#130 契約完了
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ノームと契約する事で、俺には仲間を守ることのできる力が手に入る。
少年のような可愛らしい声の神は確かにそう言った。
――自分が戦う必要は無いと。仲間が勝てるようなサポートをすればいいのだと。
そしてそれが出来るようになる力を、彼がくれると言ったのだ。
俺は強くならなくちゃいけない。
それは、大切な仲間たちの為。
それは、魔王が狙う十大武具たちの為。
それは、自分自身の為。
そう。俺は何としても強くならなくてはいけないのだ。
それは例え、神や悪魔に魂を売ってでも。
『神の子』という、『最高神』が選んだ神すらも凌駕できる力を持った人間。
そして、『烙印の子』という、『深淵神』が選んだあらゆる生物よりも弱くなってしまう人間。
この世界に来た瞬間から、俺の身体には矛盾が生まれていた。
誰よりも強くなれる可能性を持ちながら、誰よりも強くなることが出来ない……そんな矛盾を。
今分かっている事としては、その二つの性質は互いが互いを主張し合っている。
二つの効果が反発しあって打ち消されている様子はない。さらにそれぞれの効果の一部が出ていたり出ていなかったりと……そんな状態だ。
だから、俺には地道な努力と強くなれるチャンスを見逃さない力が求められていた。
『十大武具』に選ばれし者、っていう『力』はそんな俺にとっては好都合な力だった。
こんな俺でも、強くなれる可能性を秘めた力だったからだ。
そして、今。
こうして再びチャンスはめぐってきた。
『それじゃあ――ぼくと、けいやくしようか!』
最高神や深淵神みたいな、恐らく最上位である神の一つ下の位の神。
カグラたちは『四霊神』と呼んでいたが、そんな上位の神との契約が結ばれるのだ。
大地と防御を司る神、地霊神ノーム。
曰く、ノームと契約すれば味方をサポートできる力が使えるようになるらしい。
「ああ、よろしく頼む――」
俺は何かをされるのかと身構えたが……。
『はいっ、契約は終わり、だよ!』
「もう、いいのか……?」
ちょっと体が光っただけだが、それで契約が終わったらしい。
という事は、これで俺には仲間を守ることのできる力が――
『――これで、少年……じゃなくて、紅蓮! 君はこのぼく、地霊神ノームの眷属となったからその恩恵をたくさん受けられるはずだよ!』
「恩恵を……? でも、俺には烙印が……」
『大丈夫だよ! どうやら今の君には、神と適合するっていう最高神様の力と成長が遅くて弱くなるっていう深淵神様の効果がそれぞれ出てるはずだから……』
……そうか、そういえばそうだった。
という事は、俺自身による地道な努力では得られるものは少なくても、こういった神との契約みたいなイレギュラーでなら成長できるという事か!
つまり、神様とたくさん契約すれば俺は――
『――まあ、そうすれば確かに君は間違いなく最強になれるね。でも、やめておいた方がいいよ』
「え、も、もしかして俺の思考を……?」
『うん。契約したおかげで君の考えはぼくにも伝わってくるよ!』
マジか。それじゃあめっちゃ恥ずかしい事とか考えてたらそれもバレるって事か。
『そういうことだね!』
「俺の思考と会話するな! って、それよりもやめておいた方がいいって……どういう事なんだ?」
『ああ、それなんだけど……えっとね。それについては、ぼく個人の嫉妬……みたいなものかな?』
嫉妬……?
『きっとこれからも君は神様とたくさん出会うことになる。この世界にも、あらゆる名や力を冠した神がいるからね』
あれか、八百万の神か。
『うん。それで、その中にはぼくと同じ『四霊神』って呼ばれる神があと三人いるんだけど……』
ノーム、ってことは残りはサラマンダーにウンディーネ、あとはシルフってとこか。
炎に水、風に土――これならよくある四体の神だ。
『そうだね……その通りだよ。ぼくはね、サラマンダーたちが嫌いなんだ。ただそれだけだけど、だからぼくはあんまり神たちと契約はしてほしくない、かな』
随分と可愛らしい理由だった。
仲がよくないから、って……まあ確かに嫌だよな。
それなら無理に契約をする必要もないか。ってかそもそも会える前提で話してるけど、神様ってそんなポンポン出てくる物なのか??
『うん。さっきも言ったけど、本当にたくさんの神様がいるよ。まあ、そこの龍神と死神はその中でも位はかなり高い神様だけどね』
「え、そうなの?」
「おい……」
「我らのことを何だと思っていたのだ……」
さっきノームにコテンパンにされてたから、実はそんなに強い神様じゃないのかな、なんて思ってしまったのは黙っておこう。
次回は明日更新です!




