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251:マジ、後悔する。

 制限時間ギリギリまで素材合成を続け、ついでに肉食用新味の検証もやってみた。

 まぁ手持ちの肉が蝙蝠だとかモグラだとか恐竜だとかの肉なんだが。

 結果――どれもダメだってことが判明。


 その結果をもとに、マイハウスのウッドデッキの階段に腰を下ろして考える。


「もしかして、ダンジョン肉がダメなのか?」

『単語としては、なんとも不気味そうなお肉ですね』

「ダンジョン肉……糞不味そうだな」


 シンフォニアに言われてハタとなるが、いや、そもそもダンジョン肉は不味そうじゃん?

 陽の当たらないじめじめ――してないけど、そういうイメージの場所で生まれ育った――かどうかは置いといて――条件的に不味いのは当たり前か。

 合成ペットフードの更なる売り上げに期待するべく、新味をいろいろ考えるという点ではいい参考になった。

 ぷぅにしろ、木の実ばかりで合成していたが、普通に米でもうまそうに食ってたし。

 味のバリエーションって、もっといろいろ作れそうだな。


「ふっふっふ。課金ペットフードには負けないぜっ」

『仕様としてみれば、どうあがいても勝てるとは思いませんが』

「五月蠅い! 味で勝負なんだよっ」

『はぁ……。それはそうと、ワタクシ頑張ってみました』

「は?」


 頑張ってみました――そう言ってシンフォニアが俺の隣に座る。

 右手を俺の目前でひらひらさせると、可視化されたパソコンモニターが現れた。

 映っているのは公式サイトのとあるページだ。


『頑張りました』


 再びそう言って笑みをこぼす。

 頑張ったって……お。


「ページがリニューアルされてるじゃないかっ。おぉ、運営、仕事早いじゃない『ワタクシが、頑張りましたっ』――はい?」


 ま、まさか。

 ログインするときにせっせとやってたのって、ページの更新作業だったのか!?

 おいおい、AIに仕事させるって……。いや、こいつGM業もやってたしな。ここの運営ならやりかねない。


 リニューアルされたペットモンスターの紹介ページでは、何種類かのペットがスクリーンショット付きで公開されている。しかも元はまったく同じモンスターだったのが、餌の違い、主人のプレイスタイルなどによって、幼生期から成長期の進化の過程で姿が若干変化しているのが分かる。

 なんだろう……えぇっと。


 俺はぷぅを見た。

 ぷぅは床の上でピンク、イエローコスライムと戯れていた。

 コスライムは野球ボールか、それよりちょっと小さいサイズ。

 ぷぅは今やバレーボールよりも大きい。


 コスライムッ、逃げてぇーっ!


 と、冗談を言いたい衝動にかられる光景だ。


 うん。

 ぷぅ、サイズ以外は幼生期から変わってないな。

 色も、形も。何一つ変わってない。

 そういやウミャーなんかは、ホワイトタイガーの子供っぽかったのが、薄っすらと赤くなってるもんな。

 けど、色以外の外見は変わってないか。


 紹介ページをよく見ると、課金ペットフードを与える事で体の任意の場所を変化させる事ができるらしい。

 ただし、何個も何個も食わせてすこーっしずつ変化を付ける、と。


『他にもペット用アクセサリーなどで、見た目に差をつける事もできますよっ』


 別のタブでは課金商品の一覧を見せられた。


 角、牙、鶏冠、飾り羽etcetc……。


〔ぷぷぅっ! ぷっぷ!〕

「あぁん? このリボンが欲しいだ? どこに付けるんだよ。250AQだぞっ。却下だ」

〔ぶぅぅっ〕


 と言ったものの、蝶ネクタイが気になる。

 この丸々としたフォルムに蝶ネクタイって……似合うんじゃね?

 カラーバリエーションも無駄に豊富だな。それに、水玉模様だのスパンコールだの、サイズも若干違うものが三パターンあった。

 ぷぅは青いからな。あと腹毛は白だし。同色系は目立たないよな。

 となると、オーソドックスだが赤が目立つのか。

 こっちのスパンコール生地だと更に目立つぞぉ。


〔ぷるるっん〕


 その時、ピンクコスライムが構って欲しそうな顔で俺に突進してきた。


「ぶふぉっ」――カチ


 あ……。


『スパンコールの蝶ネクタイ。お買い上げ、ありがとうございます』

「おいーっ、コスライムゥゥゥゥゥッ」

〔ぶるるっ〕


 逃げるピンクコスライム。

 俺はもう一度画面を見て、買い物かごに蝶ネクタイが収められているのを確認。

 だ、大丈夫だ。

 この時点ではまだ支払いはされていない。


 AQは千五百円ほど入っているが、おいそれと使う気は無い。しかもぷぅの為のアバターなんてなぁ。

 じゃあ何に使うのか――何にも使わない!

 なのでこの買い物かご内の蝶ネクタイも戻して――。


〔ぷぅ〜〕


 そ、そんな目で俺を見るなっ!


〔ぷぅ〜〕


 見るなっ。


〔ぷぅ〜〕


 み……。






 自室の天井を見上げながら、俺は激しく後悔する。


 250AQ……なんて無駄遣いをしたんだ――と。


昨日の1/1/20付活動報告を是非ご覧ください!

PSO2で(実在するオンラインゲーム)彗星マジックを再現された方のスクリーンショットがご覧いただけます!

正しくはそのSSへのリンクですが。

再現率ぱねぇっす!

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