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借金まみれの錬金術師、趣味で作ったポーションがダンジョンで飛ぶように売れる~探索者の間で【伝説のエリクサー】として話題に~  作者: わんた


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隠していた精霊の力

 倉庫から戻ってくると、知晴さんは山を下りていった。


 どうやら数日中にエリア部長会議というのがあるらしく、そこで放置ダンジョンの調査結果を報告するらしい。その後、すぐにでも放置ダンジョンを狙う人たちが来ると言われているので、ユミはブルーボルド草を育てている畑の管理、俺はクロちゃんを引き連れて、警備態勢の強化を行うことにした。


 最初に行ったのはダンジョンの入り口に蛍光追跡液をばらまいて水たまりを作ることだ。飛び越えず歩いてもらえるように、小さく浅いものをいくつか作っておく。日中ならともかく、夜に侵入しようとすれば気づかず踏んでくれることだろう。


 ついでに放置ダンジョンの鍵も交換しておく。


 これはあえて破壊されたタイプと同じのを用意したので、俺たちはマニュアル通りに対応していると勘違いしてくれることだろう。変な警戒心は持たれないはずだ。


 後はクロちゃんに命令するだけ。


「ユミから聞いていると思うけど、俺たち以外にダンジョンへ入った人を捕まえて欲しい。できるな?」


 前足を上げて返事をしてくれると、クロちゃんは水たまりを飛び越えてダンジョンへ入っていった。


 俺の言葉は通じている……よな? 保険でしかないから失敗してもいいんだけど、期待はしているからな!


 クロちゃんを見送ってから、放置ダンジョンの扉を閉めて鍵を施錠し、山小屋へ戻った。


 窓枠に粘着テープと警報装置を取り付けていく。ガラスを割れば警報がなるし、解錠して侵入しようとすればテープによって身動きが取れにくくなる計画だ。


 間違って触らないよう、気をつけないとね。


 後は監視カメラの設置が残っている。これはどこにしようか悩んだけど、玄関とダンジョンの入り口に取り付けた。盗撮するつもりはないよ?


 本当はリビングとかにもつけたかったけど、数が足りなかった。


 俺は人を傷つけるのは苦手だから、攻撃的な罠は用意していない。侵入にさえ早めに気づければ、やりようはあるので何とかなるだろう。


 半日かけて設置が終わったのでユミの様子を見にいく。


 薬草畑に大量のみみずが発生していた。数百は越えている。うねうねと動いていて気持ち悪く、足は完全に止まってしまった。


「みみずさん~! フワフワの土ですよ~! 畑に栄養を沢山作ってね~!」


 手を広げながら、自作の歌を口ずさんでいる。周囲には蝶、蜂、セミ、カブトムシなどが飛んでいて、近寄りがたい。


 虫は嫌いじゃないけど、この数はちょっと勘弁して欲しいなと思った。ユミには言えないけど……。


「ブルーボルドさんにはエーテルの栄養を上げましょう~」


 くるっと回転したユミの体が僅かに光り出した。髪の色も鮮やかな緑色に変わる。まさかと思いマジックバッグからエーテル測定器を取り出すと、メーターがぐんぐんと上がっていく。


 変化はそれだけじゃない。畑に植えていたブルーボルド草が成長して大きくなっているのだ。


 名前の通りの青い花を咲かせると蜂が集まって花粉を受粉させていく。


 精霊にも得手不得手があって、ユミは虫だけじゃなく植物関連にも高い適性があるみたいだ。能力については教えてくれないし、俺も聞こうとはしなかったので初めて知った。


「種さんは、畑にまいて~! すくすく育ってね~!」


 歌いながらくるっと回転したユミは、俺と目が合うと耳まで真っ赤になった。


 同時に体の光は消えて髪は銀青色に戻る。


 手で顔を隠してしゃがんでしまう。


「マスター! いるなら声をかけてください!」

「素晴らしい能力じゃないか。恥ずかしがることないよ」


 褒めてみたんだけど、効果はあまりなかったみたい。


 ユミは顔を覆っていた手を開いて隙間から俺を覗き見る。


「マスターにはあまり見られたくなかったんです」

「どうして?」

「…………」


 反応がない。言いにくいのか。


 虫が飛ぶなかを歩いてユミの前で止まると、目線を合わせるためにしゃがんだ。


「俺はもっとユミのことを知りたいんだ。教えてくれないか?」

「…………嫌いになりません?」

「ならないよ」


 安心させるために頭を撫でる。


 髪型が崩れると、文句を言われるかなと思ったけど何も言われない。ユミは力を抜いたようで、俺にもたれかかってきた。


 バランスが取れず、俺たちは倒れ込む。


 土まみれだ。


「精霊の力の力を使いすぎると、人間じゃないように見えてしまって、マスターの前では使いたくなかったんです」

幽灯蝶(ゆうとうちょう)とか使ってたじゃないか」

「あれはスキルみたいなものなのでいいんです。でも精霊の力が強くなると、体が光って髪の色が変わっちゃうんです。異常ですよね」


 人工精霊は人間の体に精霊を埋め込んだ存在だ。


 精霊の力を強くすれば、肉体にも影響が出てしまう。ユミはそういった変化を「人間らしくない」と嫌っていたのかもしれない。


 気にする必要ないのにと、俺が言っても納得はしないだろう。


 だから俺は全てを受け入れると伝えることにした。


「どんなユミでも俺は離れない。必ず一緒に居るよ」


 返事はないけど、きつく抱きついてくることから、俺の気持ちは伝わったんだと思う。


 ユミのことは何でも分かっている。そう思っていたんだけど、思い上がりだったんだな。


 時間はたっぷりとあるんだし、少しずつになっちゃうかもしれないけど、もっと深く知っていきたい。

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