#41 弱い俺にできること
高評価とブックマーク登録をお願いします~!!
余裕のフットさん
「ひゅう~、かっくい~! ――んじゃあ、自分の攻撃を全部防ぎぎって見せてくださいねぇ~!」
クソ……もう後には引けないぞ、俺!
考えろ、考えるんだ! モネとレイニーを守りながら、姿の見えない弓使いを撃退する方法を!
「そらよっ!」
「クソッ!」
相手が放ってきた矢は、俺の足元の地面に突き刺さっていた。
……恐らく、端から当てる気など無かったのだろう。
という事は、こちらの思考を乱してくるのが狙いか……!
「そら、どうした! 口先だけなんスか!?」
「うるせえ! 卑怯だぞ、そっちは遠距離で!」
「まあまあ、自分はいやらしい種族なんスから……っと!!」
チッ……さっきから俺の足元ばかり狙ってきやがる!
だが、向こうが俺を直接狙ってこないのなら、作戦を考える余裕が出来るはずだ!
まずは一旦落ち着いて――
「――そう、考えるッスよねぇ~」
「――ぐあァッ……!?」
い、痛い……ッ!?
足だ……足がやられた。右足の太ももに、矢が……!
「アンタを警戒して、まずはどんなものかと小手調べで撃ってみたら、動きが全然シロートなんスもん。拍子抜けもいいところッスよ」
「くそ、が……!」
「ぐ、ぐれんさんっ! だ、大丈夫ですか!?」
「ああ、まだ、何とか……!」
正直、今まで経験したことのあるどんな痛みよりも、痛い。
今すぐにでも逃げ出して、この足を治療してもらいたいところではあるが……。
……逃げるわけには、いかないんだ。今俺がここで逃げ出したら、モネとレイニーの二人が、酷い目に……。
ダメだ。それだけは絶対にダメだ。
二人を助ける為だったら、こんな痛み……どうってことは無い!
「へえ、まだ立つんスね。死にたいんスか?」
「……言っただろ、絶対に助けるって」
「はッ、無駄な足掻きだってことがまだ分からないんスか?」
「無駄かどうかは、まだ分からない、だろ……!」
相手はエルフきっての弓の使い手、『フット』。さっきそう名乗っていたし、今のところの実力を見るにそれは本当のことなのだろう。
向こうは姿を森の中に隠し、俺のことを弓矢による遠距離攻撃で狙撃してくる。
さらに、撃った後はしっかりと位置を変えていて、俺に場所の特定をさせまいとしてきている。
対する俺の方は、剣一本で防御力も無い装備。
相手の狙い通り位置も分からないし、こっちからの手出しのしようが無い……。
「そらッ! なに考え事してんスか!?」
「……ッ!」
俺は剣を振って、今度は飛んできた矢を交わすことが出来た。
……そう、手出しのしようがないというのはきっと違う。
奴は攻撃をする瞬間、癖なのか、声が出ているのだ。
まだ試行回数が少ないから、確定とは言えないが……
「一回どうにかなって程度で、勝った気にならないでくださいッスよ~」
「……ッ!」
まただ。やはり奴は、無意識のうちに自分の位置をばらしている。
『声』という最大の情報を、自ら発信することで――
「ああ、クソ! 矢がもったいないッスよ!」
「だんだん……分かってきたぞッ!」
何となくの方向が分かれば、あとはその方向に剣を振るえばいい。
俺の反応速度が速いか、向こうの矢の速度が速いかの勝負になるからな。
それに、慰安の発言を俺は聞き逃さなかった。
矢には、限りがある――それは、奴の言葉から分かった。
「つまり、攻撃を耐えきることが出来れば……!」
「チッ……さっさと決めないとまずいッスね……」
いける、いけるぞ!
確かに俺は弱い。だが、そんな俺にだって、戦うことは出来るんだ!
それに俺は、もうただの弱い人間じゃない。
――ちょっとだけ強くなった、弱い人間だ!
「いい加減に死んでくださいッス!」
「そいつは、無理なお願いだな――ッ!?」
あ、れ……。なんだ、これは――。
痛い……? 腹に、矢が……三本も……ッ!?
「う、あああああああッ!?」
「あはっ……」
「ぐれんさんっ!!」
おかしい……おかしいだろ!?
確かに、俺は……声のした方に剣を振るって……防げたと思ったのに……!
「あは、あはははははっ! 馬鹿ッスねぇ~。こっちが『スキル』を使うことくらい想定してなかったんスか~?」
スキル、だと……!
そうか……スキルを使ったから、今までとは違ったスピードで、矢が……!
「あ~あ。カッコいいこと言ってたから、どんだけ強いのかと思ってたら、こんな雑魚だったなんて」
「まだ……俺は――」
「――ちょっと黙ってくださいッス」
「ぐあッ…………!?」
痛い……痛い痛い痛い痛いッ!!!
また、奴は俺の身体に矢を――。
その時、奴は――フットはその姿を俺たちの前に現した。
「――巫女さんも残念だったッスね~。せっかく守ってくれる騎士さんが見つかったっていうのに、その騎士がこ~んな雑魚だったなんて」
「うるさい……うるさいうるさいうるさいッ!」
「ひゅ~、怖い怖い」
ダメだ……このままじゃモネは……レイニーは……ッ!
動け、動けよ俺の身体!
なんで倒れたんだ? どうして力が入らないんだ!?
「ああ、無駄ッスよ。さっきの矢には麻痺毒が塗ってあるんで。しばらく動けない上に、何日か放置してたら死ぬッスよ」
「な……んだ……とッ…………!」
そう言いながら、フットはモネの方に近づいていく。
「そんじゃ、お姫様は頂いていきますね~、っと!」
「いや、やめて……離してッ!」
「お、お姉ちゃんッ!」
ダメだ。ダメだダメだダメだ!
このまま、また俺は……何もできないまま、奪われて……!
そんなの、絶対に――
「――あ?」
「モネを、離せよ……ッ!」
「まだ動けるんだ。なかなかすごい神経してるッスね。アンタ」
俺は、精一杯の力を振り絞って、フットの足首を掴んでいた。
これこそ、無駄な足掻きかもしれない。でも、俺はまだ、戦え――
「でも、そろそろしつこいッスよ――」
「――ぐああああッ!?」
あ、れ……意識が、遠くなっていく……?
何を、されたんだ、俺は……。
あれ、胸に、ナイフなんて……刺さってたっけ……?
「そこで大人しく眠ってろ、人間――」
「グレン、さん……?」
「はいはい、じゃあ行きますよお姫さま~!」
「いや、離して! グレンさんっ! グレンさん! 起きて……起きてよッ!!」
モネの声が、どんどん遠くなっていく。
おかしいな、近くにいるはずなのに。
「ぐれんさんっ! ぐれんさああああああああああああんっ!!!!!」
代わりに聞こえてきたのは、レイニーの叫び声と、嗚咽の混じった泣き声だけだった。
――そしてそこで、俺の意識は完全に途絶えた。
次回更新は明日です!
フットさんの目的はモネちゃんだったのでレイニーくんは放置していきました。アホなので。
高評価↓↓↓




