持って行かないの?」


 ランスロットは地面に転がっている、自分が持っていた特殊銃を見た。

 考えてみると、ランスロットは僕との戦いで特殊銃を使わなかった。

 そういうところがランスロットだ。


「……俺には、もう必要ない」

「――じゃあ、ぼくが研究材料にするよ!」


 スレイルが飛び出てきて、特殊銃を嬉しそうに拾い上げる。

 この人、ほんとヘンな人だな。凄い実力者だとは思うけど。

 

「よし、じゃあ行こう!」


 と、言ってからふと気が付いた。この二人とはアタック体制をとった事がない。


「え~と、二人とも僕のコートの後ろのポケットに、片足を突っ込んで」


 二人が寄ってきて、コートのポケットに足を入れる。

 右にランスロット、左にミレニア。そして中央にキャルが入る。


「軽化するから同調して。ブランケッツ号の要領で」


 軽くなった。僕はみんなを背負うと、エターナル・ウィスルのメンバーに言った。


「皆さん、お世話になりました。ガドとスーを、お願いします」


 僕が頭を下げると、レガルタスが頷く。


「ガドとスーは責任もって、里に運ぶ。お前たちは――自分の目的を果たせ」


 僕は頷いた。と、キャルに向かって声を上げる。


「行こう、キャル!」

「うん!」


 僕らの身体が宙に浮く。と、眼下でスレイルが声をあげた。


「あ~、やっぱり飛行してる! その魔法の秘密を教えてくれ!」

「あぁ……いずれまた」


 ビュン、とキャルが魔法をかけて、僕らは空中を飛び始めた。


「ちょ、ちょっと! ブランケッツはもう、空飛ぶのがスタンダード!?」


 ミレニアが驚きの声をあげる。と、僕は気づいてミレニアに声をかけた。


「そうだ、ミレニアは前方に力場魔法張ってもらっていい? 風圧を受けなくなるから」

「任せて!」


 ミレニアはウィンクすると、力場魔法を展開した。

 風を受けながら飛ぶのは気持ちいいが、風が凄く顔にあたる。これなら、キャルもさらに速度を上げられる。


「フフ……」


 右隣で、ランスロットが静かに笑っている。


「どうしたの、ランスロット?」

「いや……俺が足踏みしている間に、クオンはまた先へ進んでいたんだな、と思っただけさ」


 先? そんなつもりはないけど。


「けど、気を付けてくれ、クオン。ウェポンは……ディギナーズと呼ばれていた幹部連中の中でも、特に残酷な奴だ。みかけは少年のような外観だが、明らかに普通じゃない」


 なんかカリヤのところにいたネラっていう美少女も、そんな感じだったな。


「判った。充分、警戒していこう」


 そう言った途端だった。

 白い飛竜が僕らの前を横切る。


「わぁっ!」


 キャルが僕らを空中で静止させた。

 気づくと飛竜の群れが、僕らを囲んでいる。


「「「ギャアオオォォゥッ!」」」


 大きい。明らかに自動車以上の大きさはある飛竜が、六匹も僕らの周囲を取り囲んでいた。


「クオン、空中で戦えるのか?」

「キャルは浮遊魔法を使ってるから、キャルは魔法は使えない。ランスロットとミレニアは魔法を使えるけど、僕から離れたら軽化が解けて落下だ」

「自由の利かない状況か」


 ランスロットがそう呟くと、ミレニアが銃を取り出した。


「じゃあ、この銃を使って撃退するわ。飛竜たちを、ガンガンに落としてたから」


 その銃は、そんなに威力のあるものなのか? けど、ブリザードの事を考えると、あまり飛竜たちを攻撃したくない。……どうする?


「マー」


 ふと、キャルのポーチからマルが声をあげた。


「え? なに、このコ!? 可愛いんだけど!」


 ミレニアがポーチから出てきた、小亀にしか見えない龍王に嬌声をあげる。

 ま、可愛いよなあ。


「マルちゃん」

「マルちゃん? 可愛いー! …って、そんな状況?」


 しかしマルが光を放ち始めると、飛竜たちの様子が変わってきた。

 明らかに威嚇していた飛竜たちが、おとなしく周囲を飛んでいるだけになる。


「え、なに? このコの力なの? 何者?」

「え~と……龍王?」


 僕の答えに、ランスロットとミレニアが眼を見開いた。


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