#112 戦いが終わって
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「――ぶちのめしてきたぞ!」
そう言って、目の前のイケメンはさっきまで俺が相手をしていた一人の魔人を差し出してきた。
死んだ魚のように止まって動かなくなったそれ――ゲレスを見て俺は、
「殺してないよな……?」
と聞いたのだが、
「……生きてるかどうかは、分からん」
と、不安になる答えが返ってきた。
「――紅蓮さん! こっちは何とかなりましたよ!」
「その御方のお陰で、里のモンにかけられてた洗脳の力も解除されたようだ」
洗脳された変異魔族たちの相手をしていた榊原さんとミュータントの長老ゼナさんも無事に方が付いたみたいでこちらにやってきた。
そして、やはり二人の視線は俺ではなく俺の隣にいるこの大男イケメンに移り……
「そちらの方は……?」
「アタシの予想が間違ってなければ、その方は『十大武具』の……」
「――そーなのだ。そいつはさっきの斧野郎なのだ」
二人の疑問に答えながら、捕らわれていたはずの桜花がやってきた。
「桜花! 大丈夫だったか!」
「うんっ! 大丈夫なのだ! 心配してくれてありがとうなのだ!」
どうやらゲレスを【黒斧】のノワールが倒してくれたお陰で、奴が仕組んでいた全てが崩れ去ったようだった。
ミュータント達の洗脳然り、魔道具『封印の棺』とやらの効果も解け、全てが丸く収まった訳だ。
何て思っていたのだが。
「そんな事よりも……お前、さっきからその真っ黒いオーラが漏れてて臭いのだ」
「臭いだと……? このチビは一体何なんだ? うぜえ光撒き散らしやがってよ」
「あ、えっと……こっちは【聖剣】の桜花で、こっちは【黒斧】のノワールだ」
二人の間に何か良くない因縁を感じたので、すぐに割って入って俺が仲裁しようとしたのだが……それが良くなかった。
「――ぐれん! 無駄なのだ。コイツと……ついでにあの女どもと仲良くする気なんて一切無いからな!」
「んだとこのチビ! 俺だってオメエみたいなうるせえ女とは仲良くする気なんて無ェよバーカ!」
「バカって言ったのだ!? お前たちは私たちに負けたクソ雑魚なのだ! それも分からないようならもう一回寝てればいいのだ!」
「負けただと!? あんまし昔の事は覚えてないけど、所詮昔は昔だ! 何なら今戦って格の違いってのを思い知らせてやってもいいんだぜ!?」
「望むところなのだ! 光に闇は勝てないってことを思い知らせてやるのだ!」
やはり二人の間には因縁があったらしく、王かは明確な敵意をノワールにぶつけ、それにノワールも反抗して喧嘩が白熱していった。
さらに、桜花の発言から何故かルリとルナにも飛び火したらしく……
『私たちだって貴女のことは気に食わないわよ!』
『そうだよ! おにーさん独占しちゃってさ! ずるいずるい!』
「ぐれんは私の物なのだ! だから事実を言ったまでなのだ~!」
「コイツは紅蓮っていうのか! クハハ! 紅蓮よ、お前は俺を目覚めさせてくれた! だから気に入ったぞ!」
「うわわ! い、いきなり抱き着くなって!」
ノワールがいきなり俺のことを後ろからバンバン叩いてきたと思ったら、すぐに抱き着いて高笑いしてきた。
抱き着かれて分かったが、コイツ……かなりいい体をしている。めっちゃ筋肉の感じがすごくて……
「あ~~~! 私のぐれんに触るな、なのだ!!! 汚らわしいからどっか行け~~~!」
「クハハ! これからはもう貴様だけのものではない! 残念だったなチビ!」
「チビじゃないのだ~!!」
ぴょんぴょんと跳ねながら怒っている桜花えお、ノワールは上からポンポンと桜花の頭を叩きながら笑っていた。
その光景は、まるで子供と戯れるお父さんみたいな……。
『フン……相容れぬ存在と家族のような戯れをするなど……馬鹿らしい』
と思ったら彼岸も同じことを想ったようで、しかも声に出して言ってしまっていた。
もちろんそれが桜花たちの耳に届かないはずもなく……
「彼岸だったか! お前今なんて言ったのだ!? もしかして私のことを馬鹿にしたのだ!?」
『事実を言ったまでだ……。さあ、少年。この者達は無視して、私と特訓しようじゃないか!』
「特訓だと!? それならば俺も付き合おう! 紅蓮、お前を強くしてやる!」
『貴様は不要だ。才能のある者が才能無き者に教えることなど何もないからな』
……ちょっと彼岸さん。今さりげなく俺の事ディスりましたね?
……俺だって、頑張ってるのに。うう……ぐすん。
『にゃはは~! 今おにーさん、『この人俺のことバカにしてる』とか思ってたんじゃない~?』
『それで結構気にしちゃったんでしょ? 可愛いご主人様……ふふっ』
『メンタルよわよわなおにーさんかわいい~~~』
……なんだかカオスなことになってきた。
ルリとルナは俺のことをおもちゃみたいに扱ってくるし、彼岸は無自覚に俺のことを精神攻撃してくるし。
ノワールは知り合ったばかりなのに煩いし距離が近いし……桜花はなんか皆にやたらと喧嘩腰だし。
『十大武具』が仲間になってくれることは喜ばしい事なんだが……
「……紅蓮さん、なんだか大変ですね……」
「そう、ですね……」
榊原さんのその一言と、憐れむような視線が妙に痛かった。
次回は明日更新です!
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