#57 死んでも死なない男
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『――紅蓮を、蘇生!?』
その場にいた、気絶しているメルを除いた全員がカグラの叫んだ言葉を繰り返した。
そして、悠は不敵に笑っていた。
「フフフ……そうですか、紅蓮が居ないと思ったら死んでたんですか、なるほど」
「何、アンタまさかうちの可愛い弟に手出そうとしてんじゃないよね……?」
「――ええ、そのつもりですけど。って、ああ……まだ治ってなかったんですか。ブラコン」
「あたしに喧嘩売るとは……いい度胸じゃないの、悠」
「――さっきも言いましたけど、そんなボロボロの身体で、何ができるって言うんですか? そこで大人しく寝ててくださいよ、このブラコンゴリラ」
「――はい、決めた。もうアンタ殺すね。マジで怒ったから、あたし」
挑発が得意な蒼華が、あろうことか悠の挑発に簡単に乗ってしまっていた。
身体が痛かったことなんてとっくに忘れている蒼華は、悠との戦闘にそのまま移っていく。
そんな最中、カグラは着実に準備を進めていた。
紅蓮の復活と、モネへの身体の返還を果たすために。
◇◇◇◇◇
「俺が、お前の『器』に――?」
「ああ、そうだ。そうすれば、お前は我の加護を受けながら復活できるし、エルフの少女――モネにも体を返すことが出来る」
そうカグラは言った。
俺にとって、その提案は二つではなく、『三つ』のメリットがあるように思えた。
加護を受けながら、復活。
そう、龍の神であるカグラの加護を受けることが出来るのだ。それは、俺が強くなれる可能性を秘めている訳で……
だから俺は、その提案に対して即座に頷いて答えた。
「分かった、なるよ。俺、カグラの器になる……!」
「良かった、断られなくて……」
なんかさっきからちょくちょく可愛いんだよな、動きとか、セリフとか。
乙女っぽいというかなんというか……。
「で、では目を閉じていてくれ。二人ともだ」
「分かった」「は、はい!」
そうして、俺たちは言われるがまま、目を閉じる。
「――紅蓮、次に目を開けた瞬間、お前は急ぎ聖剣を手に取るのだ」
「聖剣……桜花を?」
「桜花、というのか。ああ、先程現れた魔人の襲撃者が、先程から落ちている聖剣を狙っているようなのでな」
「魔人の、襲撃者……」
誰だ、一体……。マグナではないという事は、まさか……
「そしてモネよ。お前は、すぐに近くにいる人間の魔術師に治癒をしてもらえ。心も肉体も、かなり傷ついているのでな」
「わ、わかりました……」
「さあ、では行くぞ。次に我が合図を出した時、それがお前たちの復活の時だ――」
俺とモネは、静かに息を呑んだ。
そして、たった一瞬の時間が、とても長い時間のように感じられた。
――この戦いで、俺はまた何もできなかった。
だから、せめて最後だけは――みんなを、守れる物語の主人公のような存在に――!
「――いいぞッ!」
俺は、カグラの合図で目を開けた。
刹那、飛び込んでくる閃光。一瞬だけ、目が慣れるのに時間を有したが……。
視界が徐々に鮮明になっていき、それと同時に飛び込んでくる情報量。
背中からしか見えないけど、姉さんが誰か……魔人と戦っている!
それに、その後ろの方ではメルが気絶して倒れている……ッ!
気になることはいっぱいある。だけど、何よりもまずは――
「――お前がいなきゃ、始まんないよな!」
俺はすぐに桜花を見つけて、拾い構えた。
俺が持ったからか、桜花は淡い桜色に輝き始めた……が、依然会話は出来ないようだった。
どうして、喋れなくなってしまったのだろうか。ホントに、どうして……
……まあ、今はいい。それよりも今は姉さんの加勢に……
「はははッ! 弱い……弱いですねっ!」
「うるさい、黙れ……ッ!! こちとら今日は体ぶっ壊れるくらい無理して戦ってきた後なんだから!」
「そうですか。それじゃあボクに負けちゃうのも無理ありませんねェッ!」
「――させるかよ……ッ!!」
男が剣を振り下ろした瞬間、俺はそこに割って入った。
男の降り下ろした剣と、俺の剣がガキン!とぶつかり合う。
「姉さんは、殺らせな――――ッ!?」
「フフフ……ハハハッ! やっと来たか、紅蓮っ!」
どう、して……ッ! どうして、この人がここに!
俺は、目の前で対峙している人物の顔を見て驚いて動けなくなってしまった。
それは、小さい頃から家族同然に育ってきた、頼れる存在で。
いつも、姉さんと一緒に、俺に『強さ』を教えてくれた……
「――――悠兄さんッ! どうして、どうして貴方までこの世界に……ッ!」
「感動の再会の気分かもしれないけど、残念だよ紅蓮! ――お前は今から、ボクに殺されて……その聖剣を奪われるんだからッ!!」
次回は明後日更新です!
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