#36 二つの違和感
早めの更新です。
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「――はい、じゃあ今日はこのクエストに行きますよ! お兄ちゃん!」
「はいはい、分かったよ」
俺は冥が受けてきたクエストの内容を見ながら、片手間に冥の頭をポンポンとしてやる。
「にへへ~」
「う~……!」
何だが隣からメルの熱い……?視線を感じるのは、気にしないでおくことにしよう。
――あれから俺たちは、再び訪れた平和な日々を満喫していた。
冥……もといボスによる先日の強引なクエスト依頼も何とか達成し、姉さんの用意してくれたあの高級宿で寝泊まりをし。
また起きたらボスと一緒にクエストに行って、クリアして帰って寝る……。
たまの休日にはメルと二人で街の外に出かけてみたりもした。
ただ、唯一気がかりなのは桜花からの反応が一切無いことだった。
声をかけてみても、うんともすんとも言わない。
それだけが、気になって仕方が無かった。
「はい、では早速行きますよお~!」
「おー」
しかしそればかり気にしている訳にもいかない。
クエストをこなして、お金を稼がないと。それに、もっともっと強くなりたいんだ。
……ちなみに、強くなっている実感は無いんだけど。
一応鍛えることだけは毎日続けてはいるんだけどなぁ。
「で、今回のクエストはどんな内容なの?」
「ん? ああ、えっとなになに…………エルフの森での、薬草採取……?」
「げ」
げ。
「薬草採取って……」
「ああ、嫌な思い出が脳裏に……」
なんだか腹が痛くなってきたような気がする。
「それにしても、エルフの森……ね」
「知ってるのか?」
「ううん、私は知らない。けど、エルフの連中は正直苦手……ね」
メルが少し遠い目をしながらそう呟いた。
「昔から妖精族と獣人族は仲が悪かったみたいですよ?」
「へえ、そうなのか」
冥が軽い補足説明をしてくれた。
どうやら相性、みたいなのもあるらしいな。
多分人間族と魔族が仲が悪い、みたいなものなのだろう。
「ま、それについてはさておき! 早速薬草を取りに行きますよ~!!」
と、俺たちは冥によって強制的に会話を切り上げられ、クエストにある『エルフの森』に向かうことになるのだった。
◇◇◇◇◇
今、俺たちは『エルフの森』なるところに向かって旅をしている最中だった。
その森までは早くても二日はかかるらしく、その分クエストの報酬も今までのよりは豪華になっていた。
そして今、俺たちはまさにその道中で魔物に襲われているところだった。
「――クッ……!!」
「下がって、グレンさん!!」
「あ、ああ……ッ!」
「やああああっ!!」
メルの降り下ろした鋭い爪による一撃で、目の前の狼のような魔物は倒れた。
「……ありがとう、メル」
「いえ、あまり気にしないでください」
「…………」
やっぱり、俺の勘違いとかじゃ……無いよな。
最近、俺には気になっていることが二つあった。
というか、今のこの一瞬で二つともそれが確信に変わった。
「ん~……?」
冥が俺とメルを交互に見ては、「はは~ん?」と何かに気が付いたような顔をしていた。
そう……そうなのだ。
最近、俺はどうもメルに避けられているのだ。
俺との会話の時の口調も、前より少しだけ強くなっているような気もするし。
……まあそれは心を許した相手になれたから、かもしれないが。
それにしたって、目を合わせようとしたら思いっきり顔を背けられるし、必要のある時以外は基本的に俺から距離を取っているし。
クエストの話をしていた時はそんなこと全然感じなかったんだけどな……。
そして、もう一つ。
俺が、とてつもなく弱いという事。
二年以上、毎日毎日鍛えてきた。
それなのに、スキルがもらえる気配は一切無く、ステータスが伸びていることも確認できないままなのだ。
どうして……どうやったら皆みたいに強くなれるんだろう。
ここ数日は、ずっとそんな事ばかりを考えてきた。
しかし、その答えは見つからなかった。
「? どうかしたんですか、お兄ちゃん」
「……いや、ちょっと考え事をな」
「悩みですか? 悩みならわたしが聞いてあげますよ!」
冥に、相談……か。
メルはあの様子だし、確かに何かを得るためには自分からも動かないと……だよな。
冥と話して、何かが変わるきっかけにもなるかもしれないし!
「……じゃあ、一つだけ相談させてくれ」
「はい!」
「――冥、お前はどうしてそんなに強くなれたんだ? どうして、そんなに強く在れるんだ?」
次回は明日更新です~!
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