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借金まみれの錬金術師、趣味で作ったポーションがダンジョンで飛ぶように売れる~探索者の間で【伝説のエリクサー】として話題に~  作者: わんた


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山登りは辛いよね

 転移門を使って、ばーちゃん家の倉庫から必要そうな物をマジックバッグに入れると、俺とユミ、ミスラム、クロちゃんは指定された山を上っていた。


 既に何キロ歩いたか分からない。山の中腹ぐらいだろうか。地図を見る限り、目的の山小屋はもう少し先にありそうだ。


 ユミは人工精霊であるため成人男性よりも体力があり、クロちゃんは魔物なので山登りぐらい苦でもない。ミスラムはゴーレムなので体力は無尽蔵だ。ぽよんと跳ねながら勝手に付いてくる。


 二人と一匹、一個は軽い足取りで進んで行くが、運動不足の俺は死にそうだ。汗をダラダラと流し、喉が渇く。ドラゴン討伐の時よりも命の危機を感じていた。


「マスター、ファイトです!」


 少女に応援されるなんて情けないとは思わない。


 正確に言えば、そう思う余裕すらないのだ。


 そこら辺で拾ったいい感じの木の枝を杖代わりにして、疲れたと訴えかけてくる足を必死に動かし、坂道を上っていく。


 舗装されてないため土がむき出しになっていて、気を抜けばつまずいてしまいそうだ。


 慎重に歩きながら進んで行くと、椅子代わりになりそうな石を見つけて腰を下ろす。


「ふぅ。疲れた~」


 足を伸ばして、マジックバッグから水を取り出す。ゴクゴクと飲むと、体全体に浸透して生き返るような気持ちになった。あーもう動きたくない!


「マスター、汗を拭きますね」


 勝手に休憩を取っても文句を言うことなく、ユミはハンドタオルを取り出すと額や頬に浮かんだ汗を吸い取ってくれた。


 クロちゃんも俺を労る気持ちがあるのか、前足でふくらはぎを揉んでくれている。ユミがした躾の効果が出ていそうだ。


 言葉は分からないけど、俺を主人として認めてくれている気がする。


 でもなんか、たまに背中がゾクゾクするときがあるんだよね。


 気のせいだとは思うけど……。


「誠たちは夕方に到着するんだよね?」

「そう聞いています」


 俺たちはサポート役なので、先に山小屋へ入って、掃除や食事の用意などをする予定だ。


 マジックバッグ持ちだから大量の食料も簡単に持ってこれるから、錬金術って本当に便利だよね。


 休憩して少しは疲れが取れたので立ち上がろうとする。


 視界が真っ暗になって膝から力が抜けた。


「マスター!?」


 ユミが抱きかかえてくれたおかげで、倒れずに済んだ。


 顔が歪んで泣きそうだ。心配をかけてしまったみたい。


「立ちくらみだったみたい。もう大丈夫だよ」

「マスター、山小屋まで道は長いんです。もう少し休みましょう」

「すごく魅力的な提案だけど、本格的に休んだら夜になっちゃうよ。野宿は嫌だなぁ」

「でしたら、私がおんぶします!」


 ワガママを言ってたら、ユミが変な決意を固めてしまったようだ。


 俺を背中に乗せてくれた。サラサラの髪が顔に当たって良い香りがする。スーッとするような匂いで落ち着くんだよね。


 ただユミは身長が低いので、俺の足が地面に付いてしまう。これじゃ靴がボロボロになってしまいそうだ。


「え、クロちゃん?」


 ユミの声を聞いたのと同時に体が浮かんだ。


 気づいたら白い糸が体に巻き付いてくる。逃げ出そうと考える前に、簀巻きにされると、そのままクロちゃんの上に乗せられる。暴れようとしても身動きはとれない。蜘蛛の糸は、俺が腕力で引きちぎれるほど弱くはないようだ。


「マスターを運んでくれるの? うん。わかった」


 クロちゃんの言葉は分からないけど、ユミの反応で何をしたいのか理解はできた。


 簀巻きにする必要性は感じないけどね……。


「私とミスラム、クロちゃんだけなら、道をショートカットできますね」


 ん? ショートカット?


 嫌な予感がする!


「ま、待って……うぁぁぁああ!?」


 ユミは道を外れて、山を駆け上っていく。クロちゃんは蜘蛛の能力を活かして、木々の間を飛んで移動している。すごいスピードだ。頭が揺れて気持ち悪い。


 ミスラムは変わらず、ぽよん、ぽよんと跳ねていて平常運用だ。こいつは、どんな道でもついてきそうだ。


 俺の悲鳴は、風によってかき消されてしまい、ユミには届かなかった。


 これなら歩いていた方がマシだったかもしれない。


 * * *


 地獄のような移動を耐えて、ようやく山小屋に着いた。


 ダンジョンを監視するために設置されていたので、2階建てで室内は広く、設備はしっかりしている。電気まで通っていて、天然の温泉まであるみたいだ。


 長い間使われてなかったので、中はホコリが溜まっている。


 清掃道具は残っているみたいなので、窓を開け、ユミは清掃を始めた。クロちゃんは室内にいる虫を食べているようで、あちこちを移動している。


 昆虫好きのユミではあるが、クロちゃんに食われてしまうのは問題ないらしい。自然の摂理として、受け入れているのだろう。


 俺は皆が働く姿を見ながら、椅子を並べて横になっていた。


「手伝えなくてごめんね」

「マスターは悪くありません。あんな状態だって、気づけなかった私が悪いんです」


 山小屋に着いた直後、真っ青な顔になっている俺を見てユミは慌てていた。


 可哀想に思えてしまうほど、しょんぼりとしていたのだ。


 でもさ、そもそも山登りするほどの体力が残っていない俺が悪いのだ。ユミは気にする必要ないのに。真面目な娘だな。


「移動のことは、もういいよ。それより部屋は何個あった?」

「5個ですね。誠さんのパーティが4名なので、マスターと私は同じ部屋で寝ることになりそうです」

「ベッドの数は大丈夫?」

「はい。各部屋二つあったので問題ないですよ」


 それなら寝る場所は困らなさそうだ。


 安心できると、疲れが全身を襲って眠くなってきた。


「少し寝てもいい?」

「問題ありません。おやすみなさい」


 ユミはポーチ型のマジックバッグから、家から持ってきたタオルケットを取り出すと、俺にかけてくれた。


 ありがたく休ませてもらおう。


 目覚めたとき、気持ち悪さが抜けているといいなぁ。


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