#107 洗脳支配
高評価とブックマークをよろしくお願いします!
「――こっちです!」
こっちまで助けを呼びに来たミュータントの男性に案内されて、俺と桜花はミュータント達の住まう集落までやって来ていた。
ダイスさんや榊原さんたちは、もしもの時のために里に残って、避難や防衛の準備を進めてもらっている。
もし……俺が魔王軍四天王のゲレスとかいう奴に負けてしまった場合のことも想定して……な。
「ぬうう……ッ!」
「おやおや、大丈夫ですかご老人! このままではアナタだけでなくこの里の皆さんも全員死んでしまいますよ?」
「黙りな! このクソ魔族が!」
里の奥の方まで向かうと、そこでは一人の大き目な斧を持った老婆と紫色の髪を持った高身長の魔人が戦っているようだった。
老婆の方は、ところどころ魔物のような特徴が見られるので恐らくミュータントの長老だというゼナという方だろう。
「ゼナ様!」
「ああん! お前は……」
「ゼナ様! 今は私のことなどどうでもよいのです! それよりも援軍を呼んで参りました!」
「援軍だァ!? 人間が一人しか居ないじゃ――って、まさかその人間は!」
どうやら、向こうも俺のことを知っているらしい。
それなら話は早い。
「ゼナさん……でいいですかね。詳しい話はあとでお願いします。今はコイツをどうにかしましょう」
「……ああ、分かったよ。ったく、ポッと出の人間に指示されるたァここの長老として情けない話だが、アタシじゃどうにも太刀打ちできなくてねぇ」
「クフフ……ノコノコと出てきましたね、人間――いや、ヒカミグレン!」
……俺はこの世界じゃもう有名人なのだろうか。
初対面のはずのゲレスにまで知られているのだからな……。
「お前がゲレス、か?」
「クフ……ええ、そうですよ。私が魔王軍四天王が一人。序列にして三位のゲレスと申します。以後お見知りおきを」
「誰がアンタの名前なんか覚えるかってんだ馬鹿野郎が!」
おおう……ゼナさん。貴女なかなかクレイジーというかファンキーというか、ダイスさんと同じく豪快な人ですね……。
「やはり……アナタはムカつく人ですね。……今私はそこの人間と話をしているのですよ」
「ハッ! 話なら里の連中の洗脳を解いてからゆっくりすればいいじゃないか!」
「そんな事する訳ないじゃないですか! 私は自分の手を汚したくないんですよ……だからこうするんですッ!」
そう叫んで、ゲレスは持っていた杖を俺たちの方に向けた。
いや、性格には俺たちに向けた訳では無かった。
「――あ……あ……うぅ……?」
俺たちの目の前にいた、俺たちをさっきまでこの場所に案内してくれたミュータントの男の人が体をプルプルと震わせていたのだ。
「まさかアンタ……コイツに洗脳を――」
「――まずはそこの煩い老人を殺しなさい」
ゲレスは、そう命令を下した。すると――
「うああッ!」
「ゼナさん!」
ゲレスに洗脳されたミュータントがゼナさんをタコの腕で殴ったのだ。
その反動で、ゼナさんは持っていた斧を落としてしまう。
「――それを拾いなさい」
ゲレスは再び命令を下す。
ミュータントはその命令に従って、ゼナさんが落とした斧を人間の腕で拾った。
――その瞬間の事だった。
「……う、あ……うあアアアアアアアアッ……!!」
突如、斧から黒き稲妻が発生して、周囲を巻き込みながら爆発したのだ。
しかし、それも少しすると収まったようで、ミュータントは斧を構えると、俺の方を向いた。
「――そのままその人間を殺しなさい」
……来るか!
「桜花! 構えておけ!」
「分かったのだ!」
桜花はどこからか光で出来た剣を取り出すと、それを構えた。
俺はひとまず【魔双剣】のルリとルナを両手に構えて、ミュータントに立ち向かった。
まずはこの人を気絶させるところから……と、そう思っていたのだが。
「――う、が……アアアアアアアアアアッ!!!!!」
唸り声をあげて、男はゲレスの方へと斧を振りかぶって襲い掛かったのだ。
「……何を、しているのですかッ!」
ゲレスの声に、ミュータントの男は反応して一瞬だけ止まった。
が、直後に先程の黒い稲妻のような閃光が巻き起こって、再び男はゲレスに襲い掛かった。
「……『支配』が効かない……? まさか、これが『十大武具』の力だというのですか……?」
斧を大きく振りかぶって、男はゲレスの頭めがけて斧を振り下ろした。
「――ああ、汚らわしい。そんな身体で私の近くに来ないでくださいよ」
そう、言って。
杖の下側……尖った先端を男の心臓めがけて、突き刺したのだ。
明日、明後日はお休みになります!次回は日曜日に更新です!
高評価↓↓↓




