幕間5 カルマ王への報告
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あと少し幕間は続くんじゃよ
『大妖精の森』での、大きな戦争から数日後のこと。
「――何? 魔族軍に不審な動きあり……だと?」
カルマ王国、その中央にそびえ立つ王城にて。
玉座に座したカルマ王は、直属の暗部の人間――諜報部隊員からそんな報告を受けていた。
「ハッ。魔王率いる魔族たちが、各地にて不審な動きをしております」
「ほう……して、具体的な情報はあるのか?」
「はい」
「では話してみよ。なるべく手短にな」
「かしこまりました」
舞台にいる黒子のような恰好をしたその男は、国王の言葉に小さくうなずくと手に入れた情報を話し始めた。
「まず、先日起きたエルフの森での一件に関してですが……」
男は言葉を続けた。
先日の一件。
エルフの森での戦争はカルマ王直属の聖騎士団副団長、ガラドン・バルドット率いる聖騎士団と、里を守るエルフの戦士たち、そしてそこに突如として介入してきた魔王軍による三つ巴の戦争だった。
さらに現場を見ていた他の諜報員からは、数人で構成された別の隊があったらしく、どうやらその者達がかなり怪しいのだという。
「――フム、ただ戦争に巻き込まれた者、という訳ではなさそうだな」
「はい。報告によると、その集団は魔王らしき魔人と、その配下と見られる魔人二名との戦闘があり、さらには強大な能力値反応を放つ謎の少女とのやり取りも確認されております」
……その報告は、かなり正確なものであった。
魔王アレン・マグナ・式神悠の三名のことや、龍神カグラの憑依したモネのことまでしっかりと見られていたからだ。
「――そして、一番重要な報告が」
「なんだ」
「――その集団にいる半数の人間が、異世界人だったと」
「……異世界人、だと?」
ここで、国王の頭には様々な可能性が頭に思い浮かんだ。
「……いくつか聞きたいことがある」
「なんなりと」
「まず、先日発覚した事件……異世界人『カゲサキ カナデ』の遺体が消失した件……あれはどうなっている」
「その件については、依然情報はありません。現在も調査中です」
「フム……」
死んだ影咲の遺体の消失事件。
これは、魔王アレンが引き起こした事件だった。
事の発端は、『聖堂会』の代表魔術師レバンスによる、勝手な異世界人召喚の儀式のために彼女が連れていかれたことだった。
そこで血を求められた影咲は、レバンス達聖堂会の目を盗んで何とか逃げ出したのだが……
逃げた先で、彼女はカルマ王と出会ってしまったのだ。
そこで無理矢理影咲を連れて帰ろうとしたカルマ王からも、何とか必死に逃げた影咲だったが、不幸なことに今度は突如として現れた魔王アレンによってその命を奪われてしまったのだ。
大きな力を持って召喚されただけの、ただの普通に過ごしたかっただけの少女は、そんな陰謀の渦巻く中で命を落としてしまった。
そして、彼女の想いとは裏腹に、その事件の犯人がたまたまその場に居合わせた緋神紅蓮だという事になってしまう。
「では次だ。指名手配にしたあの異世界人はどうなっている」
「『ヒカミ グレン』ですね。彼なら、まだ生きている――と言いますか、その森で発見された異世界人にとても似ていたと報告が――」
「ほう、そうか」
カルマ王は、少しだけ頭を悩ませた。
影咲の件もあるため、すぐにでも捕まえるように部隊を編成したいところだが、一つだけ厄介なことがあったのだ。
「確か、その二人以外の、この場所に召喚された異世界人はみな居るんだったな」
「はい。今朝の時点で、24名全員ともに確認されています」
「なら、そのヒカミという少年と共にいるという異世界人は、恐らくあの日の……」
「レバンスが無理矢理行った例の儀式の……ですか?」
「ああ、恐らくは」
――そう、問題はそれだった。
一番の問題点は、レバンスの事だったのだ。
「『聖堂会』……近頃は余の御機嫌取りに来ているようだが、所詮化けの皮を被った小汚い魔術師の集団にすぎんからな」
「そういえば、先日の戦争に参加した聖騎士団員たちは皆、魔石を持っていたと」
「聖騎士団が魔石を……?」
「はい。それに、国王様からの指示だったのでは、とガラドン副団長が意味不明なことを言っていましたね」
「……なるほど。これはレバンスが一枚嚙んでいそうだな。余はそんな指示を出した覚えはない」
その通りであった。
先の一件はレバンスが名誉挽回をするために、副団長を利用して引き起こさせた戦争だ。
「……あの日観測された光の柱は、確か四本だったな」
「……そちらに関しては、他の者に調査させておきます」
「――お前は行かないのか?」
「はい。最初にも申しましたように、魔王軍に不審な動きがありまして……」
「何? まだあるというのか」
「ええ。『ディムナ湖』付近にて、魔族たちが突然現れたと報告が――」
彼による、カルマ王への報告は続く――。
次回は明日更新です!!
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