6 護衛隊の侵攻
キャルは上階へと飛んでいく、そこで僕らは驚くべきものを見た。
「これは……」
僕らは地上に降りた。
そこにあるべきはずの断崖に――大穴が開いている。
「ダンジョンに…穴が開けられている――」
ガドが呆然と呟いた。
穴は優に10mを越える直径で、ダンジョンの洞穴も相当の広さだ。
穴は明らかについ最近、破壊によって造られたもので、壊された岩壁の瓦礫が雪崩のように崩れ落ちていた。
「まさか……ここから軍隊が?」
僕は恐ろしい事態を想定して、思わず声を洩らした。
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五台のヘリが標高3000mの上空で、急峻な岩山を前に制止している。
「頂上付近まで到着したが――これからどうするんだ?」
チェンジが声を洩らした。それにウェポンが応える。
「もちろん、迷宮に入るのさ!」
「しかし……入口は何処にもないぞ」
ウェポンがにやりと笑う。
「なければ、作ればいいのさ! 各機、ミサイル用意!」
「え! まさか、ミサイル使うの?」
マルチがダルい眼を見開いて驚きの声をあげる。
他のメンバーも、それぞれの運転席で驚愕に慄いていた。
「発射!」
ヘリについた短めの羽の下についたミサイルが、五機のヘリから一斉に発射される。ミサイルは煙をあげて猛スピードで飛んでいき、山の岩壁に直撃した。
轟音が鳴り響く。
ミサイルは雪をかぶった山の岸壁で爆発し、白い雪を含んだ爆発を起こした。
その轟音と爆発は、凄まじい勢いで、その付近の雪を落としていく。
「ねえ…こんな事したら、下が雪崩になるんじゃないの?」
スルーが心配そうな声をあげる。が、ウェポンは愉快そうに笑った。
「まあ、そうかもね! なんなら、この山ごと消し飛ばしてやりたいくらいだ。どうだ、山の中に迷宮は見えるか?」
爆発の雪煙が収まるまで、ヘリは近くで旋回を続ける。
と、シグマが声をあげた。
「おい! こっちの壁の先には大穴が開いてるぞ! これがダンジョンなんじゃねえか?」
ウェポンはシグマが載っているヘリのカメラを動かして、その先を確認した。
「確かに空洞だな。どうやらそこがダンジョンか。よし、潜入しよう」
「と言っても、着陸する場所がないが?」
チェンジが疑問の声をあげる。と、ウェポンはそれを鼻で笑った。
「場所がなくったって、着陸するんだよ!」
ウェポンは両手を伸ばした。
その掌から出る光を受けて、ウェポンが乗る機体が変形を始める。
プロペラがなくなり、代わりに四本の機械の脚が生えてきた。
ヘリだった機械はショックを吸収して岩肌に降りると、岩肌にへばりついた。
「他の機体もだ!」
ウェポンが両手を外側に広げると、他の四機が次々と変形していく。
ランスロットはヘリの窓からその光景を見て、震撼していた、
「バカな……なんて能力だ。こんな事は――神にも等しい力じゃないか」
「だから言ったろう、ランスロット。司令官に従え、そして司令官が使えるバルギラ様は、さらに偉大なお方なんだ」
ランスロットの隣に座るディアッドが、ランスロットにそう言う。
しかし、逆側の隣に座るミレニアは、無言で横を向いた。
次々とヘリは自動歩行機械となり、山肌にとりつく。そこから歩行機械は、ミサイルで空けた穴に入り、ダンジョン内へと入りこんだ。
「よし、ヘリを降りて進軍しろ!」
ウェポンの命令で、隊員たちは全員、迷宮の地面へと降り立った。
ヘルメットを被り、特殊銃を持った隊員たちが迷宮にずらりと並ぶ。
「あれは何だ!」
その時、何処からか声があがった。
指さされた迷宮の上空を皆が見る。と、そこには飛び交う、白い翼の飛竜たちが飛び交っていた。
「下手に刺激するな! 敵意を見せると、攻撃されるぞ!」
ランスロットは隊員たちにそう呼びかけた。
飛竜といえば龍王の眷属であり、Bランクより上のモンスターである。その飛竜に、Cランク戦闘者がメインの警護隊が対抗できるとは思えなかった。
しかしウェポンがそこに口を挟む。
「いいじゃないか。ちょうどいい、腕試しだ。おい! 上空の飛竜をめがけて撃て!」
言われた兵士たちは戸惑っているが、上空に向けて特殊銃の引き金を引いた。
銃声が迷宮内にこだまする。
撃たれた飛竜三匹が傷つき、地上へと落下してくる。
その事態に、撃たれなかった他の飛竜が怒りの咆哮をあげた。
「キィィィィ――ッ!」
隊員たちが動揺する。
「く、来るぞ!」
「やらなければ、やられるぞ!」
白い飛竜が地上に向かって飛来し、口から氷の槍を発射した。
「うわぁっ!」
隊員たちが悲鳴をあげる。
「魔導士は防御壁を展開しろ! 他の者は銃で撃ち落せ!」
ディアッドが命令を下す。
ディアッドの命により、魔導障壁が展開されると同時に、特殊銃が轟音を響かせた。それにより、飛竜たちが撃ち落とされる。が――
「キィィィ――ッ!」
飛竜たちは憤怒にかられた様子で、氷槍を発射してくる。
その数はさらに増え、攻撃は勢いを増した。
「特殊銃では――飛竜は怯まない」
ランスロットは苦渋の表情で呟く。
その時、不意に何処からか声が響いた。
「――おいおい! なんか獲物を横取りしてる連中がいるぜ!」
ランスロットたちは、その声の主を見た。
ランスロットはその場に現れた五人を見て、青ざめた顔になった。
「奴らは……鉄の咆哮!」
その中央には、白目の黒い髑髏の仮面を被った男がいる。
並ぶのはワニ頭の魔人、下半身が騎馬のケンタウロス、狼耳の男、黄色の長髪をなびかせた男であった。
「おい、誰に断って獲物を狩ってるんだ?」
髑髏仮面がそこだけ剥き出しになった口を開く。
「こんなに大勢で――一体、何処から湧いてきやがったんだ?」
「仕置きが必要だな」
ケンタウロスがそう呟くなり、その姿が消えた。
「がぁっ!」
気づくと、隊員の一人がケンタウロスの槍に刺されて宙に浮かされている。
「なに!? いつの間に!」
隊員たちの間に動揺が走る。ランスロットは叫んだ。
「落ち着け! 敵は少数だ、陣形を崩すな!」
「もう、おせーよ!」
ワニ頭が、口から業火を吐く。と同時に、黄色の長髪が凄まじい電撃魔法を照射した。
「ぎゃあぁぁっ!」
「ひ、ひぃぃっ!」
隊員たちは悲鳴をあげて、次々と倒れていった。




