No matter what you say
兵士たちがガーゴイルと戦っていた。
俺は襲われた兵士の横から、ガーゴイルに切りかかる。兵士をかばい、剣でガーゴイルの突進を受け止める。
「逃げろ。奴らの鉤爪は鋭い、剣が折れるので逃げるべき」
兵士の忠告。この世界に住むガーゴイルは、栄養をたくさん持っているように見える。
盛り上がった筋肉はいびつな形。そして指摘の通り、太く鋭い鉤爪。
奴らの皮膚は群青の鱗。まるで大蛇のようだ。しかし不釣り合いな顔の小ささは、我々を困惑の波に飲まれる。
その場にいた数匹のガーゴイルをにらみ、俺は戦った。
「ふむ、大丈夫だ。これくらいなら十分さばくことができる」
「任せてもいいのか? 限界だ、我々の体力は」
「ええ、下がって休んでいてください。引き受けます」
返事はレイチェルがした。彼女は、すぐに後ろの三人娘に指示を出した。
並んで、手を前に突き出し、呪文を唱える。呪文は簡単なものが良い。
失敗は問題にはならない。今、彼女たちの体には魔力がたくさん満ちている。しかし形が必要だ。
きっかけがあれば良い。それで、彼女たちの術は発生する。
「イメージです。荒れ狂う炎が、敵に向かう。火球がぶつかる。または、砕ける氷塊。それらを言葉にしてください」
「「「はいっ!」」」
三人は思ったより素直な様子だった。
循環する魔力が、自信を与えたのだろうか。
最初に、タイナマは唱えた。
「≪溶岩の槌≫っっ!!」
赤熱した岩石が、ガーゴイルの頭上にあった。突然現れたそれは、一気に落ちた。
ガーゴイルは避けることはできない。ひどい姿勢で地面に押し付けられ、そのまま頭から燃えていく。
「す、すごい……」
驚くキペッゼに、レイチェルは言った。励ましているように。
「あなたもできます。自信をもって。さ、手を前に出し、集中するのです」
ガーゴイルはギイギイと鳴き、こちらを見た。身を低くして、走り出す。
「恐れるな、俺が守ってやる。さあ、術を使え」
「は、はい。 むむむ、≪氷雪の槍≫!!」
キペッゼの前に氷柱が並ぶ。しかし、ガーゴイルはこれを見ている。当然な、避けようとする。
「イングウェイさん!」
レイチェルも俺に声をかける。俺は何をすべきかわかっている。
「任せておけ。ふん、逃がすか」
俺はフェイントをかけて、ガーゴイルの脚部を切りつける。ぎゃっとうめき声が聞こえ、奴の動きを止めることに成功する。
次の瞬間、抱きかかえるような姿勢を保ったガーゴイルが、俺の横を通った。
氷塊が、ガーゴイルの胸に刺さっていた。すごい勢いで二本だ。すでに息絶えているだろう。
タペルツ、三人目は驚嘆した。
「すごい、これ、本当にあなたたちがやったんですの?」
「ええ、そうです。タペルツさん、あなたも同じことができますが、決心がまだできていません」
「で、でもですの」
タペルツは戸惑う。何をするとよいかが、わからないようだ。
俺はその様子に、あのころのキャスリーを見た。
「いいさ、ゆっくりいこう。肉体的に戦えるようになったからって、気持ちがすぐについてくるわけじゃない。戦いは怖いものさ。俺もはじめはそうだった」
タペルツの頭を叩いた。優しくポンポンとした。
「あ、ありがとう、ですの……」
タペルツの顔は紅潮しているように見えた。
「まったく、イングウェイさんは甘すぎますよ」
レイチェルはそういったが、怒っているわけではなかった。
敵はまだ残っている。気を抜くのはいけない。




