#62 戦いのその後:相棒として
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『ぐれん、大丈夫なのだ?』
「ああ、もう落ち着いたよ」
俺は涙をぬぐって、笑って言った。
「――俺さ、弱いからさ。また今回も、皆に迷惑かけちゃってさ」
『……?』
「今まで、自分がしてきたことは何だったんだろうな、って」
溜まっていた思いを吐き出すように、俺は一人呟いていた。
「この世界に来て、俺だけが必要とされなくて。でも、桜花が俺に生きる理由を与えてくれたんだ。俺が良いって。俺じゃなきゃダメなんだって」
『――ああ、そうなのだ。ワタシは、ぐれんだったから、一緒にいたいって心の底から思えたのだ』
「それから、影咲が――好きな子が死んでさ。もうどこにも居場所は無くなって。それでも、二年間も死に物狂いで努力してきてさ」
『ずっと、ずっと見ていたのだ。ワタシは、ぐれんが誰よりも傷ついていたこと。誰よりも頑張っていたことを知っているのだ』
「……ああ、ありがとう」
俺は、桜花がいたからここまで頑張れたんだ。
桜花と出会っていなければ、きっと俺は死んで何もかも投げ捨てようとしていただろう。
「でも、どれだけ頑張ったって。どれだけ抗ったって、結局は皆の足手まといにしかならなくてさ。俺が今までしてきたことは何だったんだろうな、って」
いつもいつも、誰かに心配かけてばかりで。
今まで、何度死にかけたかも分からないし、なんで生きているのかも正直分からない。
それくらい、俺は自らの強さに見合わない無謀なことばかりしてきたんだ。
「……この世界で生き抜いていけるくらいの……桜花に見合うくらいの……そして、あの魔王に敵うくらいの強さを俺は手に入れなくちゃいけないのに……俺は……」
『――はぁ。さっきから聞いていれば、なにをぐちぐちと言っておるのだぐれんのばかもの!』
「……仕方ないだろ……! これは捻じ曲げようのない事実なんだから……!」
『違うのだ! もう忘れたのか? さっきの、お前の姉の言葉を!』
「姉さんの、ことば……?」
『そうだ。さっき、お前の姉は言っていたのだ。『全部自分で抱え込むな』と。『仲間を頼れ』と!』
確かに、言っていたけど。
でも、俺が強くならなくちゃ……またみんなの足手まといに――
『いいのだ? この際だからはっきりと言うのだ』
「……?」
『お前は弱い! 信じられないくらいな!』
「え」
『だけど、だけどそれでも! ――ワタシと出会った頃よりは、本当に少しだけだが、確実に強くなっているのだ!』
え……?
『それに、幸いなことにお前の仲間たちはみんな強い! 信じられないくらいな!』
「……」
『だから、頼るのだ。頼っていいのだ。強い者が、弱い者を守る。それは、当たり前のことなのだ』
……でも、でも……そんなの。
「情けない、だろ……」
『なら、いつか強くなって、その時にはみんなを守ってやればいいのだ。今じゃなくていい。焦る必要は無いのだ』
「桜花……」
『聖剣であるワタシに、龍神まで味方につけているお前は、正直運に恵まれすぎていると言ってもいい』
「それはまあ、確かに……」
おまけに死神、なんて奴もいるみたいだしな……。
『だから、諦めちゃダメなのだ! 努力は止めなければ、いつかそれは絶対に大きな実となってぐれんの手に宿るのだ』
「……本当に、そう思うか?」
『ああ、絶対大丈夫なのだ。聖剣である、このワタシが保証するのだ!』
「そうか……。絶対、大丈夫か……」
そんなこと言われたら、信じないわけにもいかないよな……。
「分かった――俺は、いつの日か、皆を守れるくらいの強い男になってみせるよ」
『ああ、信じて見守ってるのだ!』
「ほんと、桜花には敵わないな」
俺は笑いながら言った。
ほんと、出会ってから桜花にはずっと支えられてて。全てを見透かされているような包容力があって……。
『ばっ、ちょ! ず、ずるいのだ! そんな、やさしいえがおなんて……』
「……? どうしたんだ、桜花?」
『なんでもないのだああああああああああ!!』
◇◇◇◇◇
『――もう、ほんとずるいのだ……』
ワタシに顔があったら、きっと真っ赤に染まっていた事だろう。
でも、ワタシはこの気持ちを大事にしたい。
傷ついた紅蓮を一番知っているのは、ワタシだから。
他の誰にも見せたことのない部分を、ワタシは知っているから。
『好き、なのだ……ずっとずっと、一緒に――』
次回更新は明日です!
今回の章はこういう感じで進んで行きます。
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