第二章☆手折らば手折れ、思出ぐさに
「あっ、そういえば…」
竜也はそう言って、ひとけのない方へ、ない方へすたすた歩いていった。
「?」
砂姫は疑問を持つ間もなくついていった。
冷たいコンクリートの壁に砂姫の身体を押し付けて、不意に竜也はキスをした。
「!!!」
がりっ。
「ってえ」
竜也の唇の端から血が出ていた。
「これだから、この時代の男はっ!!!」
砂姫の全身から怒りのオーラが立ちのぼっていた。
「おーいて。ちょっとくらいいいだろ?」
竜也は悪びれず言った。
「私はっ!明治時代がホームなのよっ」
「げっ!」
貞操観念が全く違うのか?
「今度私になにかしたら、あなたを刺し殺す!」
本気の目だった。
本気の度合いも根性も第一級だろう。
竜也は今後一切砂姫に手を出さないことにした。
「例の生物が出そうな位相がこの近くだったから、どうしてわかるのかと思ったら、全く別の理由で来たのね?」
「位相を調べる機械かなんかあるの?」
砂姫は左手の腕時計みたいな装置を見せた。
「タイムパトロールって言ってたけど、なんで未来から来たんじゃなくて過去から来たんだよ?」
「未来人からスカウトされて、それなりに訓練積んだのよ」
「俺もできる?」
「あなたは倫理観がちょっと」
「ちょっと?」
すたすたすたすた。
砂姫が先導する形で、二人は歩いた。
キャーッ!
向こうで悲鳴があがる。
「出たみたい!」
「わかった!」
二人はかけていった。




