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最弱な俺が『最強』の美少女たちに姫扱いされる件  作者: テトラ
第二章 ≪共に生きる者≫
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#15.5 少女の過去

意外と第二章も大きな事件が無いので短くなりそうです。

高評価とブックマーク登録をお願いします。高評価は特に!!



 私は、とある王族の生まれだった。

 獣人族の支配する大陸『カティア大陸』の大国家、『獣王国ペイン』。


 その王家の一番娘として私は生まれてきた。



 小さい頃は、お父様もお母様も優しくて、私の憧れの人だった。

 王族だから、と厳しい英才教育を受けてきた私だけど、それも私のためを思っているのだと信じて、頑張った。


 その努力のお陰で、15歳になった頃には一通りの武道の心得も身に付いたし、剣術や対話術なども人並み以上にはできるようになっていた。



 しかし、その頃からだった。

 ――お父様と、お母様の様子がおかしくなったのは。



「あ、あらメル。おはよう。そ、それじゃあね」


 お母様は、露骨に私のことを避けるようになった。


「――煩い! 今は私に話しかけるな!」


 お父様は、やけに私や周りの使用人たちに攻撃的になった。



 二人とも、穏やかで優しい人だったのに。

 一体、何があったのだろう。そう思った私はこっそり二人に何があったのかを調べてみることにしたのだ。



「――ふふ、なんだか冒険してるみたいでワクワクするわ!」



 城の中を調べまわっていると、お父様とお母様を見つけた。

 場所は、客人を招き入れる部屋――応接室だった。


 誰かお客様でいらっしゃったのかしら。

 そう思って、こっそり中を覗いてみたのだが。



「――ハァ!? まだ金を返せねえってのか!?」

「は、はい……! 今は、まだ……」

「現在の我が国は、かなりの財政困難でして……」

「知ったこっちゃねえよ! ウチみたいな弱小国家からかなりの額を借りてんだろ!? なあ、それがどういうことか分かってんのかよ!?」

「す、すみません……」

「申し訳ありません、だろうがッ!」

「申し訳ございませんっ!」



 その光景を見た時。私の心臓はドクンドクンと煩いくらい鼓動していた。

 嘘だ……そう思うしかなかった。


 大陸で一番の大国家のウチが、お金を他国から借りないとやっていけないくらい貧窮していたなんて。



「――ああ、そうだ。お前んとこには娘がいたよなァ?」

「……お、おりますが……」

「――売り飛ばしちまえよ。性奴隷として」



 え……?



「そ、そんなこと出来る訳が――」

「――多分、あのレベルのガキなら、あんたらに今必要な額以上の稼ぎがあるだろうよ」

「……ッ」



 なに、嘘……だよね。

 私を、売り飛ばす? 性奴隷として……?



「貴方……相手にしちゃダメよ……」

「ババアは黙ってろ! 俺は今、アンタの旦那と話してんだ」

「……本当に、金はなんとかなるのか?」



 い……や……



「――へっ。ああ、何とかなるぜ。数日もありゃアンタの国は元通りさ」

「…………」

「ダメよアナタ! いくらなんでもそれは……!」

「――すまない……すまない……。今の私には、こうすることしか、できないんだ……」



 そう言って、お母様の静止を振り切ったお父様は、向かい側に座っていた男の手を取った。

 その瞬間、私の中で何かが途切れた。



「あァ? 何だ、今の物音は……って。へへっ…………」

「――め、メル……」

「いや……ダメよ貴方。考え直して頂戴……」

「うるせえなババア! もう決まったことなんだよ。いいから黙って娘が売られる様を見ておきな!」




 ――そこからの記憶は、私には一切ない。




 これは後から聞いた情報だが。

 どうやら私はその後、売り物の奴隷として人間族の国に輸送され、獣人族の王族である私の身体をめぐって醜い争いをしていたのだという。


 なかなか買い手が決まらないまま一年が経過し、私に対する警戒も薄れてきたころに好機は訪れた。

 私は奴隷商たちの隙を突いて、檻から力づくで脱獄し、遠くに見えたとある森まで逃げ込んだのだ。




 私は全てに絶望していた。



 私にはどうすることもできなかったこと。


 信じていた親に……お父様に簡単に捨てられてしまったこと。


 奴隷になった私を誰も助けようとしてくれなかったこと。


 人間たちが、私の身体ばかりを見てけだものみたいな顔をしていたこと。



 この世界は理不尽だ。

 結局、私みたいな子供にはどうすることもできないまま、周りに流されてしまう。


 何のために強くなったのかも、分からない。

 何のために、生きてきたのかすら思い出せない。



 もう、こんなまま生きるのは辞めにしよう。

 いっそのこと、死んで楽になった方がいいと思った。


 誰にも見つからない場所で、一人静かに死のうと……そう思っていたのに。




 人間たちは、私を逃がしてはくれなかった。

 人間たちの性の捌け口にされるくらいなら、一人で死ぬ方が何倍もマシだ。


 だから、私は必死に抵抗した。

 でも、弱っている私にとって人間の男というのは、とてもじゃないが叶いそうにも無くて。



 そんな時だった。

 一人の人間が、私を救ってくれたのだ。


 その人はこう言った。



「目の前で傷ついていく女の子を助けない理由がどこにあるんだ?」



 その言葉を聞いた瞬間。私は落ちてしまった。

 弱っている心に、その言葉とシチュエーションは、ずる過ぎたのだ。



 私は、ララメルト・ソフィーナ。

 今の私は、奴隷で、脱獄囚で、王族で――一ひとりの、恋に落ちた『女の子』だ。

第三章は、構成的に長くなる予定です。

まあそういう話は活動報告でしてますので、気になったら覗いてみてください。


次回は明日更新です!

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