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最弱な俺が『最強』の美少女たちに姫扱いされる件  作者: テトラ
第九章 ≪禍つ魔の災厄≫
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#92 魔王と死神

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「ワタシ、は――――ッ!」

「ああ、そうだ。面白いことに、貴様ら全員に用事があるのだったな」


 そう言って、紅蓮シニガミは地面に足を付けて、自らの足で歩き始めた。


「まずは女――影咲奏、と言ったか。お前は、紅蓮あるじにとって大切な存在らしいからな。一緒に来てもらうぞ」

「たい、せつ……な? ワタシ、が……アアアアアアアアッ!!」


 死神の言葉に反応して、影咲奏は自らの力を暴走させてしまった。

 彼女の背中から、溢れ出る『影』の魔力が龍の形を何体も形成していく。


 それは、まるで神話の『ヤマタノオロチ』を彷彿とさせるような姿だった。


「影の、龍か。面白い――だが、我には届かない」

「――離れろ、カナデッ!」


 死神が鎌を振り上げたその瞬間、影咲の身体は魔王アレンによって後ろへと引き寄せられていた。


「魔王、か。貴様にも用があってな――」

「大方、聖剣と魔双剣を返せと言うのだろう?」

「その通りだ。話が早くて助かる……さあ、早く隠している物を出せ」

「残念だが……それは出来ないなッ!」


 魔王は、言葉を言い終える瞬間に闇の魔法による攻撃を仕掛けた。

 完全なる不意打ち。普通の人間が相手であれば、その魔法攻撃のスピードに対処することなど不可能に近いだろう。


 だが、今魔王が相手をしているのは――。


「我には、効かぬ」

「魔法は当たった……それなのに、傷一つついていないだと……ッ!」

「――次は我の番だ。『縛鎖』」


 魔王の魔法を受けた直後、死神は自身の周囲に浮かんでいた鎖を射出させた。


「その程度であれば――ッ!」

「防げると思ったか?」

「いつの間にこの距離を……ッ!?」


 鎖に気を取られた一瞬の隙に、死神は魔王アレンのすぐ隣まで詰め寄ってきていた。

 そして――


「見つけた――」

「しま……ッ!」


 魔王アレンが背中に隠し持っていた三本の剣を、死神は一瞬の内に全て抜き去ると何処かへ放り投げてしまったのだ。


「後は全員捕らえて、連れて帰るだけだ……が……? 何だこの感じは……?」

「クソッ……ここは、仕方がないかッ!」


 死神が何かに気を取られた一瞬の隙。魔王アレンは、その隙を突いて死神から高速で離れた。

 そして、悠と影咲の両名を回収すると。


「悪いがここは一度撤退を――」

「……逃がすか。『死幻ノ――』」


「次は、私の方が速いッ! ――さらばだッ!」


 そう、残して。魔王たちは、瞬く間に消えてしまった。


「転移、か……。まあ、仕方がない」


 黒き空間に一人佇む死神。彼は、後ろで守っていた者達の様子を見に行こうとしたが。


「……人の、気配。なんだ? 肉体が、拒否反応を示している……?」


 紅蓮の身体は。魂は。その、近づいてくる人の気配に気が付いていた。

 そして、死神の力も相まってかその正体すらも、何となく感じ取っていたのだ。


 だからこそ、死神は選択した。


「今は、貴様の願いを叶えることに集中しよう。それが、いつか我の完全復活に繋がるのだからな」


 この場から、離れることを。


「……家族、仲間。大切な存在との別れは悲しいか」


 今は、死神が支配しているが。この身体は、魂は紛れもなく紅蓮の物だった。

 だからこそ、大切な人たちとの別れは辛かった。それを、感じ取って身体が震えていたのだ。


「だが、顔を合わせたくない者達が大勢来る。だから、離れるのだ」


 それはまるで、紅蓮の心の内を代弁するかのように。死神は呟いた。


「……光の、届かない場所へ――」


 死神は、そう言い残して。

 その場を離れた。


 そして、死神のいなくなったその空間は。


 ――光が差し込み、それが長いようで短かった悪夢の終わりを告げたのだった。

次回は明日更新!

うぇい

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