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あそこに連れて行ってくれる?

そして、彼女は誰と話していたのでしょうか?


 あの時、無事に生きて帰ってこれたのはまさに運命と奇跡というより他はなかった。


 そして何より、その時の私にもたらされた最大の奇跡は、フローラという妹が生み出されたということにほかならなかった。

 消防庁の依頼により企画され開発された彼女は、私と言うアンドロイドアーキテクチャの発展的継承という形で生み出された存在であり、空の領域での人命救助と言う未だ未完成な重要案件を担うために求められて生み出された存在だった。

 彼女は正式ロールアウト前と言う非常に困難な状況下でありながらも、最悪の作戦区域へと到達し、完全に退路を断たれた私の救出と言う困難極まる任務を見事に達成して見せたのだ。


――特攻装警F 型応用機第1号機・個体名「フローラ」――


 私は彼女と姉妹だった。

 でもまた家族のあり方。

 生まれをしたばかりの妹に救い出され、共に力を合わせながら強敵を完璧なまでに排除することに成功したのだ。こんなに喜ばしいことはないよね。

 あ、でも――

 そうすると私は〝姉〟ということになるんだよね。

 私がお姉ちゃん? なんかまだ実感わかないなあ。でも、フローラが私を救おうとして差し伸べてくれた手の暖かさは今でも覚えている。

 警察である私の手が〝人々を守ること〟が存在意義があるのなら、

 消防のレスキューである彼女の手が〝人々を救うこと〟が存在意義なのだ。

 私たちはあの日の夜、ともに手を携えながら我が家へと帰っていく。

 命あること――

 私はアンドロイドの身の上ながら、そのことの価値とありがたさをその時ほど心から噛み締めたことはなかった。


 それでもまぁ、正直言うとさ。無理に無理を重ねまくったのは事実で、実家にたどり着く前に意識が飛んじゃってフローラは思い切り半べそをかきながら私を母さん(あ、母さんって布平さんたちのことね)たちのところまで運んで行ってくれたらしい。

 そして何度も〝死にかける〟ようなことが起きていた。でもその間のことは意識を無くし、文字通り瀕死だった私には自覚することはできなかったのだけど。

 もう一方で私は、奇妙とも言える体験をすることになった。

 そのことについてはあまり公にできない、と言うよりも話しても信じてもらえないような不思議で神秘的な体験を私はしていた。

 そしてその中で意外な人たちとの再会をしていたのだけど、でもまあそれはここでは内緒にしておくね?

 そして目が覚めた時には私は生まれ変わっていたの。

 プラスチックの地肌じゃない、生身の人間と変わらない肌色の皮膚――、継ぎ目のない体。そしてそれは〝完全リアルタイプ〟と言う、リアルタイプヒューマノイドの理想型を求めた姿だったの。

 世界最高の技術を集めて作り上げられた私の新しい体――

 今では誰がどう見ても私はアンドロイドと思わないよね。ね?! そう思うでしょ?

 ほらほらこれなんかどう? まるっきり人間そのものでしょ?

 えっ? 何? なんでそんなに顔を赤くしてるの?

 なによ? ちょっと私の胸を確かめてもらっただけじゃない。それに服の上から。

 え? 普通の女の子はそんなことしないって?

 いいじゃないそれくらい! 私がどれくらい生まれ変わったかしっかり確かめてもらいたいじゃない。

 ふふっ、わかってるよ。あなたが感じているその理由。

 ありがとう。私を機械じゃなくて、一人の女の子として認めてくれて。

 だから今日もこうやってデートに誘ってくれたんでしょ?

 私ずっと夢だったの。任務を忘れて、生身の人間の人たちと同じように誰かと二人で寄り添って歩くことが。

 それがあなたで本当に良かった。

 それじゃ次はどこ行く?

 そうだあそこに行きたかったの!

 えっと、水族館!

 え? いいの? ほんと? やった!

 うれしい! じゃあ早く行こう! 時間がもったいないから。

 私たちには、ゆっくり休める時間もたくさんないんだから。

 私たちには待っている人がいる。それは分かっているよ。

 でも今だけは誰にも邪魔されない休息の時間。


 私の名はフィール――

 日本の警察が生み出したアンドロイド警察官の中の一人――


 そして、一人の女の子――

 それだけは覚えておいてね。


さて、以上でヴァルキュリア終了です

フィールにまつわるシーンと、彼女のモノローグで語られる本作品

ここから先は本編にて楽しんでください


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