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237:マジ、神になる(嘘

 朝は少しゆとりを持ってログインする。

 八時半から十二時までネトゲで遊んだら、昼飯を食って暫く休憩。

 地獄のような暑さの中、二時から出かけて体育館へ。チャリで十五分の距離だ。

 一時間ほど走ったりウォーキングしたり、涼んだりして帰宅。

 銭湯に関しては、どうせ帰りにチャリこいで汗まみれになるんだし無意味だ――ってことで帰宅してシャワーを浴びる。


「よし、スケジュールはこれでいい!」


 一日のログイン上限時間は八時間だ。午前中に三時間半。夕方に三十分。そして夜は四時間。

 これで合計八時間。バッチリだ。

 夕方の三十分でガッツリ合成時間に割り当て、午前中は人の少ない狩場でレベリング。夜はまぁ適当?


「という感じでやる事にした」

『左様でございますか。ではログアウトのタイミングでご連絡すればよろしいのですね?』

「そそ。頼むな。あとスキル作成とか考え事はプレイ時間の節約のため、ここ(ロビー)でやった方がいいだろうな」

『まるで廃人のようですね』


 え?

 俺が廃人?

 いやいや、俺はライトゲーマーだから。


 そんな訳で現在の時刻は八時ちょい過ぎ。半になるちょい前に教えて貰うとして、なんか新しいスキルでも作ってみるかなぁ。

 なんか最近はデバッファーと化している気がするが、歌ってる間はスキル攻撃出来ないってのが難点だよな。

 これが前衛物理攻撃職だと、武器で殴ってれば敵にダメージを与えられるから歌っててもいいんだろうけど。


 持続効果のある魔法でもあればなぁ。

 持続……『焔のマント』は持続系だな。あれを先に使って歌いながら走るか?

 いや待て。

 そうなるとだ――。


「火属性が有効な敵にしか使えないな」

『何がでございますか?』

「あ、いや――」


 湖畔を望むウッドデッキに腰を下ろし、ピンク・イエロー・グリーンのコスライムがキャッキャウフフと戯れる光景を眺めながら思案していた。

 隣ではシンフォニアが立ち、同じようにコスライムを眺めている。

 そんな彼女に新しいスキルをどうしようか考えていたことを話した。


『……属性を気にするより、歌いながら走る光景を気にするのが先ではないのでしょうか?』

「は? なんで?」

『……いえ、もういいです。属性を気になさるのでしたら、それぞれの属性で同様のスキルを作成すればよろしいのでは?』


 まぁ簡単に考えればそうなるよな。

 でもそれだと複数のスキルを作らなきゃならない。IMPの事も考えると、さすがになぁ。

 万能タイプの持続性スキルってどこかに落ちてないもんかな。


 あれこれ考え、結局何も思い浮かばないまま八時半になってしまった。


「仕方ない。ログインしてゲームの中でヒントを探すか」

『やはり歌いながら走れるスキルをお考えになるのですか?』

「あぁ。まぁ走らなくてもいいんだ。とにかくデバフを使いながらも攻撃できる手段が欲しい」


 そう考えると持続性のある攻撃判定有な防御スキルとかで、こっちからモンスターに突っ込んでダメージ与えられるような、そんなスキルしかないだろ。


「そう思うんだがどうよ?」

『どうよと聞かれましても……うぅん、そうですね。確かにデバフ効果は歌っている間しか効果を発揮できませんし』

「だろ? まぁ一曲歌い終わるときにスキルの掛けなおしが出来ればそれでいいんだよ」


 となるとだ。持続性スキル一つだけだとCTの面もあって連続使用は出来ないな。更にスキルの効果時間も相当長くないとダメだし。

 IMPの消費が半端ねえだろうな。


 うんうんと唸りながら旅の扉を潜ってゲームに移動。そこはディオたち先住民の村だ。

 昨夜は畑の様子をチラっと見てログアウトしたが、今日はどうなってるかなぁ。

 

 五メートル×十メートルの畑には村人の姿があった。

 さっそく収穫か。

 

「おぉ、英雄様。見てくださいっ。南瓜が育ちましたよ!」


 俺に気づいた村人が、嬉々として声を掛けてくる。

 彼の足元には確かに南瓜が転がっているんだが……なんかすっげー小さいの。

 あれなら二口で食えるな。

 そんなミニ南瓜が点々としている。


「これで村の者が飢え死にする事もなくなった。それもこれも英雄様のおかげじゃ」

「ありがたや〜」

「「ありがたや〜」」


 周囲にいた村人が一斉に俺を拝み始める。

 やめてくれ。俺はお地蔵様じゃないんだ。


 それにこんなちっぽけな南瓜じゃ、みんなの胃袋に行き渡らないだろ。

 とは思うんだが、彼らの反応を見てそれを口にすることが出来ない。

 そもそもなんでこんなミニサイズなんだ?


「ちょっとノームさんや」

〔ののっ!〕


 呼び出したノームは心なしか嬉しそうだ。

 そのノームさんの目線に合わせるようにしゃがみ込み、小さな声で尋ねてみた。


「なぁ、なんでサイズが小さいんだ?」

〔の!? ののののののっ〕

「いや、お前のサイズの事じゃなくてさ。野菜だって」

〔のぉ〜。んぬぅ――ののっ〕


 土壌改良は出来たが、直ぐに土が肥える訳ではない――らしい。

 追肥や水やりは大切だとノームは話す。

 追肥って、やっぱ骨粉か?

 水やり……そもそも川すらないしなぁ。


「やっぱ川もいるよなぁ……」

〔ののぉ〜〕


 ぼそりと呟いて辺りを見渡すと、何故か村人の熱い視線に囲まれていた。


 え……まさか?


「おぉぉぉっ! 英雄様が我らの為に、川を作ってくださるそうだっ」

「な、なんだってーっ!?」

「川すらも容易にお造りになるとは、さすが英雄っ」

「「英雄バンザーイ!」」

 

 いや待てお前ら。

 何故そうなる?


「マジック。お前には感謝しているよ」

「お前までもかディオ!?」

「マジックさんは、私にとって勇者様です」

「君もかよ、ティナ」


 しかもどこかで聞いたことのあるようなセリフだし。


 英雄だの勇者だの。俺はいったい何のプレイをしているんだろう……。


お読み頂きありがとうございます。


昨日の更新時に書き忘れましたが・・・

正規発売日まで遂に1週間を切りました!(公式では10/31発売)

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