表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
238/268

238:マジ、コスタを壊す。

「って事になったんだけどさ。水ってどうやって引けばいいと思う?」


 そもそも村の周辺に川が無い。

 じゃあ井戸?

 確かに村には井戸があった。ただ水は思いっきり少なく、畑に撒く余裕なんて微塵もない。

 どうしたものかと頭を抱えた末、俺はダークエルフの集落へとやってきた。

 こう、精霊の力でどうにかならないかなぁ〜と思って。


「水ですの? ミ――」


 うん。固まったな。

 今頃開発に問い合わせでもしているんだろう。

 待ってる間にスキルのネタでも考えるか。


『焔のマント』のように体に纏う系だと、走って行って敵にぶつかりまくるか、飛んで火に入るなんとやらでダメージを与えるかどちらかだよな。

 後者の場合、ソロの時なら敵はこっちに向かってくるからいいだろう。

 けどパーティーの場合は俺がヘイトを取ってないと意味が無い。

 となると走っていくのが一番いい手段だよな。


 けど『焔のマント』もそうなんだが、CTが長いし持続時間は三十秒だ。

 CT明けの待ち時間がどうしても発生してしまう。

 CTを短くすれば消費IMPは増えるし、持続時間を延ばしても同じ。

 逆に消費を少なくしなきゃ、各属性で同様のスキルなんて使えないぞ。


「どのタイプのモンスター相手にも、一定の効果を発揮できる魔法があればなぁ」

「闇属性ですの」


 闇属性かぁ。


 ん?


「同じ闇属性やアンデットタイプのモンスターには効果が薄いですけど、その他のモンスターなら100%のダメージが出せるですの」

「シンキングタイム終わったのか……それで、水のほうは?」

「はいですの。まずは池を作って、少しでもいいですから、水を貯えるですの」


 水があればウンディーネが生息可能になるという。あとはウンディーネが水を供給してくれる、と。

 ただ問題があって、精霊使いが常駐しなきゃならなくなる。

 あの村には精霊使いどころか、魔法を使えそうな人間も居なかった――ってのがブリュンヒルデの意見だ。


 俺が常駐する訳にもいかないしなぁ。そんな事したら俺のゲーム人生がNPC化してしまう。

 となると……。


「この集落の誰かに頼めないか?」

「うぅ〜ん、そうですのねぇ」


 そしてまたシンキングタイムに突入するブリュンヒルデ。

 だったらと、またスキルネタについて考えてみる。


 ブリュンヒルデは闇属性が有効だと言っていたな。

 アンデットや闇属性モンスターには効果が薄いってのはまぁ、納得だ。

 だがアンデットには火属性が有効だし、闇属性相手はちょっと分からないが、まぁいけるだろう。

 いっそ全身に属性を付与して――あ、バフだと呪いアイテムのせいでデバフになるのか。

 そもそも属性付与がデバフになるとどうなるんだ?


 試しに水属性付与で試してみるか。


 ウィンディーネ作成の水付与。精霊のレベルが上がって俺も使えるようになったアレを、自分に付与する――と。


 う、うぅん。

 本来武器に水属性を付与するスキルのはずなんだが……何故か攻撃した相手に水を付与してまわるという、はた迷惑な効果になってるぞ。

 じゃあ全身に闇属性をってスキルを作った場合、俺に触れた対象が闇属性になるのか。

 闇属性になる利点ってなんだ?


「闇属性は聖属性以外に対し耐性が高いですの。だからモンスターが闇属性になると、魔法で倒すのは難しくなってしまうですの」

「げ、マジかよ」

「マジですの」

「ってか、なんでブリュンヒルデが答えてるんだ!?」

「はい? マジックさん、ぶつぶつ喋ってたですのよ?」


 うげ。口に出して喋ってたのかよ。

 ぐぬぅ〜。

 ま、まぁいい。闇属性をモンスターに付与する恐ろしさってのは分かった。

 魔法使いたる俺の天敵じゃないか。

 となると、闇属性モンスターへの対策も必要だろうなぁ。


「闇属性のモンスターは比較的少ないですから、その時は聖属性魔法で倒せばいいんじゃないですの?」

「うぅん……そうだな。じゃあ闇属性で『焔のマント』系スキルを作るか。って、さっきの件は?」

「はいですの。うちのダークエルフでお手伝いできることがあれば、なんでもしますの」

「有難い。助かったぜ。じゃあ俺はさっそくディオたちに伝えてくるな」


 あとは肥料だな。






「ってことになって、まずはどこかに池を作って欲しいんだ」


 先住民の村にテレポし、ディオにその話をした。

 もちろん村長もその場にいる。


「では畑の近くに池を作りましょう。それとダークエルフ様が寝泊まりできる家も建てねば」

「あぁ、そうだな」


 とはいえ、隙間だらけの家では可哀そうだしなぁ。

 そもそも材木もないだろうし。

 あ……。


「家を建てるための材木を貰ってくるから、場所だけ決めておいてくれ」


 それだけ伝えると、俺は記憶にある場所へとテレポした。


 そこは海岸。

 今日もゴミという名の流木がそこかしこに落ちている。


「コスタ、久しぶりだな」


 お目当てのNPCを見つけて声を掛けると、僅かに硬直したあと笑顔を向けて応えてくれた。


「やぁ冒険者さん。本当に久しぶりだね。元気にやっていたかい?」

「あぁ。それでさ、久々なのに悪いんだが、ちょっとお願いがあってね」

「お願い? 僕に出来る事かな?」


 もちろん。

 俺の願いは、ゴミを譲ってもらう事だからな。

 つまり、ここで拾える木材を、だ。


「お安い御用だよ。拾った木材は好きに持っていってくれて構わないから」

「助かるよ」

「木材なんて何に使う気なんだい?」

「ん。ちょっと家をね。建てようと思って」

「い……え……ハウス、システム……みじ、っそう」


 は? え……コスタ?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ