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234:マジ、エスコートする。

 大量の合成ペットフードを完成させたあと、昼飯の為に一度落ちて再ログインしたのはリアル時間の二時頃。

 ゲットした骨シリーズは、夢乃さんとその仲間たちに半分を渡して骨粉加工をお願いしてある。

 俺が今やるべき事は――。


「ブリュンヒルデ、居るか〜?」


 ダークエルフの集落へとやって来た。

 合成材を買うためだ。


「は〜い、ですの」


 程なくして家から出てきたブリュンヒルデに合成材を購入したいと伝える。

 もう材料を集めてる余裕もなくなったからなぁ。


「合成材をさ、その……直接売ってくれないか? 素材集めをしてる余裕もなくなってさ」

「合成材ですの? それなら町のお店で4ENで購入されてるですから、4ENでいいですの」

「そ、そうか。それはありがた――いや、やっぱもう少し高く買うよ」


 なんかそんなに安く買ってたら、今はもう忘れかけてる某ドナルドみたいだしさ。

 ってことで、ブリュンヒルデが「もっと安く!」と言い張る中、なんとか10ENまで値段を吊り上げる事に成功した。

 買い手が値段を吊り上げるって、なんか間違ってないか?

 ひとまず三千個購入。


 そうこうする間に夢乃さんからメッセージが入り、骨粉の加工が終わったと連絡が入る。


「よし。じゃあさっそく土壌改良に行くかな」

「ドジョウを改良するですの? 美味しく食べるためですか?」


 ……どのドジョウの事を言っているんだ。

 そうじゃなくて――ブリュンヒルデに骨粉による土壌改良の件を説明する。


「なるほどですの! じゃあ、私も行ってお手伝いするですの♪」

「え? ブリュンヒルデが?」

「はいですの。先日、お約束したじゃないですか」


 そういや、風邪薬を作って貰った時に、受けた恩を返すんだとか言ってたな。


「うふふ♪ マジックさんとお出かけですのぉ」


 ……もしかして、テレポート……使えなかったりする?






「わぁ〜。ここが鉱山の入口ですの〜♪」


 骨粉を受け取ってから、結局ブリュンヒルデと一緒に徒歩で先住民の村まで行く事になった。

 開拓村のちょっと先までは彼女も行った事があるというのでそこまではテレポで移動。

 で、鉱山の入口に続く道と、巨大花畑に通じる分かれ道のところまでやってきた。


「ここを下って花畑に行くんだ」

「え、お花畑ですの!?」

「あんま期待しないほうがいいぜ。花畑つっても、モンスターサイズの花だからな」


 その花から出てくる蜜蜂が、これまたデカイ。

 まぁもう見慣れたけどな。


 俺とブリュンヒルデが横に並び道を下っていく。

 程なくして花畑に到着したんだが――。


「うわぁ〜。綺麗ですの〜。ふふ、マジックさんと一緒に来れて、とっても嬉しい」

「そ、そうか? え、えぇっと……あっ『暴風竜! ディスク・グラインダー』」

「きゃぁ〜っ」


 花に顔を近づけた彼女目掛けて、数匹の巨大蜜蜂が突撃。

 彼女を抱え込むようにして、俺は風魔法をぶっぱなした。

 俺たちを中心に渦巻く風か、飛び込んできた蜜蜂を次々と落としてゆく。


「マジックさん、強いですの」

「い、いやぁそれほどでもないさぁ〜」

「あっ、危ないですの! 焼き尽くすのです、バハムート!」


 ブリュンヒルデが右手を突き出すと、その指示した場所の空間が……ぶふぉっ、ちょっ、空間が裂けてなんか出てきた!?

 バハムートって、カードゲームやRPGでお馴染みの、最強召喚獣じゃねえの?

 なぁ? そうだよな?


 裂けた空間から顔だけニョキっと出したバハムートらしき存在は、クパっと口を開くと炎のような球体を吐き出した。

 そして、別方向から飛んできたトンボの一団に向かって炎弾が炸裂!

 ブワァッっと物凄い爆風が起き、視界が煙で包まれた。


 おい、今のなんだよ。

『サンダーフレア』の比じゃねえだろ。

 あ、バハムート消えてら。ってかやっぱドラゴンっぽい顔だったな。


 煙が晴れるとそこは、巨大花一本残らない、死の大地――あ、花復活しやがった。

 数秒ほどは直径五十メートルぐらいが焼け野原になってたが、草花はもう完全復活だな。

 さすがゲーム。


 しかしあんな召喚獣まで呼び出すなんて……ブリュンヒルデ、最強過ぎるだろ。


 ん?

 いや待てよ。

 バハムートは精霊枠なのか? それともテイマー用のモンスター枠なのか?

 間違ってもネクロマンサー用のアンデット枠じゃないだろう。

 どれにしろ、召喚……出来るってことだよな?


「マジックさん」


 くるりと振り向いたブリュンヒルデが満面の笑みを浮かべる。

 その目はいつになく潤んでいるようにもみえた。


「マジックさん……その……ま、守ってくれて、ありがとうですの」


 もじもじしながらそういう彼女は、「きゃっ」とか言いながらくるりと背を向けた。


 でもブリュンヒルデさん……あんた、バハムートなんてとんでもない奴を召喚してたじゃないですかぁー。

 やだもぉー。


 全然かっこつかねーよ!


 もやっとする中、彼女と並んで先住民の村を目指すべく森へと入って行った。


 言うまでもなく、森の奥に登場するエリートコボルトとその他のモンスターは、ブヒュンリルデの手によって瞬殺されていくのであった。

 ファリスやアイリスも強かったが、こいつは別格だな。

 たぶん大賢者もそうなんだろうけど、この二人でこの大陸を支配するのも簡単なんじゃね?

 キャッキャとスキップしながらエリートコボルトの群れを蹂躙するブリュンヒルデを見て思うのだった。

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