#101 新たな姿
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「お前……桜花、なのか?」
俺は目の前にいる金髪美少女にそう尋ねた。もう眠気なんて消えてなくなっていた。
「うむ! ワタシ……私は桜花なのだ!」
「え、え……マジで桜花なのか……? 一体、何がどうなって……」
桜花がまた目覚めてくれたことは嬉しい。嬉しいのだが……俺には一体何が何やら、頭が混乱していた。
だって、目が覚めたら目の前に金髪美少女になった桜花が居たんだぞ?? あの桜花だぞ!?
なんで急に人になってるのとか、なんでそんな姿なのとか、聞きたいことはたくさんある。
ああもう、今日は一体何なんだ! 色々なことが起こり過ぎだろうが!
「……? ぐれん、怒ってるのだ?」
「い、いや……別に桜花の事じゃないよ。今日は本当に色々なことがあったからさ……」
「確かに……休みながらも声だけは聴いていたが、本当にすごい事になってしまったのだ……」
「まさか桜花と出会ったときはこんなことになるなんて思いもしなかったよ」
「それはこっちのセリフなのだ!」
俺たちは、そう言い合ってふふっと微かに笑った。
…………って、なんで俺はさも当然かのようにこの状況を受け入れてんだ!?
「それにしても、桜花! その姿になってるのはどういう事なのか、説明してくれよ!」
「あはは、そうだったのだ。すっかり忘れてたのだ~」
「忘れるな!!!」
俺は桜花にツッコミながらも、今一度冷静になって彼女の姿を確認してみた。
見た目は完全に10代前半の子供といった感じ。服装は黒を基調としたゴスロリっぽいドレス?ワンピース?で、見た目はとてもお人形さんみたいだった。
髪は背中辺りまで伸びたとても綺麗な金髪で、瞳は青く輝いていた。腰には彼女の身体に見合った大きさの剣も携えられていた。
一言で言うならば、まさしく美少女。それに尽きる容姿だった。
一体どこで何をどうすれば、あの剣だった桜花がこんな美少女に進化を遂げるというのだろうか。
「私がこの姿になれた理由はな…………」
「理由は…………?」
何だ、すごい溜めるな。これは、何か大きな秘密が――
「――正直、私にも分からないのだ!」
「は?」
は?
「ぐれんを守りたい。ぐれんの大切な存在になりたい。って、眠っている間にずっと考えてたのだ。そしたら、突然目の前に光が起こって……」
「光…………?」
「そうなのだ。そして、気が付いたらこの姿になれるようになっていたのだ」
「それって、いつ頃の話だ?」
「ぐれんが魔王と戦った後のことなのだ」
そうか……眠っている時って言ってたしな。
「後はいつこの事を紅蓮に伝えようか迷っていたのだ。紅蓮と二人っきりになれるタイミングが欲しかったから……」
「この事は他の人には伝え無い方がいい感じか……?」
「いや、別にいいのだ! ただ、私が最初に紅蓮に見てほしかったってだけなのだ!」
「そ、そうか……」
う、笑顔がとても眩しい。というか可愛い。
ダメだダメだ! 俺は今、メルとモネ、そして冥という美少女たちから好意を伝えられて、答えにァ寄っている途中なんだから、他の子に……しかも桜花なんかに目移りしてちゃダメだ!
「あ、そうなのだ」
「ん? どうかしたのか?」
「あと二つお前にいう事があるのだ」
「二つ?」
「ああ、一つはこれから私は自分の思うがままの姿で過ごすことにしたのだ!」
あ、そういう感じなのか。
剣の姿と人の姿。それぞれ自由に行き来できる感じなんだな。
「分かった。俺から強制することはしないよ」
彼女が剣になっていなくても、別に困りはしないしな。
そう思って、俺はベッドの横に置いていた【魔双剣】を手に取りながら考えた。
「む……」
「……? どうした? 桜花」
「二つ目は、そいつらについての事なのだ」
「そいつらって……これか?」
俺は魔双剣を見ながら言った。
「うむ……そいつら、どうやらぐれんの事を狙ってるみたいだからな…………警戒した方がいいのだ」
「え……? 俺のことを、狙ってる……?」
え、どうしていきなりそういう話になるんだ?
まるでこの魔双剣と会話してそのことを知ったみたいな口ぶりだけど……。
「だーかーら! そいつらは、卑しい悪魔たちなのだ!! ぐれん、くれぐれも気をつけるのだ!!」
卑しい、悪魔。
……うーん……確かに『魔武具』には悪魔が宿っているとは書いてあったが、話してみない事には分からないよな…………。
伝承では、世界を滅ぼそうとした災厄級の悪魔である、みたいに書いてあったけど、前に若干感じたこの剣の悪魔はそんな感じではなかった気がするんだよな。
「なあ、桜花。一回、こいつらと話してみてもいいか?」
「はああああああああっ!? ぐれん、馬鹿なのだ!? そいつらは伝説の悪魔たちなのだぞ!?」
「でも……俺は、自分の直感を信じたいんだ。こいつらは、きっとそんなに悪い奴じゃない」
次回は明日更新です!
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