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最弱な俺が『最強』の美少女たちに姫扱いされる件  作者: テトラ
第八章 ≪夕焼け空と恋模様≫
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#64 戦いのその後:妹の想い

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天才美少女めいちゃん、動きます。



 あ、もうダメだ。

 そう思う瞬間っていうのは、唐突にやってくる。


 わたしはどうしようもなく不安に陥った時、体が震えて動かなくなる。

 「助けて」、という簡単なはずのその言葉は、わたしの口からは出てこない。


 それは、わたしの信念の中核にある『プライド』がそれを許さないから。

 でも、そのせいで何度も失敗して、後悔してきたのも分かっている。


 悠にぃが敵側にいて、たった一人の家族――妹であるわたしを攻撃してきたこと。

 紅蓮お兄ちゃんの質問に、無神経な答えをして、そのことを謝れてないこと。

 蒼華お姉ちゃんに、何もかも敵わないこと。


「もう……どうすればいいのか分かんないよ――」





――スキ――『謨――◇■ヮ閨――◆・ウ』――n干渉――さr――――――sた。





 胸が苦しくなってきて、頭がボーっとなってくる感覚。

 寒くて震えるような。怖くて震えるような。そんな感覚。


 どうしようもない感情たちが、わたしの中で暴れて、ぐちゃぐちゃになって。


「もう、無理だよ……」


 その感情は、やがて一筋の涙となって頬を伝った。




◇◇◇◇◇




「――もう、こんな時間か」


 気が付けば、日はもう沈みかけていた。

 夕暮れ時。夕焼けが綺麗に小川を照らしていて、まだまだこの場所は輝いていた。


 が、流石にそろそろ戻らないと心配かけてしまうからな。


「そろそろ戻ろうか」

『うむ!』


 俺の来た高台から、宿屋まではそこまで距離は無い。

 すぐに宿屋に戻って来た俺は、そのまま借りている大部屋の扉を開いた。


「ごめん、皆。今戻っ――」


 直後、俺の目には倒れた冥と、それを介抱する姉さんの姿が見えた。


「――冥ッ!?」


 俺はすぐに彼女に駆け寄った。


「――大丈夫、落ち着いて紅蓮」

「で、でも……」

「大丈夫、大丈夫だから。ひどい熱があるみたいだけど、それ以外には何もないから」

「ね、熱……か」

「ひとまずベッドに寝かせるから、紅蓮も手伝って」

「う、うん。分かったよ」


 それから、俺は姉さんの指示通りに冥をベッドに運んで、寝かせてあげた。


「あたしは冥の着替えを探してくるね。メルちゃん、モネちゃん、レイニーくん。皆にも手伝ってもらいたいんだけど……いい?」

『はい!』


 姉さんは、俺に冥の看病を任せると、それぞれ冥のために村を駆け回り始めていた。

 メルは熱を抑える薬を、モネとレイニーは汗を拭くための水くみとタオルの用意を、そして姉さんは冥の着替えをそれぞれ調達しにいったのだ。


 俺も、何か……何かできれば。

 そう思って、立ち上がろうとした時。


「……!」


 俺の服の袖を、冥が掴んで離さなかった。


「いか、ないで……おにい、ちゃん……」

「っ…………!」


 ほんのり上気した顔に、とろんとした瞳。

 熱いのか、少しはだけた服に甘えるような声色。


 そんな彼女の姿に、不覚にもドキッとしてしまった俺は、硬直しながらも席に座りなおしてしまう。


「――わたし、わたしね……どうすればいいか、わかんなくなっちゃって……それで……」


 何かを必死に伝えようとしている冥。

 俺はそんな彼女の頭を撫でながら、言った。


「……落ち着いて。ちゃんと聞いてるから、ゆっくり話してよ。俺は何処にも行かないからさ」

「おにい、ちゃん……えへへ、おにいちゃんの手、あったかぁい……」


 う……こんな甘えん坊な冥は、小さい頃以来じゃないか?

 小学生の中学年辺りから、冥は一切怪我や病気が無かったくらいの強靭な身体だったからな。


「わたし、ね。この間のことがあってから、いろいろ思うところがあってね」


 この間の事……ああ、森での一件のことか。


「悠にぃに会えたと思ったら、悠にぃが敵でさ。そのことだけじゃなくてね? おにいちゃんに、この前のことを謝れてなかったのもずっときにしてたの」

「この前の事って…………もしかして、俺が冥に質問した時の?」

「うん……あの時は、ほんとうにごめんなさい……わたし、おにいちゃんの気持ちも考えずに無神経なこと言っちゃって」

「気に、しないでくれよ。確かに、色々思うところはあったけどさ、あの時俺が冥にああやって言われてなかったら、俺たちはきっとモネ達を救うことが出来なかっただろうから」

「……ほんとに、いいの……?」

「ああ、いいよ。俺ももう立ち直ったしさ!」


 ――決意したんだ。

 今はまだ、皆に守られる足手まといだとしても。いつの日か、この世界で誰よりも強くなって、今度は皆を守れるくらい強い男になるんだって。


 だから、もううじうじするのは止めようって。

 そう決意したんだ。


「――そっか。おにいちゃんは、やっぱり強い人なんだね」

「そんなことないよ。俺は、相棒にまでクソ弱いってバカにされるような雑魚だぞ?」


 俺は笑いながら自虐風に言って見せた。


「それにな。冥」

「……?」

「悠兄さんのことだけどな。きっと、悠兄さんにも何か事情があると思うんだ。じゃなければ、あの真面目でお堅い悠兄さんが敵側になんてつくはずがないだろ?」

「……たし、かに」

「だからさ。今度悠兄さんに会った時は――ボコボコに負かして、一発ぶん殴ってやろうぜ! なんで敵になったんだー! ってな」


 にしし。と俺は笑った。

 そうだ。悠兄さんには裏切った罰として一発ぶん殴ってやらなきゃいけないよな。


「……っ! えへへ、そう……だね」


 冥はぎこちなく笑いながら、寝ている身体を起こした。

 俺はそれを急いで支えようと、彼女の腰に手をまわした時――



「んむっ――――!?」



 ――俺の唇は、塞がれた。



「な、なななな、何して……っ!」

『なにしてるのだあああああああああああああああああああああああああああ!!!』


「――おにいちゃん、わたし、わたしね?」



 動揺する俺も、何故か怒って叫んだ桜花も無視して、冥は言った。

 ほんのり上気した顔。少しはだけた服。そのままで。


 でも、ただ一つだけ。

 一つだけが、さっきまでの彼女とは明らかに違うところがあった。それは――



「――わたし、おにいちゃんが好き。これは、家族として、とか弱っているから、とかじゃなくてね? おにいちゃんのことが、一人の男性として、好きです」



 ――それは、冥が覚悟を決めた鋭い目つきをしている事だった。



「え…………?」

次回は明後日更新!明日はお休み~!

余談ですが、新作の第一章プロットが完成して、面白くなりそうな予感がしている、、、

お楽しみに待っておれ~!!


★5 高評価↓↓↓ ★5

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