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借金まみれの錬金術師、趣味で作ったポーションがダンジョンで飛ぶように売れる~探索者の間で【伝説のエリクサー】として話題に~  作者: わんた


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新たな借金の金額は……?

 襲撃事件から三ヶ月が経過した。夏も終わって秋になったけど、放置ダンジョンの限定解放を邪魔する人は出ていない。村田さんが最初で最後だったようだ。彼の処罰について具体的なことは聞いてないけど、一応は生きているみたい。


 警察沙汰にもしてないらしく、どこかの田舎に左遷されたんだろう。違う可能性もあるけど、興味はないのでそういうことにしておいた。


 襲撃してきた人たちは、知晴さんの預かりになっている。


 借金を特別本部が肩代わりする代わりに、山小屋周辺を整備するために働かせている。今はキャンプ場を作るべく、木々を伐採して抜根し、整地する重労働をしていた。扱いに不満が出るかもと懸念していたけど、お給料は出る上に寝る場所も用意されているので、案外充実した生活をしているらしい。


「悪さをしようとしたら、また虫に襲われるぞ」


 と、知晴さんが警告していたとき、襲撃してきた人たちは顔が真っ青になってガクガクと震えていたから、扱いをもっと酷くしても逆らうことはなさそうだけどね。


 また埼玉ダンジョン開発計画書が完成して、他の工事も進んでいる。


 ヘリポートができたので物資の補給が容易になった他、使っていた山小屋は探索者ギルドの支部として運用するらしく、リフォーム作業も進んでいる。


 一階は受付や素材の受け取り、換金を行い、二階に支部長である知晴さんの部屋や錬金術ギルド店ができるらしい。


 リフォームが完了すると、俺とユミの居場所がなくなってしまうので、新しく家を建ててもらっている。


 2LDKというサイズで、お風呂の代わりに温泉を引いてくれるらしい。素材保管所までは用意できなかったけど、転移門があれば不自由しないので大丈夫だ。思う存分、錬金術で遊べる。


 * * *


 今はばーちゃん家で暮らしていて、譲り受けた倉庫に数十のドローンを並べている。


「マスター、ドローンをそんなに買ってもらったんですね」


 全てシールド機能が付いていて、多少のダメージを受けても撃墜はされない。また収納ボックスがあるため、食料や水、ポーションといった商品であれば運べる優れものだ。


 行商をするときに活躍することだろう。


「この際だから、イケるだけ行こうと思ってね。どこかで使えるでしょ」

「そんな考えだから借金が減らないんですよ?」

「細かいことは気にしない! 知晴さんがいいと言ったんだから、問題ないって!」

「マスター……」


 何も言えなくなったようで、半目で睨まれてしまった。


 ユミはお金や他人の視線を気にしすぎなんじゃないかな。世の中なんとかなるようになってるんだから、おおざっぱに生きればいいのに。


 でも、真面目な性格はユミのいいところではあるから、変わって欲しくない気持ちもある。


 あー! 俺にだけ甘々になってくれないかなー!


「これも手に入れたから、ファイヤーバードに襲われても逃げ切れるんじゃないかな!」


 視線に耐えられなくなって話題を変えた。


 見せたのは小型の魔動バイクだ。名前のとおり動力源が魔物から採取できる魔石となっているため、ダンジョン内でも補給の心配はなく動かせる。しかも沼地でも走れるオフロード仕様にしてもらった。その上、静音性が高いので偵察にも使える優れものだ。


 ドローンにつけているシールド機能の強化版もある上に、俺が大型のマジックバッグを両サイドに取り付けたので、大きめな素材も収納できる。


 行商と同時に採取も行えるのだ。完璧すぎて、俺が恐ろしい。


「マスター、いくらしたんですか?」

「わからない」

「……えっ?」


 珍しく驚いた顔をしている。


 どうしてなんだろう。


「ユミは知晴さんと相談して、購入していいものを決めたんじゃないの?」

「そうなんですけど、私が見たのはカスタマイズ前の値段です。マスターが手に入れたのは、その……かなりカスタマイズしてますよね……」

「購入時のカスタマイズはオフロード仕様、シールド発生機能、腰に優しいクッション、ブースター機能、レーザー発射ぐらいだよ。後は俺が個人的につけた物だけだから、そんなにかかってないはず」


 大型のマジックバッグがそうだ。俺が錬金術で錬成したので素材費以外はタダだ。


 車体の耐久度を上げるため、じーちゃんに防御パーツを組み込んでもらったけど、弟子の練習にちょうどいいと言われてかなり値引いてもらった。


 知晴さんに領収書を渡しても文句は言われなかったし、金額的に大きくないと思うんだよね。


「マスターの言葉は信じられません。いえ、普段は信じているんですけど、お金に関してだけはダメです。知晴さんに電話で聞いてみます」


 ポーチからスマホを取り出すと、ユミは顔につける。


 数秒待っていると知晴さんとの会話が始まる。


「お久しぶりです。マスターの借金について聞きたいんですが……ええ、そうです。覚えてないみたいで……はい。よろしくお願いします」


 通話しながらユミは俺を見る。


「今、調べているそうです」

「時間がかかるなら後日にすれば? 知晴さんは忙しいだろうしさ」

「いえ、今すぐ確認します」

 

 提案は、きっぱりと断られてしまった。


 別に隠すことじゃないので、魔動バイクの状態を確認しながら待つ。しばらくしてユミの声が聞こえてきた。


「あ、はい……そうなんですね。わかりました。マスターには伝えておきます。お忙しい中、ありがとうございました」

 

 通話が終わったようだ。


 顔を上げてユミを見ると、眉がつり上がっていた。


 あ、ちょっと怒っている。お説教されるのを覚悟しないと……。


「マスター」

「はい。なんでしょう」


 緊張して丁寧な言葉が出てしまった。


 ゴクリとツバを飲んで続きを待つ。


「借金の総額は五千万ちょっとまで増えているようです。前に、多くても数百万と言っていましたが……どういうことですか?」


 まさか、そんなに借金が膨らんでるとは思わなかった。予算オーバーしているのなら、知晴さんもポンポン許可しないでほしい。全く困ったものだ。こんなんで放置ダンジョンの管理なんてできんのかね。もっとお金に厳しい人に……いや、それじゃ俺が借りれなくなる。やっぱり今のままでいいや。


 さて、怒っているユミをどうやってなだめようか。いい感じに話題を変えられないかな。


「知晴さんお金持ちだったんだね」

「マスター? 反省しています?」


 あ、話題の変え方ミスったみたいだ。


 ガチギレになりかけている。もうこうなったら、素直になるしかない。


「…………ごめんなさい」

「これからお金を使うとき、必ず私に相談してください。マスターならできますよね?」

「うん。そうする。勝手に買わないし、カスタマイズもしない」

「約束ですからね。破ったら……」

「破ったら?」

「嫌いになりますよ」

「それは困る! 絶対に守るからっ!」


 ユミに嫌われたら、廃人になる自信がある。


 お金や連絡のやりとりを任せていたけど、これからは購入する物も管理してもらおう。これでユミなしで生きてはいけない体になってしまったな。


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