#77 龍装神威
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暑くて溶けそう
『見え透いた挑発、だな。どうする、紅蓮』
……カイという男の言う『強大な力』と言うのは十中八九俺の中にいるカグラの神の力の事だろう。
カグラの問いに、俺は一瞬だけ頭を悩ませた。
が、つい先日に自分の力だけで何とか頑張ろうと決意したのだ。
それならば、こんなにすぐにその信念を折る訳にもいかないだろう。
「……お前の言う力っていうのがなんの事かは分からないな。俺はハッキリ言ってお前の相手にもならない雑魚なんだから」
「しらを切るつもりですか? なら、無理矢理にでもその力を使うような状況にしてあげましょうか」
「……何だと?」
「……こういう事、ですよッ!」
そう叫んだカイは、正面にいる俺ではなく、隣で他の魔術師たちを倒していたメルと冥に矛先を向けた。
「凍てつけッ!」
刹那、さっきの俺に向けられた魔法がメルたちの元に現れたのだ。
「きゃああっ!?」
「あ、足が凍り付いた……ッ!?」
「メル! 冥ッ!」
クソ……ッ! 魔法の出が速くて対応できなかった!
動体視力の良い姉さんでも動けないくらいの、早い魔法の発動……このカイという男、かなりの魔法の使い手だぞ……。
「リヒト君ッ!」
「言われなくてもッ! ――行くぞ、『風操作』……ッ!」
カイの指示と同時に飛び出してきたリヒトは、剣を構えながら小さく呟いていた。
直後、リヒトの周りには少しずつ風が集まっていく。それは、そよ風レベルだったものから、台風のような暴風に変わっていって。
「『剣術』のスキルによって加速した思考と剣戟、そして『風操作』のスキルで操る俺の暴風によって貴様ら賊は無様に死ぬのだッ!」
「――ここはあたしがッ! 『身体強化』ッ!」
姉さんが、二回目の『身体強化』を使いながら、リヒトに向かって飛び出した。
しかし――
「フハハッ! 遅いッ!」
「ッ……急に加速し――」
風による急激な加速。そして、風圧による攻撃の軌道妨害。
……結果、姉さんの突き出した拳よりも、リヒトの振るう剣の方が速く――。
「きゃああああああああああッ!?」
リヒトの剣は、姉さんの身体を無慈悲にも切り裂いたのだ。
「姉さんッ!」
俺はすぐに姉さんに駆け寄ろうとしたのだが……。
「そうはさせないよ?」
「ッ……!」
氷の礫が飛んできて、俺の歩みを止めてきたのだ。
「クソ……ッ!」
姉さんの方を見ると、幸い死に至るほどのダメージではなかったようだが、それでもかなり出血がひどく、倒れた地面に血がじわじわと広がっていくのが見えた。
あれは、早く治療しないとかなりマズい……のにッ!
「さあ、どうしますか? あなたがその力を使わないのであれば、このまま元団長さんは死んで、あそこの人質もリヒト君が殺すでしょうねぇ?」
「……」
「ああ、そうだ。そこの後ろにいる子供たちも殺してしまいましょうか。どうせあなた方は賊なんですし、構いませんよね?」
「…………なよ」
「どうしたんです? ああ、怒っちゃったんですか? ハハ、お仲間が殺されそうで、怒っちゃったんですね?」
クソ……。こんなの、俺を怒らせるための挑発なのはわかっている。
だけど…………だけどッ!
もし、本当だったら? もし、俺がカグラに頼らなかったせいで、姉さんや、皆が死んでしまったら?
……今の、俺に出来ることはせいぜい目くらましと、皆が逃げられるような時間を稼ぐことぐらいだ。
でも、それじゃあ俺はきっと死ぬ。死なないとしても、少なくとも安全な状態ではいられないだろう。
姉さんは、仲間を頼れって言ってた。心配させるなって。
それなら、今俺がすべきことは――
「…………ふざ、けるなよ」
「……ッ! 何ですか、この凄い気迫は……」
俺から何を感じたのかは分からないが、カイは俺から距離を取った。
「…………カグラ。頼めるか」
『ああ、お安い御用だ』
「なら……」
こんなの、カグラの力を使う理由を正当化しただけに過ぎない。
本当なら自分の力だけで……なんて意気込んだが、今はそんな事を言っている場合じゃないだろう?
……心を鬼にするんだ。今は、絶対に皆を助ける事。それだけを考えていればいい!
「――我が身に宿る龍神よ。汝、我が肉体を以て其の力を存分に振るい、皆を守れッ!!!」
『……ククク、これが我の初陣かッ! いいぞ、面白い、面白いッ!!』
行くぞ――カグラ!
――ああッ!
『「――龍装神威ッ!!!」』
次回は明日更新です!
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