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241/268

241:マジの中の人、汗をかく。

 家を建てるのに午前中を使い切ってしまった。

 レベリング?

 なにそれ美味しいの?


『お帰りなさいませ、彗星マジック様。お昼からは件の体育館へ行かれるのですか?』

「あぁ……そうだな」


 行く――となると、急に面倒くさく感じるもんだな。

 けどログインしたって一日のプレイ上限時間を消費するだけで、夜のログイン時間が短くなってしまうし……。

 ま、行くだけいってみるか。


 昼飯を食って休憩したあと、意を決して灼熱地獄へと繰り出す。

 本日の気温は三十八度。

 めっちゃ暑い! 暑いが昨日もこのぐらいだったし、その前もそうだったし……普通と言えば普通だ。

 大丈夫か地球?

 なんて思う事もあるが、俺が生きている間無事ならそれでいい。


 炎天下を自転車で疾走する事十五分、シンフォニアの言う体育館へと到着した。

 予想以上に大きな施設だな。

 中に入ると大きな受付ロビーがあるが、さすがに西部劇の酒場風ではないな。

 カウンター向こうの人もメイド服じゃない。


「当たり前か……」


 いかん。ゲーム脳に侵されてるぞっ。

 

 一応念のために、本当にタダでランニングできるのか聞いておこう。


「あのぉ、館内を走りたいんですが」


 特に忙しそうにしているわけでもない受付スタッフに尋ねると、スーツを着た女の人が対応してくれる。


「A棟二階の、体育館外周通路でしたら平日は十時から十六時までが無料開放されております。通路は一方通行になっていまして――」


 体育館の上にある外周通路は二車線になってて、片方がウォーキング用。片方がランニング用になっているという。

 土日祝日は六十分二百円になるらしい。

 スポーツジム的な施設もあるが、こっちはシンフォニアの言った通り金を取られる。

 学割りもあるが、今はタダで使えるコースだけでいいや。


「本日ご利用でしたら、利用料として六十分二百円となります」

「え?」


 平日はゼロ円なんじゃ?


「えぇっと……学生さんは夏休みですし、お忘れかもしれませんけど。今日は土曜日ですよ?」

「え、土曜日?」

「そう、土曜日です」


 そう言ってお姉さんが微笑む。

 わりと綺麗な人なんで微笑まれると嬉しい――じゃなくって!


「くすくす。でも初回だけ無料に出来る方法がありますよ」

「え、マジですか!?」


 お姉さんが差し出してきたのは、会員登録用紙。これに登録すると初回だけタダにしてくれるんだとか。

 登録料も特に無し。

 オープンして間もないので、その記念なんだとか。


「リピーターを増やすのが課題ですからね〜」

「へぇ〜」


 なんにしろ、タダになるんだったらなんでもいい。

 会員登録すれば他の有料施設もほんのちょっとだけ安くなるらしいから、いつかジムも利用してみたいな。

 ささっと登録を済ませさっそくランニングコースにやって来たが、思ったよりも利用者がいるな。

 俺と同じ学生っぽいのもいる。しかもどっかの部活だろって団体も。


 そりゃあ炎天下を走るより冷房の効いた所を走る方が、熱中症の危険が無いんだろうけどさぁ。

 ぐぬぅ……ウォーキングのほうは少な目だし、そっちで早歩きでもするか。


 一階の体育館ではバトミントンをやっている連中も見える。

 あれは社会人の趣味でやってるバトミントンかなにかだろうな。すっごい生ぬるいラリーじゃんか。


 二階をぐるっと一周する間に見えたのは、トレーニングジムの施設と喫茶店。他にも教室サイズの部屋もあて、エアロビクスをしている人たちも見えた。

 

 コースの要所要所にベンチもあったりして、休憩を挟みながらたま〜にランニング。

 一時間体を動かしたらまた自転車をこいで帰宅。


 うん。

 あそこは快適だ。

 体育館に居る間まったく汗をかかなかった。

 だが今は汗だくだ。

 自転車で炎天下を十五分程度走らせれば汗だくにもなる。


 結論。

 体育館は涼む場所。

 ダイエットは自転車を走らせる事。






『お帰りなさいません彗星マジック様。体育館には行かれましたか?』

「おぅ。行ってきたぜ。いやぁ、涼しくていいねぇ。クーラー代の節約にもなるかもしれない」


 と言っても二時間弱なんだけどな。


『それはなによりでございました。それで、体重は減りましたか?』


 ……一日やそこらで減るもんか!


 夕方は骨粉買取資金集めのペットフード合成時間だ。

 三十分とはいえ、ゲーム内だと一時間ある。


「じゃあ三十分したら連絡してくれ」

『畏まりました。それではいってらっしゃいませ』


 夕方のログイン時間を無駄にしないために、ログアウトは開拓村でやっていた。

 すぐに村長宅へと向かってペットフードの材料を注文する。


「こんばんはマジックさん。ペットフードの追加ですか?」

「あぁ」

「現在、在庫の残りは七五三四袋となっております」


 え……完売、してない?

 昨日は二万個ぐらいを納品してるから、半分は売れてるようだけど……。


「ほとんどのお客様は一度に五袋お買い求めくださいますから、消費しきるのに日数がありますし」

「あぁ……そうか」


 つまり、合成ペットフードを必要としている客に対して、供給のほうが増えてるってことか。

 ……ペットフードで金持ち計画がががが。

 新たな商売を考えないとなぁ。


 そういや、素材の合成も出来たよな。

 何がどう合成できるんだっけか?

お読みいただきありがとうございます。

都会のほうではもしかすると今日あたりには本が・・・ガクブルガクブル。

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