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最弱な俺が『最強』の美少女たちに姫扱いされる件  作者: テトラ
第五章 ≪妖精姉弟との出会い≫
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#41 弱い俺にできること

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余裕のフットさん



「ひゅう~、かっくい~! ――んじゃあ、自分の攻撃を全部防ぎぎって見せてくださいねぇ~!」


 クソ……もう後には引けないぞ、俺!

 考えろ、考えるんだ! モネとレイニーを守りながら、姿の見えない弓使いを撃退する方法を!


「そらよっ!」

「クソッ!」


 相手が放ってきた矢は、俺の足元の地面に突き刺さっていた。

 ……恐らく、端から当てる気など無かったのだろう。


 という事は、こちらの思考を乱してくるのが狙いか……!


「そら、どうした! 口先だけなんスか!?」

「うるせえ! 卑怯だぞ、そっちは遠距離で!」

「まあまあ、自分はいやらしい種族なんスから……っと!!」


 チッ……さっきから俺の足元ばかり狙ってきやがる!

 だが、向こうが俺を直接狙ってこないのなら、作戦を考える余裕が出来るはずだ!

 

 まずは一旦落ち着いて――


「――そう、考えるッスよねぇ~」

「――ぐあァッ……!?」


 い、痛い……ッ!?

 足だ……足がやられた。右足の太ももに、矢が……!


「アンタを警戒して、まずはどんなものかと小手調べで撃ってみたら、動きが全然シロートなんスもん。拍子抜けもいいところッスよ」

「くそ、が……!」

「ぐ、ぐれんさんっ! だ、大丈夫ですか!?」

「ああ、まだ、何とか……!」


 正直、今まで経験したことのあるどんな痛みよりも、痛い。

 今すぐにでも逃げ出して、この足を治療してもらいたいところではあるが……。


 ……逃げるわけには、いかないんだ。今俺がここで逃げ出したら、モネとレイニーの二人が、酷い目に……。


 ダメだ。それだけは絶対にダメだ。

 二人を助ける為だったら、こんな痛み……どうってことは無い!


「へえ、まだ立つんスね。死にたいんスか?」

「……言っただろ、絶対に助けるって」

「はッ、無駄な足掻きだってことがまだ分からないんスか?」

「無駄かどうかは、まだ分からない、だろ……!」


 相手はエルフきっての弓の使い手、『フット』。さっきそう名乗っていたし、今のところの実力を見るにそれは本当のことなのだろう。

 向こうは姿を森の中に隠し、俺のことを弓矢による遠距離攻撃で狙撃してくる。

 さらに、撃った後はしっかりと位置を変えていて、俺に場所の特定をさせまいとしてきている。


 対する俺の方は、剣一本で防御力も無い装備。

 相手の狙い通り位置も分からないし、こっちからの手出しのしようが無い……。


「そらッ! なに考え事してんスか!?」

「……ッ!」


 俺は剣を振って、今度は飛んできた矢を交わすことが出来た。

 ……そう、手出しのしようがないというのはきっと違う。


 奴は攻撃をする瞬間、癖なのか、声が出ているのだ。

 まだ試行回数が少ないから、確定とは言えないが……


「一回どうにかなって程度で、勝った気にならないでくださいッスよ~」

「……ッ!」


 まただ。やはり奴は、無意識のうちに自分の位置をばらしている。

 『おと』という最大の情報を、自ら発信することで――


「ああ、クソ! 矢がもったいないッスよ!」

「だんだん……分かってきたぞッ!」


 何となくの方向が分かれば、あとはその方向に剣を振るえばいい。

 俺の反応速度が速いか、向こうの矢の速度が速いかの勝負になるからな。


 それに、慰安の発言を俺は聞き逃さなかった。

 矢には、限りがある――それは、奴の言葉から分かった。


「つまり、攻撃を耐えきることが出来れば……!」

「チッ……さっさと決めないとまずいッスね……」


 いける、いけるぞ!

 確かに俺は弱い。だが、そんな俺にだって、戦うことは出来るんだ!


 それに俺は、もうただの弱い人間じゃない。

 ――ちょっとだけ強くなった、弱い人間だ!


「いい加減に死んでくださいッス!」

「そいつは、無理なお願いだな――ッ!?」


 あ、れ……。なんだ、これは――。

 痛い……? 腹に、矢が……三本も……ッ!?


「う、あああああああッ!?」

「あはっ……」

「ぐれんさんっ!!」


 おかしい……おかしいだろ!?

 確かに、俺は……声のした方に剣を振るって……防げたと思ったのに……!


「あは、あはははははっ! 馬鹿ッスねぇ~。こっちが『スキル』を使うことくらい想定してなかったんスか~?」


 スキル、だと……!

 そうか……スキルを使ったから、今までとは違ったスピードで、矢が……!


「あ~あ。カッコいいこと言ってたから、どんだけ強いのかと思ってたら、こんな雑魚だったなんて」

「まだ……俺は――」

「――ちょっと黙ってくださいッス」

「ぐあッ…………!?」


 痛い……痛い痛い痛い痛いッ!!!

 また、奴は俺の身体に矢を――。


 その時、奴は――フットはその姿を俺たちの前に現した。


「――巫女さんも残念だったッスね~。せっかく守ってくれる騎士さんが見つかったっていうのに、その騎士がこ~んな雑魚だったなんて」

「うるさい……うるさいうるさいうるさいッ!」

「ひゅ~、怖い怖い」


 ダメだ……このままじゃモネは……レイニーは……ッ!

 動け、動けよ俺の身体!


 なんで倒れたんだ? どうして力が入らないんだ!?


「ああ、無駄ッスよ。さっきの矢には麻痺毒が塗ってあるんで。しばらく動けない上に、何日か放置してたら死ぬッスよ」

「な……んだ……とッ…………!」


 そう言いながら、フットはモネの方に近づいていく。


「そんじゃ、お姫様は頂いていきますね~、っと!」

「いや、やめて……離してッ!」

「お、お姉ちゃんッ!」



 ダメだ。ダメだダメだダメだ!

 このまま、また俺は……何もできないまま、奪われて……!


 そんなの、絶対に――



「――あ?」

「モネを、離せよ……ッ!」

「まだ動けるんだ。なかなかすごい神経してるッスね。アンタ」



 俺は、精一杯の力を振り絞って、フットの足首を掴んでいた。

 これこそ、無駄な足掻きかもしれない。でも、俺はまだ、戦え――



「でも、そろそろしつこいッスよ――」

「――ぐああああッ!?」



 あ、れ……意識が、遠くなっていく……?

 何を、されたんだ、俺は……。


 あれ、胸に、ナイフなんて……刺さってたっけ……?



「そこで大人しく眠ってろ、人間――」

「グレン、さん……?」

「はいはい、じゃあ行きますよお姫さま~!」

「いや、離して! グレンさんっ! グレンさん! 起きて……起きてよッ!!」



 モネの声が、どんどん遠くなっていく。

 おかしいな、近くにいるはずなのに。



「ぐれんさんっ! ぐれんさああああああああああああんっ!!!!!」



 代わりに聞こえてきたのは、レイニーの叫び声と、嗚咽の混じった泣き声だけだった。




 ――そしてそこで、俺の意識は完全に途絶えた。


次回更新は明日です!

フットさんの目的はモネちゃんだったのでレイニーくんは放置していきました。アホなので。


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