目が醒める
アレスが無事だった事は、ハンター達の間でそれなりに広まった。
何せギルドが、ケチで有名なあのギルドが銅貨一枚のトクにもならない事のために、人を集めて捜索したからだ。
まあ、治療費や宿代はキッチリとアレスから徴収したが、アレスにとってそんな事は命が助かった代償としては、破格の安値だろう。
そして、アレスに記憶が無いということも、ハンター達には同時に広まった。
それを聞きつけたブレン達が、アレスの下にやってくる。
♦︎♢
「無事で良かったな」
俺にそう言葉をかけている男。
場所はギルドの建物内にある食堂。
名をブレンと言うらしいが、はっきり言って胡散臭い事この上ない。
俺とハンターパーティーを組んでいたらしいが、ハンターってなんだ? いや意味は理解しているが。
俺がハンター?
だいたいこんな胡散臭い奴と組む?
以前の俺は馬鹿か?
こいつ典型的な自己中じゃないか。
自分のために世界が存在してると思ってる、自意識過剰野郎だろコイツ。
俺の記憶が無いと聞いてるんだろうけど、こいつらに殺されそうになったことだけは、コイツに会った瞬間ハッキリ思い出した。
殺そうとした癖にもう一度組む? いけしゃあしゃあとよく言えるもんだな。
その両脇にいる女からは、ビッチ臭がプンプンするし、どこか俺を見下した眼をしてやがる。
以前の俺は乳のデカいほうの女を好きだったようだが、あんな乳、数年も経てば垂れるの確定だぞ。しっかりしろよ俺!
「怪我はしていないんだろう? リックは逃げる時に怪我をして暫く動けないから、四人で稼いでリックの治療代を稼ごうぜ」
目の前の男、ブレンとか言う名のカスがそう言うのだが、は? 俺を殺そうした奴の一人が怪我したからって、何故殺そうとした奴らと一緒に俺が治療費をかぜがなきゃならんのだ。
正気かこいつ。
ここに居ない、怪我をしているというもう一人の男も、この三人を見る限り、クズなのが知れてるだろうしな……まあ、おぼろげな記憶でもリックとやらは、ろくでなしのちゃらんぽらんって記憶だしな。
「リックが誰か知らないが、君達と組むのは遠慮する」
そう宣言してやると、
「あ? アレスの癖に口ごたえすんなよ!」
睨むブレンと、
「アンタに断る権利なんか無いのよ!」
高飛車なエイミーに、
「黙って言う事を聞けばいい」
蔑んだ眼を向けるティファ。
はい決定。
コイツらはもう仲間でも無ければ、改心もしていない。
俺を利用したいだけだ。
「話は以上か? なら帰れ」
もうコイツらに丁寧に話す必要すら感じない。
「てめぇ、俺たち以外にお前と組んでくれる奴なんか居ねえんだぞ! 攻撃力の無い風魔法でスピードを上げるしか能の無いハンターなんか、魔物を駆除するのに必要とされてねぇからな!」
ブレンのやつが偉そうに言うが、お前達と組むなんて死んでもお断りだな。
「一人でやる」
「はっ! それこそてめぇには無理だよ! ゴブラインを一撃で真っ二つに出来ないような奴、すぐに死ぬだけだ!」
ゴブラインじゃなくてお前らに殺されかけたけどな!
「お前達には関係ないだろう? 俺が死んで困る事でもあるのか?」
せいぜい囮役が居なくなって、仕事が増えるぐらいだろがな。
「ふん! その辺で野垂れ死にやがれ! おい行くぞ」
カスどもが席を立って出ていった。いい気味だぜ。
「アレス君、良いの? 説明したけどあの子達、貴方と同郷なのよ?」
受付嬢だというアンナさんが、俺にそう言ってくれるが、本当に同郷なのかもあやしいが、そんな事はどうでもいい。
「同郷だろうがなんだろうが、今の私にはあの人達は信用出来ないので」
「それでもあんな言い方したら、後々嫌がらせされるかもよ?」
「やられたらやり返すだけですから」
やられたらやり返す。
それだけだ!




