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6 護衛隊の侵攻


 キャルは上階へと飛んでいく、そこで僕らは驚くべきものを見た。


「これは……」


 僕らは地上に降りた。

 そこにあるべきはずの断崖に――大穴が開いている。


「ダンジョンに…穴が開けられている――」


 ガドが呆然と呟いた。

 穴は優に10mを越える直径で、ダンジョンの洞穴も相当の広さだ。


 穴は明らかについ最近、破壊によって造られたもので、壊された岩壁の瓦礫が雪崩のように崩れ落ちていた。


「まさか……ここから軍隊が?」


 僕は恐ろしい事態を想定して、思わず声を洩らした。



   ☈   ☈   ☈   ☈   ☈   ☈   ☈   ☈



 五台のヘリが標高3000mの上空で、急峻な岩山を前に制止している。


「頂上付近まで到着したが――これからどうするんだ?」


 チェンジが声を洩らした。それにウェポンが応える。


「もちろん、迷宮に入るのさ!」

「しかし……入口は何処にもないぞ」


 ウェポンがにやりと笑う。


「なければ、作ればいいのさ! 各機、ミサイル用意!」

「え! まさか、ミサイル使うの?」


 マルチがダルい眼を見開いて驚きの声をあげる。

 他のメンバーも、それぞれの運転席で驚愕に慄いていた。


「発射!」


 ヘリについた短めの羽の下についたミサイルが、五機のヘリから一斉に発射される。ミサイルは煙をあげて猛スピードで飛んでいき、山の岩壁に直撃した。


 轟音が鳴り響く。

 ミサイルは雪をかぶった山の岸壁で爆発し、白い雪を含んだ爆発を起こした。

 その轟音と爆発は、凄まじい勢いで、その付近の雪を落としていく。


「ねえ…こんな事したら、下が雪崩になるんじゃないの?」


 スルーが心配そうな声をあげる。が、ウェポンは愉快そうに笑った。


「まあ、そうかもね! なんなら、この山ごと消し飛ばしてやりたいくらいだ。どうだ、山の中に迷宮は見えるか?」


 爆発の雪煙が収まるまで、ヘリは近くで旋回を続ける。

 と、シグマが声をあげた。


「おい! こっちの壁の先には大穴が開いてるぞ! これがダンジョンなんじゃねえか?」


 ウェポンはシグマが載っているヘリのカメラを動かして、その先を確認した。


「確かに空洞だな。どうやらそこがダンジョンか。よし、潜入しよう」

「と言っても、着陸する場所がないが?」


 チェンジが疑問の声をあげる。と、ウェポンはそれを鼻で笑った。


「場所がなくったって、着陸するんだよ!」


 ウェポンは両手を伸ばした。

 その掌から出る光を受けて、ウェポンが乗る機体が変形を始める。


 プロペラがなくなり、代わりに四本の機械の脚が生えてきた。

 ヘリだった機械はショックを吸収して岩肌に降りると、岩肌にへばりついた。


「他の機体もだ!」


 ウェポンが両手を外側に広げると、他の四機が次々と変形していく。

 ランスロットはヘリの窓からその光景を見て、震撼していた、


「バカな……なんて能力だ。こんな事は――神にも等しい力じゃないか」

「だから言ったろう、ランスロット。司令官に従え、そして司令官が使えるバルギラ様は、さらに偉大なお方なんだ」


 ランスロットの隣に座るディアッドが、ランスロットにそう言う。

 しかし、逆側の隣に座るミレニアは、無言で横を向いた。


 次々とヘリは自動歩行機械となり、山肌にとりつく。そこから歩行機械は、ミサイルで空けた穴に入り、ダンジョン内へと入りこんだ。


「よし、ヘリを降りて進軍しろ!」


 ウェポンの命令で、隊員たちは全員、迷宮の地面へと降り立った。

 ヘルメットを被り、特殊銃を持った隊員たちが迷宮にずらりと並ぶ。


「あれは何だ!」


 その時、何処からか声があがった。

 指さされた迷宮の上空を皆が見る。と、そこには飛び交う、白い翼の飛竜たちが飛び交っていた。


「下手に刺激するな! 敵意を見せると、攻撃されるぞ!」


 ランスロットは隊員たちにそう呼びかけた。

 飛竜といえば龍王の眷属であり、Bランクより上のモンスターである。その飛竜に、Cランク戦闘者がメインの警護隊が対抗できるとは思えなかった。


 しかしウェポンがそこに口を挟む。


「いいじゃないか。ちょうどいい、腕試しだ。おい! 上空の飛竜をめがけて撃て!」


 言われた兵士たちは戸惑っているが、上空に向けて特殊銃の引き金を引いた。

 銃声が迷宮内にこだまする。


 撃たれた飛竜三匹が傷つき、地上へと落下してくる。

 その事態に、撃たれなかった他の飛竜が怒りの咆哮をあげた。


「キィィィィ――ッ!」


 隊員たちが動揺する。


「く、来るぞ!」

「やらなければ、やられるぞ!」


 白い飛竜が地上に向かって飛来し、口から氷の槍を発射した。


「うわぁっ!」


 隊員たちが悲鳴をあげる。


「魔導士は防御壁を展開しろ! 他の者は銃で撃ち落せ!」


 ディアッドが命令を下す。

 ディアッドの命により、魔導障壁が展開されると同時に、特殊銃が轟音を響かせた。それにより、飛竜たちが撃ち落とされる。が――


「キィィィ――ッ!」


 飛竜たちは憤怒にかられた様子で、氷槍を発射してくる。

 その数はさらに増え、攻撃は勢いを増した。


「特殊銃では――飛竜は怯まない」


 ランスロットは苦渋の表情で呟く。

 その時、不意に何処からか声が響いた。


「――おいおい! なんか獲物を横取りしてる連中がいるぜ!」


 ランスロットたちは、その声の主を見た。

 ランスロットはその場に現れた五人を見て、青ざめた顔になった。


「奴らは……鉄の咆哮(アイアン・ロア)!」


 その中央には、白目の黒い髑髏の仮面を被った男がいる。

 並ぶのはワニ頭の魔人、下半身が騎馬のケンタウロス、狼耳の男、黄色の長髪をなびかせた男であった。


「おい、誰に断って獲物を狩ってるんだ?」


 髑髏仮面がそこだけ剥き出しになった口を開く。


「こんなに大勢で――一体、何処から湧いてきやがったんだ?」

「仕置きが必要だな」


 ケンタウロスがそう呟くなり、その姿が消えた。


「がぁっ!」


 気づくと、隊員の一人がケンタウロスの槍に刺されて宙に浮かされている。


「なに!? いつの間に!」


 隊員たちの間に動揺が走る。ランスロットは叫んだ。


「落ち着け! 敵は少数だ、陣形を崩すな!」

「もう、おせーよ!」


 ワニ頭が、口から業火を吐く。と同時に、黄色の長髪が凄まじい電撃魔法を照射した。


「ぎゃあぁぁっ!」

「ひ、ひぃぃっ!」


 隊員たちは悲鳴をあげて、次々と倒れていった。



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