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The girl takes another bullet


 状況もわからないまま、私は紫の靄(パープルヘイズ)に飲み込まれる。

 時折ぱちぱちと爆ぜているのは、暴走しかけた魔力の奔流(マナ・フレア)

 誰が組んだか知らないが、ずいぶんと不安定な術式だ。

 足元に気を付けながら進む。まるで雲を踏んでいるように、ふわふわとした頼りない感覚


 どれほど進んだだろうか。遠くに、光で満ちた(ゲート)が見えた。

 時間の感覚も、距離の感覚もなかった。

 立ち止まって見回すが、それ以外に道らしきものはない。


「やれやれだな」

 ため息交じりにつぶやき、歩き出す。


 身を包む光と、浮遊感――。


 次に私が立っていたのは、山の中にある広い畑の中だった。

 畑と言っても、”元”だと思う。長いことほっておかれたようで、草は伸び、荒れていた。使っていた形跡はない。


「ずいぶん暑いな」

 季節は夏なのだろうか。じりじりと肌を焼く日差しに、緑の木々。魔素(マナ)は恐ろしく薄い。どうやらここは、元の世界からは遠く離れたところらしい。

 はっと気づいて後ろを振り向くと、すでに靄はかき消えつつあった。

 しまった、これでは戻れなくなる。 ――戻る? いったいどこへ?



 上空で、があがあとやかましい声がする。

 見上げるとそこには、巨大な深紅のドラゴンが飛んでいた。

 ごうという風の音。畑に落ちる黒い影。

 ドラゴンは空で何かを探しているかのように、大きく円をかいて旋回していた。


 心の奥に火がともる。

 あれは私の獲物だ。私はあれを狩りに来たのだ。

 頭の中で確認する。私が上で、あいつが下だと。


 すっと天にむけて右手を突き出し、唱える。

電撃(ライトニング)≫と。


 白い稲妻が、地から天へと上る。

 腹の底に響く雷鳴(サンダークラップ)を息を止めて耐える。足を少しひらき、ふらつく頭を押さえる。

 ドラゴンが広げている翼から、幾筋かの白煙が見えた。バランスを崩し、傾きながら落ちてくる。

 必死で引力に抵抗しようとするのだが、その羽ばたきは落下速度をわずかに鈍らせただけで終わる。


 ドラゴンは落ちながらも、強く私を睨みつけた。どうやらやる気のようだ。

 大きく咢を開き、汚らしい火球を吐き出す。

 私はかわしつつも二発目の≪電撃(ライトニング)≫を打つ。

 細く頼りない電撃。魔力不足もあるだろうが、それよりもマナが薄いのがきつい。


 ドラゴンはほとんど落ちるように滑空しながら、何度も火炎(ブレス)を吐いた。

 かわしながら電撃(ライトニング)で応酬するが、どれほどの効果があったことか。

 私はとっさに腰に下げていたカタナ、モモフクを抜き、突っ込んでくるドラゴンを受け止めた。


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